6 貨物流通施設


  陸海空にわたる貨物の円滑かつ効率的な輸送を図る上で,物流の結節点に立地する倉庫,トラックターミナル等の貨物流通施設は必要不可欠なものとなっている。これらの整備には多大な費用を要する一方,収益性が低いため,従来から財政融資や税制上の優遇措置を講じてきている。
 (新たな倉庫業の展開)
  近年,我が国経済が高度成長から安定成長へと移行し,他方,情報化及び国際化が進展してきたことに伴い,産業構造や流通機構,さらには消費者の志向に変化がみられ,倉庫業を取り巻く環境は著しい変貌を遂げてきている。これにより,倉庫業の保管需要は伸悩みをみせており,倉庫事業面積も50年代に入ってからは,微増にとどまっている。また,経営状況も,経常収支率が著しく低下しており,普通倉庫にあっては,全体の約5割が赤字となっている。一方,入出庫は小口高頻度化する傾向にあり,さらに,荷主のニーズも電算機による在庫管理,流通加工の実施,集配体制の充実を求めるなど高度化,多様化してきている。
  このような状況の下で,倉庫業界は,自らの活性化を図ると同時に,物流環境の変化に対応した円滑かつ効率的な物流システムの形成に寄与するために,新たな事業の展開を図ることが強く求められている。
  このため,今後の倉庫業の経営に関し,倉庫業界自身がその将来を見通したビジョンを持ち,本来業務である保管機能の充実強化を図ることはもとより,@荷主ニーズの的確な把握とそれを踏まえた適切な対応,A一般消費者を対象とするトランクルームサービスヘの進出,B情報機能の充実,C流通加工等による事業の総合化,D他の物流事業との連携の強化等の新たな事業展開を積極的に推進する必要がある。
  運輸省としても,業際分野との円滑な連携,事業の総合化等について積極的に支援し,このような取組みを促進していくこととしている。
 (トラックターミナル事業の新たな展開)
  一般トラックターミナルの全国の施設規模は,50年代に入ってからは計3,000バース台で推移しており,今後もそう大きな整備の進展はないものと見込まれる。このような状況下で,物流の変化に的確に対応しつつ,その機能を充分に果たしていくためには,単なる荷捌き施設の提供にとどまらず,総合的な物流機能を発揮し得るような施設の提供,主として宅配貨物向けの大型の高速自動仕分機を導入することができる荷捌き場の整備等,新たな施策を積極的に講じていく必要がある。


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