4 国鉄改革を推進・定着化させるために


  このように,国鉄改革の初年度については,輸送量,決算状況のいずれの面からみても国鉄時代に比べて改善が図られており,この意味で,鉄道の再生をめざした国鉄改革は順調にすべり出したと考えているが,各法人とも今後も国鉄改革の推進・定着化を図っていくにあたり引き続き取り組むべき課題を抱えている。
  JR各社については,利用者重視の安全で良質な輸送サービスを提供し,地域に愛される鉄道事業の展開を目指して引き続き努力を重ねるとともに,経営面においても,民間会社として安定的な利益を継続的にあげることが可能となるような健全な経営基盤をできる限り早期に確立するよう経営努力を傾注する必要がある。また,国鉄再建監理委員会意見においては,「『旧国鉄』は,新事業体に対する出資株式を適正かつ有効な方法で売却し,その収入額を長期債務等の処理財源に充てる。」こととされているが,この趣旨を具現化するためにも各社における経営基盤の確立は急務であると考えられる。
  また,事業団については,将来的に発生する費用も含めた要処理債務が,62年度首の25.6兆円から62年度末には26.2兆円に増加しており,当面土地売却を促進することが必要であるが,地価対策にも配慮して地価を顕在化させない土地の処分方法の検討等を進め,できるだけ早く具体化可能なものから実施に移す必要がある。
  さらに,再就職を必要とする事業団職員のうち約4,300人が再就職先未定であるが,これらの職員は雇用情勢の厳しい北海道及び九州地域に集中していることから,今後は,教育訓練,個別求人開拓,職業紹介等の再就職対策をきめ細かく実施していくほか,全国的観点からも対策を進め,事業団職員の再就職の促進を図ることとしている。
  政府・運輸省としては,これらの課題について,鉄道事業の再生という改革理念の下,引き続き国鉄改革の推進状況に対応した諸環境の整備を図る等必要なあらゆる努力を継続していくこととしている。


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