IMO第45回海洋環境保護委員会(MEPC45)の結果について



平成12年10月10日
海上技術安全局安全基準課


 標記会合は、平成12年10月2日から6日にかけてロンドンの国際海事機関(IMO)本部において開催され、我が国からは30名以上の代表団が出席した。今次会合における主な審議結果については、以下のとおり。

1. エリカ号事故関連(議題7関連)

○ポイント
 シングルハルタンカーのフェーズアウト促進案(MARPOL条約I/13Gの改正)が議論されたところ、基本的合意が得られ、来春のMEPC46で採択、2003年1月1日より施行の予定。
 特に問題となっていたカテゴリー2のタンカーに対しては、2003年1月1日より、古い船齢のタンカー(25年)から順次フェーズアウトし、2015年若しくは2017年1月1日までにフェーズアウトするというもので、我が国の主張が相当に認められた形。

○結果概要
 今次会合で合意されたMARPOL条約附属書I(油による汚染防止)第13G規則(現存シングルハルタンカーのダブルハル化)の改正案骨子は次のとおり。

カテゴリー1(pre-Marpol船):2003年1月1日より2007年1月1日にかけて船齢の古いタンカーより順次フェーズアウト
カテゴリー2(Marpol船):2003年1月1日より船齢25年に達したタンカーよりフェーズアウト。2012年からは、フェーズアウトされる船腹量を年毎にある程度一定にするため船齢制限を24、23、22...と減少させ、最終年限を2015年若しくは2017年とする2つの選択肢。
カテゴリー3(13G対象外の小型のタンカー):5000DWT以上のタンカーを2003年1月1日から船齢の古いものより順次フェーズアウトし、最終年限を2015年若しくは2017年とする2つの選択肢。
 
カテゴリー毎に、ある年齢、年限を超えて使用する船舶には、船舶の延長使用を可能とする制度が課されることとなっており、Condition Assessment Scheme(船舶の状態を評価する制度)と称する新たな制度又はESP(検査強化プログラム)に基づく特別な検査制度の2つの制度が併記されている。
具体的には、カテゴリー1は船齢25年以上あるいは2005年を超えて使用する場合(現行案では両論併記)、カテゴリー2は2010年を超えて使用する場合である。

 今次会合では、フェーズアウト促進案が大筋合意されたが、上述のとおり、最終年限についての選択肢、船舶の延長使用を可能とする制度に関する2つの案が残っており、4月のMEPC46で最終的な審議の上条約改正案が採択される予定。

2.TBT(有機すず)系船底塗料の使用禁止(議題4関連)

○ポイント
 今次会合では、全体会合の場で、前回会合のWGで審議され作成された条約案文の逐条審議が一通り終了し、条約案文が承認された。
 今後、来年10月に開催される外交会議において、条約案文を最終的に審議した後、採択する予定である。

○結果概要

 主要な論点についての審議結果は次の通りである。

1 検査対象船舶
 検査対象船舶については、国際航海に従事する船舶を対象とすることについては合意されたが、SOLAS条約で要求される船底検査の対象船舶と合わせ、500総トン以上の船舶とする我が国の主張の他、既存のMARPOL73/78条約に合わせて400総トンと主張する国あるいは300総トンと主張する国があり支持が分かれたため、条約採択のための外交会議で最終決定を行うこととし、ブラケットを付すこととなった。

2 2008年以降のTBT塗料の船体への存在禁止の解釈  2008年以降のTBT塗料の船体への存在禁止の解釈については、船体に残存するTBT塗料をサンドブラスト等により船体から完全に除去するという案に対して、シーラーコートによりTBT塗料を被覆することを認める我が国の主張を支持する意見が多かったが、両者の技術的問題についてさらなる調査を行った上で慎重に検討すべきと主張する国もあり、サンドブラストのみとする案も残し、今後再度検討して決定することとなった。
 なお、条約の改正方法及び発効要件については、来年10月の外交会議で決定すべきものとして現時点も具体的な規定を定めていない。


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