4 その他の環境対策
(1) 港湾における廃棄物の処理
廃棄物の発生量の増加と都市化の進展による内陸処分場の確保難を背景として,海面処分に対する要請が高まっている。このため,運輸省では廃棄物埋立護岸の整備を積極的に推進しており,62年度には26港1湾において整備を行った。
特に,大都市圏では,広域臨海環境整備センター法に基づき,複数の自治体が共同で利用する広域処理場を整備し,広域的に廃棄物の処理を行うフェニックス計画を推進している。大阪湾圏域では,事業主体である大阪湾広域臨海環境整備センターが,64年度からの廃棄物の受入れをめざして,尼崎沖及び泉大津沖に広域処理場の整備を進めており,62年度から本格的工事に着手している。東京湾圏域においては,既存の廃棄物処理場がおおむね70年度までには受入れが限界に達する見込みであるため,早急にフェニックス計画を推進する必要がある。このため運輸省では,62年4月に厚生省と共同で東京湾フェニックス計画の基本構想を発表した。現在,この構想を受けて関係地方公共団体,港湾管理者等において検討が進められている。
(2) 地球規模の環境問題への対応
近年,二酸化炭素等の濃度増加による気温の上昇と降雨の地域分布の変化,フロン等によるオゾン層の破壊,砂漠化の進展など地球規模での環境悪化が懸念され,それらの実態把握,将来予測が重要かつ緊急な課題となっている。
気象庁は,世界気象機関(WMO)の地球環境監視システム等の一環として,大気及び海洋汚染の定常観測を実施しているほか,気象ロケット観測所(岩手県三陸町)では,大気中の二酸化炭素の定常観測や降水の酸性度測定を行うなど,全地球的な観測・監視体制の一層の整備・拡充に貢献するとともに,数値気候モデルの改良をめざして研究等を実施している。特に,最近注目されているオゾンについては,世界的な観測網の一環として,国内の4か所でオゾン観測を続けているほか,オゾンホール発見に貢献した南極昭和基地においても引き続きオゾン観測を実施している。
このほか,気象庁では,全国8か所に大気汚染気象センターを設け,主要都市における大気汚染対策に資するための気象予報及び情報を提供している。
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