2 造船業における新分野への展開
造船事業者においては,経営の安定化や雇用の確保に資するため,事業の多角化や新分野への展開が進められている。
(事業の多角化及び新分野進出)
大手企業については,造船ばかりでなく,機械,プラント等幅広い分野を有しているが,最近の円高等の造船業をとりまく状況の厳しさに対処するためさらに多方面の分野への進出を図っている。中小企業についても厳しい経営状況の中で事業の多角化を図っているが,ほとんどが造船専業であること,技術力・資本力に限界があること等から必ずしも円滑に進んでいるとはいえない。
造船業の新分野への進出として注目されるものとしては,造船業の技術や施設を活用して,海域の有効活用を図る各種のプロジェクトがある。
具体的には,ホテル,コンベンションホール,ショッピングプラザ等で構成される海上浮体ビルを建造する計画,タンカーや自動車専用船を利用し海洋マリーナ施設を整備する計画既存の大型タンカーを改造し多目的ホール,レジャープール,ビジュアルホール,水中レストラン,グルメ街,展望レストラン,駐車場,宴会場等の多巨的機能を有する総合的レジャー・文化施設を整備する計画等が検討されている。
これらの計画は国民生活の質的向上に重要な役割を果たすばかりでなく,造船事業者の仕事量の確保,過剰船腹の解消による海運市況の回復に貢献することにもなるので,政府としても資金的援助等の支援措置を積極的に図る必要がある。
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