4 港湾運送業
(規制の見直し)
港湾運送においては,40年代後半以降,近代的な港湾施設の整備,近代化船の普及等により,コンテナ荷役のように船内荷役及び沿岸荷役を一貫して行う革新荷役が飛躍的に増加している。このような革新荷役の進展に適確に対応するため,59年7月に港湾運送事業法の一部改正が行われ,60年1月から施行された。この法改正は,従来の船内荷役事業と沿岸荷役事業を統合して港湾荷役事業とし,この港湾荷役事業者を革新荷役における荷役作業の中核的な実施主体として位置付ける一方,コンテナ荷役等の革新荷役におけるターミナルオペレーター行為を積極的に評価し,ターミナルオペレーター行為を行う場合の下請制限を弾力化することにより,一般港湾運送事業者が港湾を拠点とした総合的な物流事業者として発展していくうえでの条件整備を行おうとしたものである。この法改正を契機として,港湾運送事業者が,荷役の近代化はもとより,経済のソフト化,荷主ニーズの高度化,多様化に的確に対応した国際複合一貫輸送への進出,情報化への積極的取組み等を図り,事業の活性化を推進していくことが期待されている。
また,港湾運送料金体系についても見直しを行い,60年8月実施の料金改定において,品目の整理,割増料金の整理,ボリュームレートの導入等を中心に,大幅な簡素化,弾力化を図った。
(構造改善対策)
港湾運送事業の経営状況は,取扱貨物量が58年度,59年度と連続して増加したため,おおむね回復傾向にあるが,全体の約6割が赤字経営となっていると推定される。特に,近年の革新荷役の進展等に伴い,はしけ運送業及びいかだ運送業については需給の不均衡が恒常化しており,構造不況に陥っている。このため,はしけ運送業及びいかだ運送業については,(財)港運構造改善促進財団の活用,各種不況対策法に基づく業種指定等により事業経営の安定化,雇用の安定化等を図っている。今後もこれらの諸制度を活用し,港湾運送事業の構造改善対策を推進していくこととしている。
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