平成10年10月27日
建    設    省

住宅投資拡大緊急対策
「ゆとりある居住空間の創造と日本経済の再生を目指して」

 

T.基本的考え方

 同時に、ゆとりある居住空間の創造は、国民の生きがいである「豊かな生活」の実現にあたっての最大の課題となっており、今後、生活の質の向上、将来への夢の実現を目指し、質の高い生活空間の拡大・倍増に積極的に取り組む必要がある。しかし、例えば、足下の新設住宅の戸当たり床面積をみると、平成8年度(96.3u)から平成9年度(92.4u)にかけて大きく低下しており、今後の動向が懸念されている。このため、平成12年度末までに戸当たり平均床面積100uを達成することを目標としている第七期住宅建設五箇年計画の達成を図るとともに、その後一人当たり床面積についてもヨーロッパ並の水準(40u弱)としていくことが求められている。
 このような状況を背景として、思い切った住宅投資の拡大による日本経済の再生を目指して緊急に取り組むべき施策として、
○ 住宅建設促進のための臨時特例措置の実施
○ 既存ストックのリフォーム、建替え、流通の積極的推進
○ 経済効果の高い居住環境整備の促進
○ 住宅ローン返済困難者対策の実施
○ ゆとりある住宅取得の促進
○ ゆとりある賃貸住宅の供給推進
○ 住宅ストックのリニューアルによる居住空間の拡大
○ 21世紀にふさわしいゆとりある居住空間の創造
 以上のような対策の実施によって、平成11年度末までに、
○新たな住宅投資  → 新規住宅建設戸数約28万戸、
           約5兆円の住宅投資の追加
○住宅投資水準   → 住宅建設戸数130万戸台後半、
           住宅投資総額約25兆円の水準まで回復
○国内総生産 (GDP) → GDPを約1%押し上げ
○雇用の創出    → 延べ約65万人の就業機会を創出


U 具体的施策

1 住宅建設促進のための臨時特例措置の実施

 21世紀の生活基盤である良質な住宅の取得を促進することにより、緊急に住宅投資を活性化するため、住宅金融公庫融資、税制の思い切った拡充を図るとともに、少子高齢化等に対応した公共賃貸住宅の供給を推進する。
 また、定期借地方式の活用等による宅地供給の推進に努めるとともに、良質な賃貸住宅の供給を促進する観点から定期借家権の導入を促進する。

(1)住宅金融公庫融資の思い切った拡充[11月2日からの第3回受付期間から実施]

 @貸付金利の大幅な引下げ

 A生活空間倍増緊急融資の創設による基本融資額の増額

  • 平成11年度末までの間、基準金利等による融資額をゆとりある住宅に力点を置いて増額することによって、居住空間の拡大及び住宅建設の促進を実施
    (75u超の分譲マンションの場合  三大都市圏:1000万円/戸  地方圏 :500万円/戸 )
  •  B100%融資の対象者の拡大

  • 100%融資に必要な収入要件について、本人以外の者の収入の合算を認める緩和措置を実施
    (三大都市圏:本人年収500万円以上→世帯年収500万円以上 (ただし本人年収400万円以上)
     地  方  圏:本人年収400万円以上→世帯年収400万円以上 (ただし本人年収300万円以上))
  •  C受付期間の大幅延長と新規措置の早期適用

    (2)住宅税制の拡充の検討

     住宅税制については、良質な住宅ストックの形成、既存住宅ストックの流通の促進等を通じた居住水準の向上と、急務である住宅投資の回復を図るため、平成11年度税制改正において、住宅ローン利子所得控除制度の創設、住宅取得促進税制の大幅な拡充や土地の流通に係る税負担の見直しなど幅広い措置についての検討を行う。

    (3)少子高齢化等に対応した公共賃貸住宅の整備の推進

     @シルバーハウジング、高齢者向け優良賃貸住宅の供給の推進

     A少子化に対応した職住近接でゆとりある特定優良賃貸住宅等の供給の推進

     B木造公営住宅の供給の推進等

  • 木造公営住宅:1000戸
  • 公営住宅における木材活用型リフォーム及び木の香りのする公営住宅団地の整備
  •  C床面積の広い特定優良貸住宅に対する支援の充実

  • 大都市地域等においてゆとりある特定優良賃貸住宅の供給を促進するため、床面積の広い特定優良賃貸住宅に対して上乗せ家賃対策補助を実施
  • 2 既存ストックのリフォーム、建替え、流通の積極的推進

     既存ストックのリフォーム、建替え、流通による住宅の質の向上を推進するため、住宅金融公庫融資等の拡充を図るとともに、公共賃貸住宅の緊急改修・建替えの推進、民間住宅・マンションの緊急耐震改修・建替えに対する支援の充実を図る。

