2 安定的な経済社会活動を支えるための港湾の整備
石油の安定供給の確保,石油代替エネルギーとしての石炭,LNG,LPG等の輸入の増加に対応し,エネルギーの安定的供給を確保するための港湾の整備を積極的に推進している。62年度は,民間の資金を有効に活用したエネルギー港湾の整備を相馬港,名古屋港等7港で実施している。また,石炭輸入のための物資別専用埠頭港湾として船舶の大型化に対応した大水深バースの整備を四日市港,大船渡港で実施している。さらに,穀物,木材等の運搬船の大型化や荷役形態の変化に対応した多目的公共大型バースの整備も新潟港等25港で実施している。
高質な輸送サービスが求められるなかで,海上輸送についても安全で安定的な海上輸送体系の構築を図るため,船舶航行がふくそうする海域での航路の整備や荒天時の船舶の避難のための避難港等の整備を推進している。また,荷役機械や船舶の自動化・高速化に対応し高速で安定性の高い荷役の確保のため,防波堤等の整備を行っている。
我が国の港湾整備が着実に進められ,港湾施設ストックも大幅に増加している。今後,これらの港湾施設を良好な状態に維持し,長期にわたって有効に利用することが国民経済,安全性の確保の観点にとどまらず,港湾空間の有効活用の面からも重要となっている。このため,港湾施設の劣化を回復するための港湾施設の補修制度を62年度新規に創設し,名古屋港等29港で補修事業を行っている。
(4) 港湾の施設の技術上の基準の充実と民間技術開発への支援
港湾の整備に対する要請の多様化,港湾の技術に関する開発成果の蓄積等に対応して,港湾の施設の技術上の基準の見直しを64年度を目標に進めている。特に,近年問題となっている鋼材腐食,コンクリート劣化や地盤の液状化については緊急に対処する必要があり,技術上の基準を補完するためのマニュアル等の整備を行った。
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