2 フラッギング・アウト問題への対応


(1) 欧州諸国の状況

 (各国とも国情に応じた対策を実施)
  主要先進国の船腹量は,軒並減少しており,特にノルウェー,英国においては減少が著しく,両国とも55年から62年までの間で船腹量が約7割も減少した。フランス,オランダ等他の西欧先進国においても,程度の差はあるものの総じて自国籍船が減少している。
  船腹量の増減は,船舶の海外流出入,船舶の喪失及び解撤,新造船の竣工等の諸要因により決まるものであるが,61年中の主要先進国の船腹量の増減を要因別にみると,船腹減少分のうちの大部分がフラッギング・アウト(自国籍船の海外流出)によるものとなっており,ノルウェー,西独では約99%,英国では約94%がこのフラッギング・アウトによるものである 〔7−1−2図〕

  このような状況に対応して,各国とも種々の検討を行っており,例えば,ノルウェーのように国際船舶登録制度等の新制度を導入した国,あるいは,既存制度を新たな観点から見直し,その活用を図っている国等それぞれの国情に応じた対策が実施・検討されている。

(2) 我が国の状況

 (フラッキング・アウトにより日本船減少)
  我が国においても,日本籍船は50年代末頃から既に若干の減少傾向を示していたが,最近になってその傾向は顕著となりつつあり,61年央には総トンベースで対前年比8.0%減,62年央には8.5%減とかなり大幅な減少を示した 〔7−1−3表〕

  これは,全般的な船腹過剰状況のもとでの解撤の進展によるところも大きいが,その最大め原因はフラッギング・アウトである。
  日本籍船の外国への譲渡推移を見ると,最近まではおおむね200万トン台で推移していたものが,61年,62年になると急増し,ほぼ倍の500万トン台半ばに達した 〔7−1−4図〕

 (高い船員コスト)
  このようなフラッギング・アウト急増の最大の理由としては,船員のコスト高が挙げられることが多いが,各国の船員の賃金水準を比較してみると,最近の円高の進展により,日本人船員の賃金水準は国際的にみて急速に高まってきており,特に部員の賃金は世界で最も高い水準にある。一般には発展途上国の船員コストと我が国のそれとは,おおむね5〜7倍の格差があるといわれている。
 (海運造船合理化審議会における検討)
  フラッギング・アウト問題については,62年12月,海運造船合理化審議会海運対策部会小委員会に,同問題に関するワーキング・グループが設置され,我が国としてはいかなる対応をとりうるか,現在検討が行われているところである。
  我が国としては,欧州諸国の対策を参考としつつ,中長期的観点から,制度改正等を検討していく必要があると考えるが,同時に現下の厳しい事業環境のもとでは,当面早急な実現を期待しうる方策を既存制度の活用を中心に検討していく必要があろう。
  いずれにせよ,現在の船員コスト構造のもとでは,何らかの新たな体制作りが行われなければ日本船隊の維持すら困難な事態に直面しており,混乗の実現も含めいかなる対応をとるとしても,その前提として労使間の合意作りが不可欠であろう。


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