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1 災害対策の推進
(1) 海上防災対策
(防災体制の整備を広域的に推進)
海上保安庁は,排出油防除資機材の整備,関係者に対する防災体制の整備の指導等を行うほか,流出油災害対策協議会等の設置の促進,防災訓練の実施等官民協力体制の一層の強化を図っており,特に東京湾,伊勢湾及び瀬戸内海については排出油防除計画に基づき防災体制の整備を強力に推進している。
また,国家石油備蓄基地については,むつ小川原,苫小牧東部及び秋田基地の3社に対し広域共同防災体制の整備を指導してきたが,その一環として昭和59年7月には大型防災はしけが共同配備され,管理を委託された海上災害防止センターが函館支所にて運用に当たっている。さらに,東海地震の対応体制として,警戒宣言が発せられた場合には,本庁等に災害対策本部を設置するとともに,全国からの巡視船艇,航空機の動員等総合的な応急対策を実施することとしている。
(2) 港湾等の災害対策
ア 国土保全のための海岸事業
(多様な自然災害を防止する海岸事業)
我が国の経済・社会の中心地である港湾地帯を高潮・津波等による災害や全国的に進行する海岸侵食から防護するため,海岸保全施設の整備を促進するとともに,併せて海岸環境の整備を図っている。
59年度の海岸事業については,第3次海岸事業五箇年計画の第4年度として,計画的に推進しており,ゼロメートル地帯を抱える大都市海岸における耐震性のある海岸保全施設の整備,地震対策緊急整備事業計画に基づく東海地区における地震・津波対策,三陸・土佐沿岸など津波常襲海岸における津波対策,さらには,失われつつある海浜を人工的に復元し,国土の保全を図るとともに,併せて快適な海岸環境を創出するための海岸環境整備事業等に重点を置いている。
特に,58年の日本海中部地震による津波被害にかんがみ,全国の港湾海岸を対象に,津波対策の見直し調査を開始したほか,津波等の情報を海岸の利用者に速やかに伝達するよう,59年度より,安全情報伝達施設の設置を図ることとし,本荘港において実施した。
また,厳しい自然条件にさらされている海岸保全施設は,老朽化が厳しく,ジェーン台風や伊勢湾台風による高潮被害を契機に整備された施設のなかには,抜本的な改良が必要になっているものもあり,尼崎港の閘門の改良について60年度に着工するのをはじめとして,改良に努めている。
このように,海岸の整備を鋭意進めているが59年度末現在,海岸整備率は約34%にすぎず,整備水準は著しく低い状態にとどまっており,今後一層の整備が必要となっている。
イ 災害復旧事業
(港湾関係災害復旧事業の推進)
59年度の災害復旧事業については,58年度に発生した日本海中部地震の災害復旧を促進し,概成をみた。また,59年に発生した港湾施設及び港湾内の海岸保全施設の被害の復旧に努めたが,その被害額は,23億円であって,52年災に次ぐ低いものであった。
ウ 港湾の防災対策
(地震に強い港湾の整備)
日本海中部地震による秋田港岸壁の被害は,主として岸壁背後の地盤が液状化したことにより生じたと考えられるため,全国の港湾において既存の岸壁の液状化の可能性の有無を総点検することとし,58年度から点検調査を開始し,59年度より順次各港において液状化対策工事を実施している。
さらに,59年8月には「港湾における大規模地震対策施設の整備構想」を取りまとめた。これは,大規模な地震が発生した場合に,被災直後の緊急物資及び避難者の海上輸送に充てるとともに,その後の港湾機能が完全に麻痺することを避けるため,「特定観測地域」及び「観測強化地域」とその周辺において,人口等の集積度の高い重要港湾等から137港を選定し,十分耐震性を備えた港湾施設を整備することとしたものである。
(3) 災害・緊急時のヘリコプターによる輸送対策
災害・緊急時に陸上輸送が途絶した場合等においては,ヘリコプターが緊急物資輸送及び患者輸送の有効な手段となるので,ヘリコプターによる輸送体制の確立のため,そのネットワークの形成について検討を行う事としている。
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