3 総合輸送活動指数の動向
各輸送機関別の輸送量(原則として,トンキロ,人キロ)をそれぞれの輸送機関が創出する付加価値によりウェイト付けし,総合化した総合輸送活動指数によって輸送活動の動きをみると 〔8−1−25図〕,第2次石油危機後しばらくは伸びが鈍化してきているものの全体としては順調な伸びを示し,その動きは実質民間最終消費支出の動きにほとんど一致している。これは,実質民間消費支出と相関の高い自家用自動車旅客のウェイトが非常に大きいためである。
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国内貨物輸送についてみると,第2次石油危機以前は,実質GNPの伸びを上回る伸びを示し,第2次石油危機以降においても,トンキロベースの輸送量が減少した時期があるにもかかわらず,活動指数は,実質GNPの伸びに近い伸びを維持しており両者の相関は失われていない 〔8−1−26図〕。これは,鉄道や内航船舶等の付加価値の小さい輸送機関が輸送量のシェアを低下させ,逆に付加価値の大きな営業用トラック等が順調に伸びているためである。国内営業用貨物輸送については,自家用トラックが減少し営業用トラックに転換が進んでいることから,国内貨物輸送活動指数の伸び率を上回る大きな伸びを示している。
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一方,国内旅客輸送については,自家用自動車の占めるウェイトが非常に大きいため,実質民間最終消費支出の動きと一致した動きとなっている 〔8−1−27図〕。国内営業用旅客輸送については,各輸送機関の輸送量が,微増,微減を繰り返しており,全体としてはほぼ横ばいに推移している。
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58年度から59年度にかけて経済が順調に回復したなかで,59年度の実質民間最終消費支出の伸びが対前年度比2.6%増と緩やかなものであった。このため自家用自動車旅客の伸びが鈍化し,総合輸送活動指数の伸びは,同1.7%増とここ数年では最低の伸び率にとどまった。しかし,国内貨物輸送については,実質GNPの大幅な伸び(同5.7%増)を反映して,同3.6%増と第2次石油危機以降最大の伸び率となった。
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