5 物流技術の開発
(1) 物流作業省力化等の技術開発動向
(進展めざましい物流技術の開発)
近年,流通センター,倉庫,貨物ターミナル等の物流結節点における諸作業の機械化技術は飛躍的に進展しており,立体自動化倉庫,自動仕分機,無人搬送車,在庫のうちから注文の貨物を自動的に搬出するオーダーピッキング装置等各種の新しい物流機器が大手物流企業等自動仕分機において積極的に取り入れられている。また,海上コンテナヘの自動式荷積装置を開発・導入した荷主もある。
さらに,輸送の小口高頻度化,輸送サービスの高品質化等に対応すべく,輸送機器とりわけトラックの構造面において多様化等が進展しており,商品別専用車両の開発,あるいは側方全面開放型バンや台上荷役装置付車両など各種の荷役合理化車両の開発が目覚ましい。
(求められる物流技術の深度化,ハイテクの活用)
このように,新しい物流技術の開発導入によって物流作業の省力化,機械化等はかなり進んできてはいるが,新しい物流機器の導入は,物流全体からみれば極めて限られた範囲にとどまっているのが現状である。
したがって,今後の物流技術の開発に当たっては,@これまでにかなりの開発成果が得られ,今後更に伸展していくことが期待される各種物流機器等の技術改良及びこれらの普及型機器の開発,A個々の物流作業の効率性とともに全体を一つのシステムとして把握し,機械化,自動化等技術の統合複合化によって効率性を向上していく「システム技術」の開発,Bさらには,工業分野を中心に進展がめざましいロボット技術等の先端的技術を物流機器等に積極的に取り入れ,応用していくための技術開発などに,より重点をおいて取り組み,物流作業の省力化,機械化等を強力に促進していくことが必要であろう。
(2) 物流企業の技術開発への対応
(望まれる技術開発への積極的参画)
物流技術の開発は,特に,在庫コスト等を含むトータル物流コストの低減化など物流サービスの高度化等の要請に物流企業が適切に対応していくために重要な役割を果たしており,物流企業自身として技術開発に強い関心を抱いていくことが必要である。
今後,物流企業は,物流機器メーカー等の関連産業分野との連携・協調を深め,自らも技術開発の場に積極的に参画していく等日常の事業経営を通じて得ている技術開発ニーズを効率よくしかも正確に実現していく努力を払っていくことがますます必要であろう。この場合において,物流企業の大多数が中小企業である現状からみて,単独の企業として技術開発を押し進めることには困難性もあり,企業間での共同等により推進していくことが極めて重要であろう。
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