2 港湾整備における民間活力の活用


(1) ポートルネッサンス21の創設と民活法の制定等

  (ポートルネッサンス21の創設)
  総合的な港湾空間を創造するためには,岸壁,臨港道路,緑地等の施設に加え,旅客ターミナル施設,国際交流施設,マリーナ等の近年特に要請の高まっている施設の整備を行う必要がある。これらの施設整備を円滑に行うためには,従来から行われている公共事業と,民間活力を活用したこれら施設整備を有機的に組み合わせて促進していくことが必要である。
  このため,運輸省では,官民の事業を統一的な考えのもとに計画的かつ一体的に行うための仕組みが必要であると考え,61年度,「ポートルネッサンス21」を創設した。「ポートルネッサンス21」では,港湾の開発整備の拠点となる地区の整備を推進するため,港湾管理者が運輸省の指導・助言を得つつ,関係者の意見を聴いて総合的な地区整備のマスタープランとして基本計画を策定し,この計画のもとに,港湾整備事業,民間事業等を実施し,高度化し多様化する港湾への要請に対応した港湾の整備を推進することとしている。このような港湾の整備を促進するため,後述する民活法に基づく税の優遇措置や日本開発銀行等の出融資制度等の支援措置を講じるとともに,公共事業の重点的実施を図るなど官民協力していくこととしている。
  (民活法の制定等)
  総合的な港湾空間の創造に資する施設のうち,経済社会の発展に即応した港湾の開発整備を図るための拠点となる国際見本市場,国際会議場,旅客ターミナル施設及び港湾業務用施設は,民間の活力を活用して整備の促進を緊急に図るべき政策的意義の高いものである。このことから,いわゆる民活法(民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法)を制定し,運輸大臣の定める基本指針のもとに民間活力を活用した整備を促進することとし,税制面においても特別措置を講じることとした。
  (埋立事業における民間活力の活用)
  また,これらの施設整備と関連の大きい埋立事業のうち他人に譲渡し,使用させることを目的とするいわゆる分譲埋立については,昭和48年の港湾法の改正により,国又は地方公共団体並びにこれらが過半出資する第三セクターのみ認められることになっていたが,これについても民間活力の活用を図り,内需の拡大に資するため,61年4月に決定された総合経済対策に基づき,同年7月,地域の総合的発展に著しく寄与すること等の条件を満たす埋立については,国又は地方公共団体の出資が1/3を超える法人についても認めるよう,公有水面埋立法施行令の一部を改正した。

(2) 港湾民活プロジェクトの推進

  運輸省では,上記の制度の活用を図り,港湾再開発事業や人工島整備等において,総合的な港湾空間の創造に資する民活プロジェクトを積極的に推進することとしており,61年度においては,全国の約20港において検討が進められている。
  (民活プロジェクトの事例)
  現在,早期に事業着手が予定されている民活プロジェクトとして,いずれも民活法の特定施設を核としたものであるが東京港,横浜港,釧路港及び八幡浜港がある。
  東京港竹芝地区においては,埠頭の再開発を行い,港湾管理者が,岸壁,旅客上屋,緑地等を,第三セクターが,港湾業務用施設,多機能ホール,商業施設等を一体的に整備し,利便性が高く快適な旅客船ターミナルを整備するとともに,港湾業務機能の高度化,市民に親しまれる親水空間を形成することが計画されており 〔6−1−2図〕,61年度には,事業主体となる第三セクターが設立される予定となっている。横浜港においては,みなとみらい21地区において国際会議場,国際見本市場,ホテル等を整備し,国際交流地区を形成することが計画されている。釧路港においては,埠頭の再開発を行い,旅客ターミナル施設,ポートタワー,シーフードレストラン等を整備することが計画されており,恵まれた水産資源という地域の特性を活かした民活プロジェクトとなっている。八幡浜港においては,港湾業務機能の高度化を図るとともに港のシンボルとして市民が港や海に親しむことのできる空間を形成するため,港湾業務用施設,展望施設,緑地等を整備することが計画されている〔6-1-3図〕。


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