2 航空に対する新たなニーズ


  (コミューター航空)
  最近,小型航空機による地域航空輸送,いわゆるコミューター航空に対する期待感が全国的に高まりを見せている。これは,時間価値の増大による高速化志向や地域間の新たな結びつきに対する要請などを背景として,小型航空機の利便性に着目した新たな高速交通機関の整備を図ろうとする動きである。
  現在のところ,我が国における小型飛行機による定期的旅客輸送(定期航空運送事業者の行うものを除く。)としては,奄美諸島,長崎県内などの離島路線で4社が16路線を運航しており,60年度には4社合計で約18万人の輸送実績がある。
  また,試験的な運航ではあったが,60年3月から筑波で開催された国際科学技術博覧会の期間中に筑波と羽田,成田間等の路線でヘリコプターによる定期的旅客輸送が3社により実施され,約2万1千人の輸送実績であったが,各社とも収支は相当な赤字となった。
  一般的に,コミューター航空事業は採算性に問題があり,現在運航されている離島路線においては,出資,運航補助,着陸料の減免等により関係の地方公共団体等がその経営を支援しているのが実情である。
  したがって,今後,鉄道,道路など他の輸送機関の整備された地域におけるコミューター航空の実現を図るためには,それぞれの地域がそれぞれの地域の特性に応じた航空輸送について,自ら工夫し検討していくことが不可欠であるが,まず,海越え,山越え等航空の特性が発揮できる既存の空港間において活用を図っていくことが現実的であろう。運輸省においても,航空の新たな可能性をひらくものとしてコミューター航空の在り方及びこれに伴う空港整備の在り方について十分調査,検討し,方策をとりまとめていくこととしている。
  なお,運輸省では,コミューター航空に対する規制緩和の要請やアクション・プログラムに対応して,60年12月にコミューター航空に使用できる機材の範囲を拡大するなどの実施承認基準の緩和及びヘリコプターを使用して行う定期的旅客輸送に関する実施承認基準の新設を行うとともに,ヘリコプターの利用促進の観点からヘリポートの設置基準を米国並みに緩和するなどの取組みを行っているところである。


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