    (1)住宅金融公庫のリフォーム・中古融資の拡充の緊急実施[11月2日から実施]

     @政策誘導型リフォームの融資額の大幅引上げ
      (530万円等/戸→1000万円/戸)

     A中古住宅融資の築後経過年要件の緩和
      (耐火構造の住宅:20年→25年等)

    (2)公共賃貸住宅の緊急改修・建替えの推進

     @公営住宅等の耐震建替え・改修、狭小ストックの建替えの推進

     A公営住宅等のバリアフリー改修(エレベーター設置等)の推進

  • 公営住宅:3000戸、公団住宅:2000戸
  • (3)民間住宅・マンションの緊急耐震改修・建替えの促進

     @戸建持家住宅等に対する耐震改修費補助の創設

  • 地震等の可能性が高い市街地の安全性に問題がある戸建持家等の耐震改修に対し補助を実施(5500戸予定)
  •  Aマンション等の建替え・耐震改修に対する補助制度等の拡充

  • マンションの耐震改修、建替えに対し、アドバイザーの派遣、改修、建替えに対する補助制度の拡充などハード・ソフト両面にわたる総合的な支援を実施
  • 3 経済効果の高い居住環境整備の促進

     良好な居住環境を備えた快適な都市居住を実現するために、都心住宅の供給、居住環境整備等に資する即効性の高い事業の推進を図る。

    (1)21世紀都市居住創造事業(100年住宅プロジェクト)の創設

    (2)密集市街地等における都市居住再生の推進

     @住宅の共同建替等に対する公庫融資の充実[11月2日からの第3回受付期 間から実施]

  • 密集市街地、商店街等の中心市街地などにおいて、良好な居住環境を創出しつつ、住宅の共同建て替え等を行うプロジェクトに対する公庫融資の貸付要件の緩和、融資対象の拡大、早期円滑な資金交付、融資額の増額、その他の支援措置を充実
    (貸付要件の緩和:戸数要件、敷地・建物の規模要件の緩和
     融資対象の拡大:調査設計計画費、土地取得費、補償費等を対象に追加
     融資額の増額 :基本融資の実質融資率80%)
  •  A密集住宅市街地整備促進事業の推進

    (3)即効性の高い住宅市街地整備・再開発等の推進

     @あと一押しで事業が軌道に乗る都心居住等に資する再開発プロジェクト等に対する上乗せ補助の創設

     A住宅市街地整備総合支援事業の推進

    (4)住宅市街地整備・公共施設整備等に資する用地先行取得の推進

     @住宅・都市整備公団が出資金を拡充しつつ、低未利用地を都市居住再生のための住宅市街地整備用地、公共施設用地として積極的に取得することにより土地の流動化を推進

     A公営住宅用地等の先行取得を促進するため、補助制度を拡充

    4 住宅ローン返済困難者対策の実施

     経済環境の悪化によって住宅ローン返済が困難となっている者に対し、平成11年度末までの間、次の負担軽減策を講ずる。これにより、住宅取得者等の不安の解消に資する。

    (1)住宅金融公庫融資に係る措置[1ヶ月程度の準備期間をおいて早期に実施]

     @住宅ローン返済相談体制の強化

     A貸付条件の大幅な変更

  • また、失業者又は大幅な収入減少者等については、3年間の据置期間の設定、基準金利適用期間の3年延長、据置期間における金利5%までの引き下げなどさらなる貸付条件の変更を行い、収入が回復するまでの間の返済負担を大幅に軽減
  •  B住宅の一時賃貸の取扱いの弾力化

    (2)他の公的住宅融資に係る措置

    (3)公共賃貸住宅を活用した居住安定対策の推進


    V生活空間倍増特別対策(再掲)

    1 ゆとりある住宅取得の促進

    (1)住宅金融公庫における生活空間倍増緊急融資の創設による基本融資額の増額

    (2)住宅税制の拡充の検討

    (3)「定期借地権」の普及促進

    2 ゆとりある賃貸住宅の供給推進

    (1)少子化に対応した職住近接でゆとりある特定優良賃貸住宅等の供給の推進

    (2)床面積の広い特定優良貸住宅に対する支援の充実

    (3)「定期借家権」の導入の促進

    3 住宅ストックのリニューアルによる居住空間の拡大

    (1)住宅金融公庫のリフォーム融資の拡充の緊急実施

    (2)狭小な公共賃貸住宅の建替えの推進

    4 21世紀にふさわしいゆとりある居住空間の創造


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