IMOが寄託先となっているその他の関係条約


1  1972年の安全なコンテナーに関する国際条約(CSC条約)

 1966年(昭和41年)、アメリカ・ヨーロッパ大陸間の北大西洋航路就航に端を発したコンテナ専用船は、その後急速に世界の主要航路に広がったが、コンテナの荷役、運送時の安全性を確保するため、IMCOは、1969年(昭和44年)に開催された第6回総会において、コンテナ輸送に関する国際会議の開催を決定した。また、国際連合経済社会理事会(ECOSOC)においても同様の決定がなされた。
 これらの決定に基づき、1972年(昭和47年)11月に国連とIMCOとの共催による「UN/IMCO合同国際コンテナ輸送会議」がジュネーブの国連欧州総本部で開催され、我が国を含む84か国参加の下に「1972年の安全なコンテナーに関する国際条約(CSC条約)」が採択された。CSC条約は、条約本文、附属書I(コンテナの試験、検査等に関する規則)及び附属書II(構造安全要件等)からなり、主な内容は次のとおりである。
● 適用範囲は、航空輸送用に特に設計されたコンテナを除いて国際輸送に供される新造コンテナ及び現存コンテナとすること
● 締約国は、この条約に定める基準に従って、コンテナの試験、検証、承認及び保守のための手続きを定めること
● 締約国が与えた承認は他の締約国において容認されること
 本条約は、1977年(昭和52年)9月に発効し、同年8月、我が国は船舶安全法施行規則等関係省令の一部改正を行い、1978年(昭和53年)6月に条約に加入した。その後、新造コンテナの最初の検査時期の延長及び検査方法等の改正が行われ、1983年(昭和58年)に発効している。

2  1972年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約(COLREG条約)

 海上における船舶の衝突を予防するために、互いの船舶がとるべき航法及び航行に係る通信、信号に関する方法については、古くから種々の規則が作成されていたが、海上交通の国際性に鑑み、世界的に共通な規則の必要性が認識されていた。このことから、1889年(明治22年)10月にワシントンにおいて開催された国際海事会議の場で、海上における衝突の予防のための国際規則(International Regulation for Preventing Collision at Sea(COLREG))が採択された。
 我が国は、この規則に基づき1892年(明治25年)6月に従来の海上衝突予防規則に代えて海上衝突予防法を公布、翌年1月より施行した。
 第二次世界大戦後の1948年(昭和23年)6月に開催された「1948年の海上における人命の安全のための国際会議」において、これまで幾度か改正を試みたがいずれも現実とはならなかったCOLREGの改正問題が取り上げられ、新たに1948年のCOLREGが採択された。我が国においても1953年(昭和28年)8月にこの規則を取り入れ、旧海上衝突予防法を全面改正し、新たに海上衝突予防法を公布した。
 1948年のCOLREGは、その後舶用レーダー等航海機器の発達、普及等の情勢に対応するため、1960年(昭和35年)5月に再度改正され、新たに1960年のCOLREGが採択されたが、1972年(昭和47年)10月、更に著しく変化する海上交通の実態に対応するため、IMCO主催による国際会議が開催され、旧COLREGに代えて新たに「1972年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約」(COLREG条約)として採択され、1977年(昭和52年)7月に発効した。
 我が国においては、この条約に基づき海上衝突予防法、同法施行規則を全面改正するとともに、船舶が表示すべき灯火、形象物及び音響信号等に関し、船舶設備規程等船舶安全法関係省令を改正し、条約発効とともに実施した。

● 条約の構成

(条約本文)
A部 (総則)     適用、責任、一般的義務を規定
B部(操船規則及び航行規則)あらゆる視界の状態における船舶の航法、互いに他の船舶の視野の内にある船舶の航法及び視界が制限されている状態における船舶の航法を規定
C部(灯火及び形象物) 灯火及び形象物の技術的要件及び設置要件を規定
D部(音響信号及び発光信号)音響信号及び発光信号の技術的要件、設置要件及び使用要件を規定
(附属書)
附属書I灯火及び形象物の位置及び技術基準
附属書II著しく接近して漁撈に従事している船舶の追加の信号
付属書III 音響信号装置の技術基準
付属書IV遭難信号



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