(連絡先)
海事局船員労働環境課安全衛生室
TEL03−5253−8111(代表)
内線45255
03−5253−8652(直通)
一般船舶 16%減
漁船 22%減
合計 20%減
なお、死傷災害の発生率が全国平均値を上回っている地域においては、平均値をさらに下回るよう関係者が一丸となって、より一層努力するものとする。
船員災害としての疾病(以下「疾病」という。)の発生率を、船員千人当たり年間の発生件数の率において、5年間に18%減少させることを目標とする。この場合における船種別における減少目標は、次のとおりとする。
一般船舶 17%減
漁船 19%減
合計 18%減
船員の疾病は、関係者のたゆまざる努力により大幅に減少しているが、本格的な高齢化社会の到来に加え、若者の海離れ等により船員の高齢化が進んでいる。これに伴い、35歳以上の中高年齢船員における疾病発生件数は全体の85%を占め、この傾向はこの10数年変化していない。
また、疾病の発生件数をみると、消化器系の潰瘍、脊椎・脊柱障害、脳血管疾患、心疾患及び糖尿病が全体の約31%を占めている。
さらに、循環器系の疾患、消化器系の疾患及び悪性新生物による死亡が疾病による死亡全体の約91%を占めている。
これらの疾病は、生活習慣に深く関与しているものであり、主な生活習慣病である悪性新生物、脳血管疾患、心疾患、高血圧、糖尿病及び肝疾患の発生件数は363人(20.7%)、死亡者は25人(78.1%)である。
以上のことから、船員の健康管理、生活習慣病の予防と対策を促進する必要がある。
近年、運航機器や漁ろう機器等設備・機器の技術の進展、乗組船員数の少数化等による作業の効率化、多重化等が求められる一方、船員の高齢化、外国人船員との混乗化等により船内環境も変化している。
したがって、これらに伴うストレスの増加や心身の疲労の蓄積が問題となることから、船内環境の変化に対応するため、意思伝達や指示の徹底、食文化・生活習慣の理解及び心身両面にわたる健康の保持増進に関する安全衛生対策を推進する必要がある。
(2)安全衛生教育訓練の充実
安全衛生教育訓練は、船員の採用時、転船時あるいは作業指揮者又は管理監督者に就任する際など職業生活における各段階毎に時期を逸することなく、作業の種類や内容、さらには、その職務の責任の程度等に応じて実施する必要があるので、安全衛生教育訓練の計画的な実施、教育施設の充実及び教育訓練担当者の育成、教材の整備等の充実を促進する。
また、船員災害防止協会等の行う安全衛生に関する各種講習会等の充実強化を図るとともに、船員の安全衛生教育訓練への参加を促進する等船員個々の安全衛生に関する意識の向上を図る。
(3)死傷災害・疾病予防対策及び健康増進対策等の推進
船員の死傷災害・疾病予防のためには、長時間労働、業務の多重化による疲労及びストレスの蓄積等が死傷災害・疾病発生の要因となる場合もあることから、船内における労働・生活環境の改善を推進する。
さらに、死傷災害・疾病予防を徹底することや船員が自ら健康の保持増進を図ることを支援するために、船員の健康状態を把握し、作業環境の改善、適正配置、健康相談、健康指導、運動指導等の心身両面にわたる総合的な死傷災害・疾病予防、健康増進対策を推進する。
また、後天性免疫不全症候群(エイズ)に関する知識の周知徹底等その予防対策を推進する。
(1)安全衛生管理体制の整備とその活動の推進
安全衛生管理活動の活性化を図るため、安全衛生管理体制の整備とその活動を推進する。
特に、中小船舶所有者については、団体安全衛生委員会あるいは地域又は業種単位や荷主、元請オペレーター等を含めた船員災害防止のための協議会等を設置し活動を促進する。既に設置している協議会等についてはさらなる活性化を図り、船員の自己管理、安全衛生教育、安全衛生基準の作成、災害事例等に関する情報交換、災害防止に関する研究及び相互安全衛生パトロール等を推進する。
(2)作業時を中心とした死傷災害防止対策の推進
船員の死傷災害をみると、転倒、はさまれによるものが全体の約34%を占め最も多いため、作業時を中心とした死傷災害の防止対策を推進する。
