第2節 消費者物流サービスによる物流市場の拡大と消費者保護対策の推進


  (コンビニエンス型生活産業としての物流市場の進展)
 「宅配便」が一般消費者による利用を急速に伸ばして以来,物流事業者は,いわば物流のプロである企業荷主に対するサービス一辺倒から脱皮し,一般消費者の利用しやすい形でサービスを商品化することにより,多数の利用者を獲得することに努めている。
  このような消費者物流は,迅速性,確実性等物流サービスそのものの向上を図るとともに,利用者のサービスアクセス(サービスヘの接近)における物理的,時間的あるいは心理的障壁の極小化を図ることにより,利便性,快適性,ゆとりのためには有償のサービスを積極的に利用していく都市型ライフスタイルにアピールし,潜在的な需要を掘り起こしていく形で,多様な生活ニーズに対応し,さらに新たな展開,進展をするものと考えられる。
  消費者物流のこのようなサービスは,いつでもどこでも誰にでも手軽に利用できるコンビニエンス性をその特徴として強く打ち出すことをはじめとして,従来より質的レベルが異なった形で,しかも大量定型的に消費生活ニーズを満たす産業(いわばコンビニエンス型生活産業)の一つであり,特に,今後は,家事サービスの外部化,高齢者シルバー市場の進展に伴い,これらの分野への展開が期待されるとともに,近時伸長の著しい無店舗販売,コンビニエンス・ストア等の物流以外の分野におけるコンビニエンス型生活産業との連携も一層高まっていくものと考えられる。
  (消費者保護と消費者物流市場の健全な発達のための施策)
  このように展開している消費者物流市場が従来型の物流市場と基本的に異なる点は,一方の当事者がいわば物流の素人であることであり,この市場の健全な発達を促進するためには,消費者の利益保護を図り,物流事業者の提供するサービスヘの信頼を確保することが必要である。
  そのために,以下に述べるような行政施策がとられてきているが,消費者物流市場においては引き続き新しいサービスが展開していくことが予想されるので,これらの動向を充分に把握し,必要に応じ適切迅速な行政対応が行われることが重要である。

  (産地直送宅配便)
  そのひとつとして,近年特に注目されているものに,産地直送宅配便があるが,トラック運送事業者の主体的な取組みによる取扱個数は60年度で約164万個となっており57年度から年々倍増に近い伸びを示している 〔5−2−2図〕。産地直送宅配便は,宅配便事業者にとっての新たな輸送需要を拓いているのみならず,各地方で活発化している特産品販売との提携を進めることにより地域の振興に資するものでもあると期待されている。

  (物流事業者にとっての無店舗販売)
  物流事業者が無店舗販売に進出する場合の形態としては,自ら又はその子会社が無店舗販売を行う場合と,他の無店舗販売を行う企業と提携関係を結び自らは物流事業者として商品の在庫管理から代金引換えまで含んだ総合的なサービスを提供する場合とがある。無店舗販売は,物流事業者が,物流ネットワークと情報化を武器として異業種との提携を進めること等により関連事業への進出や既存事業の拡大を図っていく上で,ひとつの柱になるものと考えられるが,物流事業者にとってはリスクを充分に見極めた上でノウハウの蓄積を図っていく必要があり,また,消費者からの苦情を迅速,適確に処理する体制を整備していくことが重要である。


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