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3 今後の造船対策
(海運造船合理化審議会造船対策部会の意見書)
61年6月の海運造船合理化審議会の答申を受け,62年度に前述のとおり,過剰設備の処理,集約化等の構造対策が実施されたが,この構造対策の実施状況,円高の進行等本答申以降の造船業を巡る環境の変化等を踏まえ,同審議会造船対策部会は,63年8月に,「今後の造船対策のあり方について」の意見をまとめ,運輸大臣に提出した。その概要は以下のとおりである。
(1) 構造対策のフォローアップ
今後の新造船需要について,超大型タンカーを中心とする使用期間の長期化,物流の軽量小型化等による海上荷動量の伸び悩み等により,我が国の新造船建造量は先の答申における予測値を下回り,当面300万CGT以下で推移すると見込まれる。この厳しい需要環境を踏まえ,62年度に実施された構造対策のフォローアップとして,以下の対策を講ずる必要がある。
ア 事業提携の発展・強化
当面の需要の低迷等に対応し得る体制の整備,経営基盤の一層の強化のため,事業提携の充実や新たな事業提携関係の形成に取り組む必要がある。
イ 国際協調の推進
過剰な船腹の供給抑制,低落した船価水準の改善等について国際協調を推進する必要がある。
ウ 過剰船腹対策の推進
船舶解撤の推進,船舶の二次利用の促進等により,過剰船舶の解消を図っていく必要がある。
エ 当面の需給対策
経済協力による船舶の建造の促進,官公庁船の代替建造による需要の創出に努めるとともに,64年度についても操業調整を行う必要がある。
(2) 活性化対策
長期にわたる不況は,設備投資や研究開発投資の低迷,就労構造の悪化等の問題を発生させ,造船業の基盤を脆弱化させつつある。造船業は当分厳しい状況が続くと考えられることから,構造対策のフォローアップを進める一方で,産業の活性化を図るため,早急に以下の対策を講ずる必要がある。
ア 技術開発
付加価値の高い需要分野の創出,船舶の高度化による海上輸送の効率化と代替建造の促進等を図る見地から,先進的技術の導入等により,次世代を担う技術開発を強力に推進すべきである。
イ 新たな海洋事業分野への展開
海域の有効利用に資する海上浮体施設等に対する潜在ニーズは極めて高い。このため,造船の技術を活かし,新たな海洋事業分野への展開を図るべきである。
(3) 舶用工業対策
我が国造船業の基盤をなす舶用工業においても,造船不況の影響を受け,経営基盤が脆弱化するとともに,技術開発力も低下してきている。このため,舶用工業の経営安定化を図るため,@生産の集中等による生産体制及び生産能力の適正化,A受注,資材購入等の共同化,B最近の技術革新に対応した異業種間の交流・協力等を推進する必要がある。特に,大型ディーゼル機関製造業について生産体制及び生産能力の適正化を図る必要がある。
運輸省としては,本意見書を今後の造船対策の指針とし,各種対策を推進することとしている。
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