特に、一般船舶においては、出入港及び荷役作業によるものが、漁船においては、漁ろう作業によるものが半数以上を占め最も多いので、これらの作業時における死傷災害の防止を徹底するとともに、自主的な安全基準の作成を推進する。
(3)海中転落による死亡災害防止対策の推進
船員の死傷災害のうち死亡災害をとってみると、海中転落によるものが全死亡災害の約50%を占めているため、船内設備、作業方法を検証し、作業前ミーティング等による安全確認を実施するなど海中転落の防止対策を強化するとともに、使用しやすい作業用救命衣等の保護具の開発を促進するなど、その使用の徹底を図る。
(4)高年齢船員の心身機能の変化に対応した死傷災害防止対策の推進
高年齢船員については、個人差はあるものの一般的には筋力、敏しょう性、平衡感覚等の運動機能や視覚、聴覚、触覚等の知覚機能及び傷害・疾病の治癒機能等が低下するので、このような心身機能の変化に配慮した作業環境、機械設備、作業方法等の改善及び適正配置等の総合的な死傷災害防止対策を推進する。
(5)生活習慣病の予防対策の推進
船舶においては、厳しい作業環境、生活環境にあることから、身体に負担となる食習慣(食べ過ぎ・偏食)、運動不足、喫煙、飲酒(飲み過ぎ)などの生活を続けることに陥りやすく、その結果生活習慣病を招きやすい状況に置かれている。生活習慣病は、自覚症状が出にくいため放置され重大な疾病を発症させその進行に影響を及ぼすことになるので、生活習慣病に関する教育の徹底を図る。
また、生活習慣病は、日常におけるこれらの生活習慣を見直すことにより発病の危険性を少なくすることが可能なことから、船員に対する食料の支給に当たっては栄養バランスに十分配慮する等食生活の改善を図り、適度な運動、飲酒・喫煙の節制等による予防対策を推進するとともに、定期的、継続的な生活習慣病検査の実施を促進し、早期発見に努める。
(6)船員災害の分析に基づく作業方法の見直しによる安全の確保
船員を取り巻く船内環境の急激な変化に伴う災害の防止に関しては、不安全な状態の要因となる物の面と不安全な行動の要因となる人の面からの対策を行うとともに、具体的な事例に即した原因分析及び同種災害の再発防止対策の検討を行い、その結果に基づき実際の船内作業について注意喚起を図るものとする。
また、これらの分析結果を踏まえて、物と人の両面からの安全を確保するために、作業の標準化とその見直しを進めるとともに、機械設備自体の安全化を推進する。
(7)外国人船員に係る安全衛生対策の推進
外国人船員に対する船員法等関係法令の周知、安全衛生教育の徹底を図るとともに、外国語による安全作業マニュアルの作成と危険等に関する標示、作業基準の見直し、レクリエーション設備や相談体制の整備による船員間のコミュニケーションの充実等の安全衛生対策を推進する。
(8)総合的な船員災害防止対策を推進するための体制の整備
行政における体制の整備
ア 政策の効果等に関して、分析し、一定の尺度で客観的に判断を行うことにより、総合的な政策評価を推進するとともに、災害防止活動の的確な実施に資する情報を提供する。
イ 必要に応じて船員法等関係法令の整備充実を図るとともに、その遵守を徹底するため、監督指導を強化する。
ウ 船員災害の多い業種、地域及び作業における災害の要因等について調査分析を行い、地域の実情に応じたきめ細かな防止対策を策定し、その実施を図る。
エ 広報活動の充実強化を図る。
船員災害防止協会等の充実強化
船員災害防止協会については、船員の安全の確保及び船内衛生の向上のための対策を自主的に推進することにより、船員災害を防止することを目的に設置されていることの意義及び必要性を踏まえて、安全衛生に関する事業の充実を図るとともに、会員の加入が促進されるような魅力ある事業の充実及び組織体制の強化を図る。
また、地方における船員災害防止団体等の自主的な活動を促進するとともに、船員の積極的な参加による企業レベル、船舶レベルでの船員災害防止活動の活性化を図る。