2 物流技術の開発・導入


  (新しい物流技術の開発)
  近年,物流に対する荷主のニーズは高度化・多様化し,物流コストが上昇する要因となっており,物流事業者は物流コストを削減するとともに,質の高いサービスを提供するという新たな課題に対応する必要に迫られている。このため,荷役等の労働集約的な作業部門を中心として,機械化・自動化による合理化を進めるとともに,物流事業のニーズに即した新しい物流技術を開発していく必要がある。
  最近の物流技術は,立体自動化倉庫,自動仕分機,無人搬送車,オーダーピッキング装置注)等物流拠点における作業の機械化・自動化に関する分野で著しい進展がみられ,これらの技術は大手物流企業を中心に積極的に取り入れられている。また,輸送技術については,商品別専用車両,荷台上荷役装置付車両等トラック分野で進展しており,その多様化が進んでいる。さらに,最近,新しい輸送形態として,鉄道貨車に小型トラックを直接搭載・輸送するピギーバック輸送が開始されており,今後は,大型トラックを搭載できる専用低床貨車の実用化が期待されているところである。
  このような状況を踏まえ,今後の技術開発に当たっては,@自主開発力の弱い中小物流企業のニーズに即した小型で廉価な物流機器の開発,A情報処理技術と物流機器の機能を一体化する「システム化技術」の開発,B荷役ロボット等先端技術の積極的な導入,C複合一貫輸送等新しい輸送形態に対応した技術開発などに,より重点をおいて取り組んでいくことが必要となる。
  (物流技術の導入の促進)
  物流業界における物流技術の導入は,物流事業者の大半が中小事業者であるという実態から,必ずしも満足できる状況にない。これらの事業者は,新しい物流設備・機器の導入に関し,技術情報の入手困難・人材の不足,設備資金の確保が難しい等の問題を抱えており,自助努力にも限界がある、このため,物流技術の導入を促進するための積極的な施策の展開が求められており,その推進策として,62年8月,物流技術に関する調査研究,技術情報の収集・提供,技術担当者の人材養成等を行うことを自的にした(財)物流技術情報センターが設立されたところである。今後は,同センターを中心に,物流技術に関する調査研究が積極的に行われるものと期待される。

注)オーダーピッキング装置:注文された貨物を在庫の中から自動的に搬出するための装置


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