2 利用者利便の向上に向けた施策の展開
(新たな路線の開設)
運輸省としては,国民の高速化指向,地元の要望に対応し,利用者の利便確保のため路線の開設及び増便に努めている。国内線については,東京,大阪両空港の空港能力に制約があるため,地方空港相互を結ぶ路線を中心に開設を行っており,60年4月以降,名古屋-花巻線,大分-那覇線等12路線(うち新規開設は6路線)を開設した。また,国際線についても,東京-アトランタ線,東京-ワシントン線等9路線(うち新規開設は7路線)を開設した。さらに,貨物については60年5月に日本貨物航空・東京サンフランシスコ‐二ューヨーク線,61年10月に同・東京‐香港線を開設した 〔3−2−1表〕。
(国内航空運賃の営業割引)
また,利用者の運賃負担の軽減と航空輸送需要を喚起するため,国内航空運賃の営業割引について弾力化を図り,認可事務処理の簡易迅
速化,試行期間の導入等を行った。この措置を受けて,航空各社から様々な割引運賃の申請が出され,旅客については,団体割引,団体包括割引,回数割引等の拡充,実年夫婦割引,団体往復割引,年末年始割引,受験生割引,週末往復割引等の導入が図られた。また,貨物についても,日曜祭日割引,年末年始割引,引越貨物割引等の導入が図られた。
(国際航空運賃の方向別格差の是正)
一方,国際航空運賃については,発地国通貨建てで運賃が設定されているが,昨今の円高により相手国発運賃を円換算した額が日本発運賃に対し相対的に安くなってきた。このいわゆる「方向別格差」の現象は,変動相場制のもとでは不可避的なものであるが,国際運賃制度の問題としても格差の拡大は望ましいものではなく,日本発着運賃について格差の縮小及び日本発特別割引運賃の拡充を図った。具体的には,欧州線については,日本発普通往復運賃の値下げ,欧州発普通片道遺蹟の値上げ,日本発事前購入回遊運賃の導入,太平洋線については,米国発普通片道運賃の値上げ,日本発米国西海岸,グアム,サイパン行家族割引運賃の導入の措置を行ったほか,太平洋線について日本発普通片道運賃の値下げ,オセアニア線について日本発普通往復運賃の値下げ及びオセアニア発普通片道運賃の値上げ,東南アジア線について日本発事前購入回遊運賃の導入を61年内に実施する予定である。
運輸省としては,前述した運輸政策審議会答申の趣旨に沿って,国際線の複数社制及び国内線のダブル・トリプル化を進め航空路線網の充実を図るとともに,運賃についても営業割引の拡充等に努め,利用者サービスの向上を図ることとしている。
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