1 公共投資


 (交通関係公共投資は1割強の増加)
  昭和62年度の交通関係公共投資(一般会計公共事業費以外の特別会計,財政投融資,地方単独事業を含む。)は, 〔9−2−1表〕のとおりであり,公的部門の財政措置を含む施策によって,内需を中心とした景気の積極的な拡大を図るための「緊急経済対策」もあって,総額10兆2,580億円,前年度実績比11.4%増と,大きな増加となった。

  個別部門についてみると次のとおりである。

(1) 鉄道

  鉄道全体では,20.8%減の4,725億円であった。
  そのうち,日本鉄道建設公団は,譲渡線分が大都市圏における輸送力増強のため,複々線化工事,新線建設工事が増加し27.5%増と増加したのに対し,貸付線分が津軽海峡線の開通により37.9%減と減少したため,全体では13.5%減の1,553億円となった。
  本州四国連絡橋公団(鉄道分)は,本四備讃線が完成に近づいたため,44.0%減の469億円となった。
  公営地下鉄は,札幌市東豊線豊水すすきの〜栄町間,東京都新宿線篠崎〜本八幡間,名古屋市鶴舞線庄内緑地公園〜上小田井間,名質屋市6号線中村区役所〜野並間,京都市鳥丸線北山〜北大路間,大阪市堺筋線動物園前〜天下茶屋間,大阪市鶴見緑地線京橋〜鶴見緑地間等の工事が61年度に引き続き増加となったが,仙台市南北線八乙女〜富沢間,横浜市1号線舞岡〜戸塚間,大阪市御堂筋線我孫子〜中百鳥間が開業したため,全体では16.9%減の2,615億円となった。
  また,公営ニュータウン鉄道は,神戸市西神中央〜学園都市間が開業したことにより,53.4%減の88億円となった。

(2) 港湾

  港湾全体では,19.7%増の8,019億円となった。そのなかで特徴的な事業としては,老朽化・陣腐化した岸壁の再整備等に併せ,空間の高度利用を図る港湾再開発事業や公共マリーナの整備事業がある。

(3) 空港

  空港整備は,東京国際空港の沖合展開が最盛期となったことと新東京国際空港の第二期工事が増加したため,35.3%増の2,625億円となった。
  なお,このほか,公共投資に準ずるものとして関西国際空港の整備事業費は工事が本格化したことにより,約2.6倍の1,955億円となっている。

(4) 船舶

  船舶は,船舶整備公団の事業金利が低位に推移したこと等により,3.1%増の弓73億円となった。
  62年度の各公共投資の交通関係公共投資全体に占めるシェアをみると,鉄道4.6%,港湾7.8%,空港2.6%,船舶0.5%,道路84.6%となっており,道路が1.0ポイントの増,空港が0.5ポイントの増,港湾が0.5ポイントの増とそれぞれ増加しているのに対し,鉄道が1.9ポイント減少している 〔9−2−2図〕


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