2 新海洋秩序への対応
(着実に増加する海洋法条約批准国)
海洋の開発・利用の前提となる海洋をめぐる国際的な秩序のあり方については,昭和57年に採択された「海洋法に関する国際連合条約」(以下「海洋法条約」という。)により,新たな基本的枠組みが形成されようとしている。
海洋法条約は,領海,排他的経済水域,大陸棚,国際海峡,海洋環境の保全,深海底資源開発等の制度を内容とするものであり,運輸省の行政に広く関わるものであることから,運輸省では同条約の批准に備えて所要の準備を進めている。なお,同条約は,60の国等が批准又は加入した後1年で発効することとされているが,61年10月末現在,署名数159,批准数32となっている。
(管轄海域確定のための調査の実施)
海洋法条約の下では,各国は排他的経済水域や大陸棚において,漁業,資源開発,海洋調査等に関する主権的権利等を有することになり,我が国の権益を確保するために,我が国が一定の管轄権を有する
海域(以下「我が国の管轄海域」という。)の確定が必要となる。
そのためには,まず世界測地系に基づく我が国の正確な位置を求める必要があり,従来より測地衛星「ラジオス」を使用してレーザー測距観測を行ってきたが,61年8月に新たに打ち上げられた国産測地衛星「あじさい」を用いて,62年度から本土と離島の位置関係を高精度で求めることとしている 〔8−5−1図〕。
また,我が国の管轄海域の基線を明らかにするため,低潮線等の詳細な調査を実施するとともに,大陸棚の範囲の確定等に資するため,60年度は南西諸島付近等3海域において調査を行った。
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