3 港湾運送業
(構造改善対策)
港湾運送業は,産業構造の変化,円高等に起因する船舶積卸量の減少により厳しい経営状況下にあり,特に,はしけ運送業等の在来荷役型港湾運送業は,革新荷役の進展等の影響もあって需給の不均衡が恒常化し,長期的にみてもその回復が期待し難い構造不況に陥っている。
このため,関係不況対策法に基づき在来荷役型港湾運送事業等を対象業種に指定し,雇用調整助成金等の支給措置を講じている。
また,いかだ運送業,港湾荷役業について(財)港運構造改善促進財団を通じ,事業者からの拠出金等を原資とした構造改善のための助成措置を講じている。さらに,はしけ運送業についても,61年5月に5大港(京浜,名古屋,大阪,神戸,関門の各港)のコンテナターミナル運営料金に設定した付加料金による収入を原資として,同財団を通じ,一般港湾運送事業者のはしけ基盤から統括管理基盤への移行,はしけ専業者の転廃業,集約合併,協業牝等に際して助成措置を講じている。
このほか,(財)港湾労働安定協会を通し,離職者に対する生活助成金,転職資金等の支給を行っている。
(総合物流業をめざして)
近年の物流ニーズの高度化・多様化,本邦企業の海外現地生産の拡大等に伴う国際物流の変化等に対応し、港湾運送事業者も国際複合一貫輸送,物流情報システム化等に積極的に取り組んでいる。
一例を挙げれば,港湾運送事業者32社の出資により60年11月,青海物流センター(株)が設立されたが,62年10月,同センターの管理運営する大規模物流施設2棟が東京湾の青海コンテナ埠頭の背後地に完成した 〔6−3−1図〕。同施設は,荷さばき機能のほか輸入商品展示機能,コンピュータによる物流管理機能等を併有しており,今後,国際複合一貫輸送のための基地としての利用が期待されている。
また,船積書類の作成及び受渡しの簡略化を目的とする港湾貨物情報ネットワークシステム(SHIPNETS)は,61年4月から京浜港で本格稼働しているが,その後も対象港の拡大,システムの多機能化に向けての努力がなされている。
なお,こうした港湾運送事業者の新たな事業展開等を支援するため,62年4月から(財)港湾運送近代化基金の助成要綱を改正し,国際複合一貫輸送のための物流拠点整備,物流情報システムの開発及び購入等に対する助成を強化したところである。
今後,港湾運送事業者が海陸交通の結節点としての港湾を活動基盤としていることの優位性を生かしつつ,総合的な物流事業者へと発展していくことが期待される。
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