交通事故にあったときには冊子
10/40

2怪我をしたとき怪我をしたとき(1)医療機関6 交通事故にあったら、医療機関等を利用することとなりますが、病院(又は病棟・病床。以下、同じ。)によって、それぞれ役割がありますので、各病院で行うべき治療等が終われば通常は退院・転院することとなります。特に重傷を負われた方は、急性期〜回復期〜慢性期と時間的な経過とともに病院等を転院していくこともあります。● 急性期一般病院 交通事故にあったとき、治療を行う病院です。また、重症を負い、命の危機に瀕した方の命を救う病院です。● 回復期リハビリテーション病院 命の危機を脱した後、集中的なリハビリテーションを実施し、心身ともに回復した状態で自宅や社会へ戻ることを目的とした病院です。● 慢性期療養型病院 病状は比較的安定しているものの、治癒が困難な状態が続いている時期に再発予防や身体機能の維持・改善を目指しながら、長期的な看護、治療を行う病院です。● 精神科病院 精神疾患を有する方が利用する病院です。交通事故の場合、身体的障害だけでなく、頭部外傷による高次脳機能障害*が残り、精神疾患を負う場合があります。出血を伴った負傷等がない場合であっても、頭部外傷等により高次脳機能障害*が残ったり、脳脊髄液減少(漏出)症*を発症することもあるため、心当たりがある場合には、早めに専門医療機関へ相談しましょう。*…高次脳機能障害とは、外傷性脳損傷などの後遺障害として記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などを伴う障害です。具体的には、以前と比べて忘れっぽい、落ち着きがない、ぼ-っとしているなど症状は様々ですが、外見からは分かりにくい障害であり、事故からしばらくして日常生活に戻った頃に症状に気付くこともあります。*…脳脊髄液減少(漏出)症とは、交通事故等により体への衝撃が加わった場合に脳脊髄液が漏れ出し、頭痛、首の痛み、めまい、吐き気、耳鳴り、疲れやすい、不眠などの様々な症状が現れる病気です。医療機関では、脳・脊髄MRI、CT等の検査を行っており、治療方法については、水分補給や安静にすることが有効とされていますが、現在も研究が進められています。平成23年に「脳脊髄液漏出症画像判定基準・画面診断基準」が公表され、平成28年にはブラッドパッチ療法が社会保険適用になりました。 …また、令和元年12月に「脳脊髄液漏出症診療指針」が発行されています。国土交通省では、この診療指針等を有効に活用し、適正な保険金の支払いを通じて被害者保護の一層の充実に努めるよう、保険会社等へ通知を行っております。病態が知られていないことで苦しんでいる被害者を含めて、今後も広く周知を行ってまいります。

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る