3 複合一貫輸送サービスの推進
(1) 複合一貫輸送の進展
近年,船舶,鉄道,航空機,トラックといった複数の輸送機関にまたがるサービスを,一人の運送人が一貫して引き受ける複合一貫輸送が,特に国際物流の分野を中心に進展している。このような国際複合一貫輸送の担い手としては,船社,航空会社といった幹線部分に運送手段を保有している者のほか,運送手段を持たない利用運送人であるフレイト・フォワーダーが活躍している。フレイト・フォワーダーの国際複合一貫輸送は,@多様なルートを形成できる,A輸送に付帯するサービスを提供できる,Bドア・ツー・ドアのキメ細かいサービスが提供できる等の利点があるため,貿易量全体が伸び悩むなかで,その輸送量は増加傾向にある。
国際複合一貫輸送の輸送ルートとしては,欧州航路のバイパスとして定着しているシベリア鉄道経由欧州・中近東向け一貫輸送(シベリア・ランドブリッジと呼ばれる。),主に欧州向けに行われている海上運送と航空運送を組み合わせた一貫輸送(シー・アンド・エアと呼ばれる。)や米国,欧州,韓国,中国,アフリカといった地域の内陸までの一貫輸送である。内陸輸送については,特に,米国において,近年,船社を中心にDST(ダブルスタック・トレイン:コンテナ二段積み専用列車)の導入が行われるなど,サービスの拡充が図られている。
(フレイト・フォワーダーの活動基盤整備)
国際複合一貫輸送の担い手であるフレイト・フォワーダーについては,一貫輸送責任を負う運送人としての歴史が浅いこと,様々な事業者による事業が展開されていることなどの理由により,信用力が不十分な事業者も見られるほか,責任関係の対応にバラつきがあるため,取引に円滑さを欠く事態もみられる。
こうした状況にかんがみ,60年9月に公益法人化された(社)日本インターナショナルフレイトフォワーダーズ協会(JIFFA)を通じて,標準的な運送約款の検討,国際的知識やノウハウを有する人材の育成,情報システムの整備等の方策を進めている。特に,標準的な運送約款の制定については,62年度,学識経験者等からなる検討委員会を設け,検討を行い,日本語による草案を策定したところである。これにより,責任内容の統一化,取引の円滑化を促すとともに,今後,英文の正文を策定し,その普及を図ることにより,フレイト・フォワーダーの国際複合一貫輸送の推進を図ることとしている。
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