3 交通弱者対策


  身体障害者の社会参加の機会増大や,いわゆる長寿社会の到来等に対応して,身体障害者及び高齢者等の交通弱者が目的地まで移動する際の円滑なモビリティーの確保は重要な問題となってきている。特に高齢化については今後急速に進展し,昭和96年には国民のほぼ4人に1人が老人(65歳以上)という世界一の高齢化国家になることが見込まれている(厚生省人口問題研究所「日本の将来人口新推計について」による。)。
  このため運輸省は,従来から公共交通機関の維持・整備に努めているが,さらに交通弱者が公共交通機関を利用する際にできるだけ身体的に負担がかからず,かつ,安全に移動できるよう,各交通事業者に対し,旅客輸送サービスの向上の一環として,鉄道駅等におけるエレベーター,エスカレーターの設置,段差の解消(スロープ化),低床・広ドアバスの導入,シルバーシートの設置等交通弱者のための施設整備についても努めるよう指導を行っており,各交通事業者において施設整備を着実に進めている。
  また,これらの施設整備と併せて,交通弱者に対し公共交通機関の利用に関する種々の情報を提供することも有効な方策であり,56年度以降,身体障害者のための公共交通機関利用ガイドブック及びガイドブック作成マニュアル等を作成し,各地方公共団体等に配布したところであるが,61年度はさらにこれらの交通弱者が目的地まで移動する際に種々の時点,地点で必要となる各種情報について,交通弱者が持つそれぞれのハンディキャップの態様に応じた提供方法,内容等の検討を進めている。


表紙へ戻る 目次へ戻る 前へ戻る