1 情報化の意義
(運輸産業にとって情報化とは)
近年,我が国経済社会は,国民のニーズの高度化・多様化や産業構造の高度化等の状況と情報処理技術・通信技術の発達とがあいまって,高度情報社会に向けて急速に発展しつつある。このような流れのなかで,運輸産業の情報化も新たな展開が求められている。
運輸産業は,その性格からいって情報が重要な要素を占め,情報化が要請される分野である。情報化は運輸産業に次のような効果をもたらす。
@ 輸送機関の運行状況等の多種多量の情報を迅速かつ的確に収集,処理し,輸送機関に運行指示情報等を伝達する情報システムの構築により,輸送の安全が図られる。
A 情報システムの構築により,文書のやりとり,電話連絡等の手間を省くことができ,業務の合理化,省力化が図られる。
B 情報システムの構築により,交通情報,観光情報等の利用者の必要とする各種情報を豊富に,かつきめ細かく提供でき,利用者の利便の増進及び運輸の需要の喚起が図られる。
すなわち,運輸産業が良質で安価なサービスを提供していくためには,情報化に積極的に取り組んでいくことが必要不可欠となる。
さらに,情報ネットワークの活用によるカタログ販売等の無店舗販売の例にみられるように,情報化を活用することによって新たな事業展開が可能となり,運輸産業は,その事業基盤の強化,事業の活性化を図ることができる。
(運輸政策審議会答申)
このため,運輸省は,昭和59年10月,運輸政策審議会に対し「運輸における情報化を円滑かつ適切に推進するための基本的方策について」を諮問し,61年1月,(1)運輸関係情報システムの整備,(2)運輸関係施設の多角的高度利用の推進,(3)地域における情報化の推進,等を主な内容とする答申を得た。
そこで,本節では,この答申を踏まえつつ,運輸産業における情報化の推進方策について述べることとしたい。
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