3 総合輸送活動指数の動向


(1) 最近の輸送活動指数の動向

  (総合輸送活動指数の動向)
  総合輸送活動指数は,年々増加傾向を保っており,その動きは実質民間最終消費支出と高い相関を示している 〔9−1−33図〕。これは活動指数を構成する輸送機関のうち個人消費と関連のある自家用乗用車輸送のウェイトが高いためである。消費の着実な伸びが続けば,今後とも,総合輸送活動指数は増加傾向で推移するものと考えられる。

  (営業用輸送活動指数の動向)
  経済成長と輸送活動の関連をみるために,実質GNPと営業用輸送活動指数の動向をみると 〔9−1−34図〕,営業用輸送活動は,伸び率はやや下回るものの経済成長とともに拡大している。このうち営業用貨物輸送活動指数は,実質GNP弾性値の平均が1を上回る動きをみせており,貨物輸送活動が経済成長に貢献してきたことがうかがえる。一方,営業用旅客輸送活動指数は,57年度に一時減少した後,59年度にようやく基準年(55年)の水準に回復したが,その伸び率はごく小幅なものとなっている。

  この要因をみるために貨物,旅客別に最近5年間の輸送機関別の輸送活動指数の増減を示したのが、 〔9−1−35図〕である。まず営業用貨物輸送についてみると,最近の輸送活動の好調な伸びは,営業用輸送のなかで大きな付加価値ウェイトを占める自動車(トラック)輸送の大幅な伸びが寄与していることがわかる。この他,国際輸送も増加要因となっているが,鉄道,内航海運輸送は減少している。

  次に,営業用旅客輸送をみると,鉄道,国内航空及び国際輸送は大幅に増加しているものの,ウェイトの大きい自動車輸送(バス,ハイヤー・タクシー)の減少が大きく,全体としては5年間で1.6%の伸びにとどまっている。

(2) 61年度の輸送活動指数

  61年度の我が国の実質GNP成長率は2.6%と鈍化したものの,実質民間最終消費支出は3.0%増と着実に増加した。このようななかで,61年度の総合輸送活動指数は,前年度の伸び率は下回ったものの,対前年度比3.5%増となった 〔9−1−36図〕

  このうち国内貨物輸送をみると,61年度のトンキロベースの輸送量が,対前年度比02%増と伸び悩んだなかで,機関別には,内航海運及び鉄道の輸送量が減少し,付加価値ウェイトの高い営業用自動車の輸送量が大きく伸びた結果国内貨物輸送活動指数は対前年度比4.5%増と増加した。また,営業用輸送活動指数は同6.9%増であった。
  次に,国内旅客輸送についてみると,61年度の人キロベースの輸送量は,対前年度比2.0%増であったが,自家用自動車の輸送量が伸びたこと等により,国内旅客輸送活動指数は対前年度比3.3%の増加となった。このうち営業用輸送活動指数は,同03%増にとどまった。


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