3 物流拠点の整備
(物流近代化ターミナルの整備)
昨今,荷主の物流ニーズが高度化かつ多様化してきている状況のもとで,トラック輸送の拠点である一般トラックターミナル注)についても,従来の混載積換機能を中心とした施設の整備に加え,商品のラベル貼り,値札付け,詰合わせ,梱包,組立等の流通加工のための専用スペースの確保,ターミナル機能の一部として求められる情報化の要請に対応した機能の付加,さらには商品の展示スペースの提供など,総合的機能を有する物流施設の整備を進めていくことが必要となっている。このため,現在,日本自動車ターミナル(株)の葛西トラックターミナルにおいて,このような多機能を有する「物流近代化ターミナル」の建設計画が進めら
(物流高度化基盤施設整備構想)
また,最近,物流近代化ターミナル構想をさらに発展させた形の「物流高度化基盤施設整備構想」が提唱されている。
本構想は,トラックターミナル,倉庫,上屋等の物流拠点を形成する施設を高層化し,物流近代化ターミナルの機能に加えて,物流事業者の営業拠点としてのオフィススペースや物流事業者の用に供する会議場,研修施設その他の共同利用施設をも有した付加価値の高い物流拠点として形成し,物流ニーズの高度化・多様化に積極的かつ機動的に対応するとともに,併せて,貴重な土地資源の効率的高度利用を図ろうというものであり,本構想の実現のために,様々な行財政措置の実施を検討しているところである。
(物流拠点の再開発による高度利用)
大都市地域におけるトラックターミナル,港頭地区の倉庫,上屋群,鉄道の貨物駅等の既存の物流拠点については,経済・社会環境の急速な変貌に伴い,施設の老朽化・陳腐化が進み,機能が低下することが予想されるため,高度化する物流ニーズに対応すべく,施設の近代化及び物流機能の高度化を図っていく必要がある。
一方,大都市地域における物流拠点については,稀少な土地資源の有効活用と事業の多面的展開という観点から,現在の平面的利用から脱却し,トラックターミナルのプラットホームの多階化,倉庫の高層化等を図るとともに,物流拠点を単に物流拠点としてのみならず,業務,商業,居住空間をも収容し,空間の複合利用を図っていくことが要請されている。
このような観点から,全国レベルにおいて,概存の物流拠点の現状及びその抱えている問題点を把握するため,アンケート調査並びに実地調査・ヒアリング調査を実施するとともに,学識経験者,トラックターミナル事業者,倉庫・港運事業者,貨物鉄道事業者,デベロッパー,地方公共団体等で構成される委員会を設置して,物流拠点の高度利用方策の検討を行っているところである。
(航空貨物関連施設の整備)
我が国の航空貨物の輸送量は45年度から61年度までで,国際線9.3倍,国内線5.2倍の伸びになっており,その成長には著しいものがあるが,これは,時間極値の高まりを反映して高速輸送に対するニーズが高まっていることのほか、空港における滑走路及びターミナル地域の諸施設の拡張整備により大型航空機の導入や新規路線の開拓が行われ,貨物取扱能力が増大したことによるものである。
この航空貨物を取り扱う貨物ターミナル施設については,空港内に設けられる場合と,空港外に設けられる場合がある。我が国のほとんどの空港においては,空港内で集中処理しているが,新東京国際空港(成田)においては,仕分基準を設けて空港内で通関する貨物を特定し,それ以外の貨物を,より都心部に近い空港外にある東京エアカーゴシティターミナル(TACT)において通関するシステムを取っている。こうした空港外の航空貨物流通施設の整備については,日本開発銀行から融資が行われている。
これから整備される航空貨物ターミナルについては,新東京国際空港(成田)における貨物取扱量が現有施設の適正取扱能力を超える伸びを示していることから,今後の国際化に伴う国際貨物の増加を配慮した十分な取扱い能力を有するものが求められる。
注) トラックターミナル:トラック幹線輸送と末端の集配輸送の接点として設けられた設定で,貨物の混載・積換作業を行うことにより,積換え効率の向上,重複輸送の回避を目的としている。れている。これは今後の一般トラックターミナルの進むべき一つの方向を示すパイロット事業であることから,運輸省としても全面的に支援しているところであり,62年度予算において日本開発銀行の出資並びにトラックターミナル一般に比してより優遇された金利による融資が認められているところである。
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