3 造船業経営安定対策


(1) 操業対策

  (需要の創出,船舶解撤事業の促進,操業調整)
  設備処理を実施しても,短期的には仕事量が相当不足すると予測されているため,これを補うため官公序船の代替建造の促進,経済協力船の建造促進等に努めているほか,海上浮体ビル,海洋レジャー施設等船舶や造船の設備と技術を活かした浮体構造物の新規需要の開拓に努めている。さらに,造船事業者の仕事量の確保と外航海運における船腹過剰の解消を図るため,船舶解撤促進助成金制度の充実を図るとともに,国際的に解撤事業を促進するため,調査研究等を実施している。
  一方,新造船需要の低迷に対応するため,62年度は,主要造船企業間において独占禁止法に基づく不況カルテルが結成され,標準貨物船換算トン数で300万トン程度の操業量に抑制することとした。

(2) 雇用・関連地域・中小企業対策

  (深刻化した雇用・関連地域情勢)
  造船造機統計月報によると,61年12月末現在の造船業の従業員数は,約9万9,000人であった。これは,60年12月末現在と比べ3万5,000人,26%の減少であり,工事量の減少に伴い,雇用,関連地域及び関連中小企業への影響が深刻化している。
  このため,「特定不況業種関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」,「特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法」等に基づき業種の指定等を行っているほか,61年12月には「特定地域中小企業対策臨時措置法」,62年4月には「地域雇用開発等促進法」及び「産業構造転換円滑化臨時措置法」に基づき造船関連地域の指定を行い,雇用,関連地域及び関連中小企業対策に努めている。

(3) 中小造船業対策

  (第3次中小造船業構造改善事業の開始)
  中小造船業の近代化については,仲小企業近代化促進法」に基づく近代化計画及び構造改善計画により,従来から所要の施策を行ってきているが,62年7月に経営の戦略化に主眼を置いた第3次中小造船業近代化計画を告示した。これを受けて,11団体・579の造船企業が参加した5か年間にわたる構造改善計画を開始した。本計画では,コンピュータリゼーション,経営指導,共同マーケティング,新商品の開発等を主要な目的としている。


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