1 進展する航空輸送


(1) 航空輸送の現状

  我が国の航空輸送は,国民の所得水準の向上と産業活動の活発化による時間価値の高まり等を背景とし,旅客,貨物ともに急激な発展を遂げ 〔3−1−1図〕, 〔3−1−2図〕,現在においては,国際旅客と国内長距離旅客の大半が航空を利用し,遠距離高速輸送の主要な担い手として位置づけられており,また,貨物についても付加価値の高い製品を中心に幅広く利用されるに至っている。

  昭和60年8月の日航機事故の影響により61年7月まで前年同月の輸送実績を下回っていた国内航空旅客については,8月には,初めて前年同月の輸送実績を超え,9月以降も事故の影響のなかった前々年度の実績を上回るに至り,61年度実績は4,636万人で対前年度比5.9%増と,着実に事故の影響から回復しつつある。
  また,国際旅客については,国際化の一層の進展等を背景に増加してきた。
  今後とも,航空輸送のもつ高速性,快適性,利便性等の特性からみて,旅客・貨物とも中長期的にみると輸送需要は引き続き着実に増大していくものと見込まれる。

(2) 我が国の航空ネットワークの特徴

  我が国の国内航空ネットワークの最大の特徴は,需要の大多数が東京国際空港と大阪国際空港の2つの空港に集中している点である。61年度の実績では,東京又は大阪の少なくとも一方の空港を利用した旅客は77.6%に上っており,環境対策上の運用制限により増便が極めて困難なこともあって大阪国際空港のシェアは減少しつつあるものの,旅客はこの2つの空港に集中している。
  さらに国際線についても,61年度実績では,国際線旅客のうち,新東京国際空港,東京国際空港及び大阪国際空港のいずれかの国際空港を利用する旅客は全旅客の91.1%にも上っている。
  このような需要の集中は今後とも続くと考えられるが,3空港の処理能力は限界に達しつつあることから,各国からの新たな乗入れ希望等にも十分に応じられない状況にある。


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