4 利用運送業


  (通運事業の現況と国鉄改革への対応)
  鉄道貨物輸送の長期にわたる低落とこの間の国鉄貨物の相次ぐ合理化等は,通運事業の経営を厳しいものとし,大幅な縮小に追いこんだ。45年度に2億4,400万トンであった通運取扱量は,61年度には7,784トンまで減少している。こうした状況の中で62年4月に国鉄の抜本的改革が実施され,貨物事業は,全国一元体制の日本貨物鉄道株式会社(JR貨物会社)へ移行した。これにより通運事業も新たな時代を迎えることとなるが,鉄道貨物輸送をとりまく状況は依然として厳しいものがあり,今後の展望も決して楽観を許すものではない。通運事業者は今後とも一層の合理化努力や創意工夫による事業の活性化を図るとともに,経営の多角化,総合化を迫られていくことになろう。
  今回の国鉄改革に伴い,通運制度を新しい販売方式の導入に対応したものとし,また,あわせて行政の簡素化にも資するよう,通運事業法の改正を行い,通運事業免許について,従来の通運取扱業,通運代弁業及び鉄道利用業に関する3種類の免許を鉄道運送取扱業に統合するとともに,取扱駅についてその追加を機動的に行えるよう従来の免許事項から事業計画の記載事項とし,62年4月から施行している。
  また,貨物会社の健全な発展を図っていくためには,鉄道と通運・トラック事業との協調関係を更に強化していく必要があるが,こうした観点から,61年より貨物会社と通運事業者等からなる鉄道貨物協議会等を頻繁に開催している。さらに,鉄道貨物輸送体制の変化に伴う急激な影響を緩和するために,通運事業者に対し,従来より行っている運輸事業振興助成交付金による利子補給事業の実施等の措置の充実・強化を図っていくこととしている。
  (利用航空運送の競争の激化と共同積荷(コ・ロード〉の容認)
  航空貨物輸送は,近年着実に伸びてきているが,航空会社の行う運送を利用して混載運送を行う利用航空運送事業も,重量ベースで国内・国際ともここ10年間平均10%を超える伸びを示している。航空貨物全体に占める混載貨物の割合は,国内においては約75%,国際においては約70%(いずれも重量ベース)と,航空貨物の輸送にとって重要な役割を果たしている 〔6-3-2図〕

  国際利用航空運送においては,現在,邦人系15社,外資系10社の計25事業者が存在するが,近年,同業界の規模の拡大に伴う新規参入が増加しており,62年にも新たに3事業者が参入している。また,60年4月の日米航空暫定合意に基づき,62年度以降,米国より小口航空貨物専門企業が我が国へ参入してくることが予定されているが,同企業はキャリアー(実運送人)であると同時にフォワーダー(運送取扱人)であるフォワーダー・キャリアーと呼ばれる企業であるため我が国の利用航空運送業界に大きな影響を与え,競争は一層激化するものと予想されている。こうした状況も踏まえ,運輸省では各事業者の競争力の強化を図るため,61年12月より,従来禁止していた共同積荷(コ・ロード)を容認することとした。コ・ロードは,複数の事業者がそれぞれ集荷した貨物を航空会社に対して単一の荷主として積荷を行い高重量帯における低運賃を享受するものである。この結果,現在までに3グループ12社によるコ・ロードが実施されている。
  一方,国内利用航空については,臨時行政改革推進審議会答串の指摘をうけて,その運賃について,市場の需要動向や利用者の出荷量等に対応して弾力的な運賃設定が行えるよう,幅運賃制度を導入することとし,62年3月その旨を関係業界に対し通達した。具体的な導入は今後の運賃改定時に行われることとなっている。


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