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 大臣会見要旨(平成17年7月26日)
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平成17年7月26日(火)
9:43〜10:14
於:国土交通省会見室

 

閣議・閣僚懇

  本日の閣議は、一般案件が2件、国会提出案件が4件、条約の公布が1件、法律の公布が3件、このうち「総合的な国土の形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律」について、公布が決定しました。政令が12件、人事案件が4件でございます。アスベスト問題につきまして、自民党、公明党の方で対策本部を設置され、昨日も官房長官宛てに要請がありました。政府といたしましても、このアスベスト問題は非常に重い課題と認識をしておりまして、また広範にわたっておりますので、関係閣僚会議を設置をすることになりました。今週中には関係閣僚会議が開かれると思います。もちろん、私、国土交通大臣もその一員となっています。今日、私から3点御報告をさせていただきます。
 まず1点目は、昨日、日本道路公団の副総裁が逮捕されました。日本道路公団発注の鋼鉄製橋梁工事の入札に関しまして、独禁法違反ほう助及び背任の容疑で、内田副総裁が逮捕されたわけでございます。現職の副総裁という要職にあるものが逮捕されるということは、これは国民の信頼を著しく裏切る行為でございまして、極めて遺憾と言わざるを得ません。昨日の夜、近藤総裁から私のところに電話がありました。私から改めまして、日本道路公団総裁に対しまして、検察当局の捜査に全面的に協力をしてもらいたい。今回の件について、その事実関係を徹底して、明らかにしていく必要があると思うわけですが、そのためには、今はまず捜査当局の捜査に全面的に協力をすることが、私は一番肝要なことだと思っております。その旨を申し上げました。また、改めて二度とこうしたことが、起こらないように再発防止策を早急に取りまとめて、直ちに実行に移すように指示をしたところでございます。
 2点目に、JR福知山線脱線事故について、1点御報告を申し上げます。昨日、事故から3ヶ月を迎えたわけですが、遺族の皆さま、また怪我をされた方々、マンションの住民の方々等、まだまだ不安といいますか、またJR西日本に対する不信といいますか、そうしたものがあるのは、私は当然のことだと思っています。3ヶ月経ったわけですが、この事故は決して過去のものにしてはならないと、私も改めて決意をしておりまして、一つは、JR西日本に対して、再発防止に向けてとりまとめが行われたわけですが、しっかりとチェックをしてもらうよう、私どもも今後とも厳しく監視・監督をしてまいりたいと思いますし、特に被害者の皆様との補償の問題については全くこれからです。誠実に対応をしていただくよう、改めてJR西日本の方に申し上げたいと思っています。JR西日本の再生は、まだ始まったばかりでして、しっかり取組をしてもらいたいと思っています。これに関連しまして、あの事故の際、事故現場周辺の企業の皆様や学校関係の方などに、被害者の救助などで大変な御支援を頂戴いたしました。また、病院・消防・警察におかれましても、地元の関係機関を中心に救助・救急医療に大変な御尽力を頂戴したところです。この度、今回の事故において、このように事故の救助・救援等に御協力・御尽力いただいた方を対象として、国土交通省として感謝状を贈呈させていただきたいと考えています。詳しくは後ほど、資料を配布させていただきますが、7月31日、次の日曜日ですが、尼崎市総合文化センターにおいて贈呈式を執り行うこととしています。対象者は76団体等です。
 もう一点、御報告を申し上げます。7月23日に発生しました千葉県北西部の地震についてです。今回の首都圏を襲った地震について、様々な課題が浮き彫りとなりました。私は国土交通省の関係部局に対して、今回の地震は幸い大きな被害はなかったわけですが、そこでの課題について、しっかり検証をしてもらいたい。今後の対応についてもしっかり検討してもらいたいということを指示しました。これからまたそうした取りまとめができましたら御報告をさせてもらいたいと思いますが、現時点で申し上げられることは、一つは一部の震度情報の発表が遅れたこと。二番目に建物のエレベーター内への閉じ込めが発生したこと。三番目に鉄道の運行再開までに長時間を要したこと。こうした課題が指摘されているところです。震度情報の公表の遅れに関しては、東京都の震度情報送受信システムに問題があったためと報告を受けていますが、今後、都において早急にシステムの抜本的な見直しを図るということです。また、気象庁といたしましても、これは東京都に限らず自治体震度計の震度情報を迅速かつ確実に発表できるよう必要な協力を実施していきたいと考えています。2点目はエレベーターの関係ですが、現時点で停止したエレベーターは大手5社合計で約6万3千台と聞いています。この停止したエレベーターの大半は地震を感知し、最寄階に停止してドアを開放する地震時管制運転装置が設置されているもので、これが作動して停止したものと考えています。そういう意味では正常に機能したわけです。問題は、閉じ込めが起こったこと、消防庁によりますと46件発生したということです。現在、その原因は調査中ですが、恐らく閉じ込めが発生したのは、今申し上げた地震時管制運転装置の機能が備わっていないものがほとんどではなかったかと推測しているところです。現行の建築基準法令におきましては、様々な義務付けはしていますが、この地震時管制運転装置までは義務付けをしていません。この地震時管制運転装置につきまして、これまでもガイドライン等を作ってきましたが、先月、住宅建築物の地震防災推進会議におきまして、義務化も含めて必要な対策を検討するようにという提言を頂戴しているところです。これを踏まえまして、この義務化の問題を含めまして、今後、早急に対策の充実を進めていきたいと考えています。3点目が鉄道の運転再開です。点検に要する時間というのは、その路線等によりまして様々ですが、やはり安全を確認した上でより速やかに運転を再開するということが非常に重要です。点検の方法など見直すところがあるかどうか再検討しまして、より速やかに運転を再開できるよう鉄道事業者に働きかけをしていきたいと考えています。国交省としましては、関係府省とよく連携を取りながら、引き続き、今回の地震についての検証を行いまして、必要な対策を講じていきたいと考えています。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 道路公団の関係ですけど、今回、内田副総裁の逮捕容疑の中には近藤総裁が任期中ということもありまして、あと近藤総裁は内田副総裁の任命権者でもありますし、責任はあると思うのですが、民営化会社の中日本の会長人事について、見直す考えはお有りでしょうか。
(答) 結論から申し上げて、現時点において見直すつもりはありません。近藤総裁の今の責任は、一つはこうした談合事件、またOBが関与し更には現職の幹部まで逮捕されるという事態に至り、総裁の一番の責任はこうした道路公団の問題につきまして、また談合の問題につきまして、徹底的に事実関係を明らかにし、また再発防止に向けて対策を執っていただくこと、これが一つ大きな責任だと思いますし、またあと2ヶ月後には民営化がスタートするわけです。民営化に向けて万全の準備を執っていただくということが、近藤総裁の今やるべき最大の責任であると私は考えています。
(問) 現時点ということは、今後、民営化までの間にある程度、考え直すタイミングがあるかもしれないということでしょうか。
(答) そういうことは申し上げていません。
(問) 関連して、理事の方には社長就任予定者の方もいらっしゃいますが、その社長就任予定者についても見直す考えは。
(答) 現時点においては、見直す考えはありません。
(問) 今後、捜査が進んで新たな事実が出てきた場合でも、10月1日、もう既に政令で定められているものですけど、民営化スタートの時期については予定通り、或いは見直す可能性もあるのですか。
(答) 予定通り実施していきます。
(問) 今日の閣議とか閣僚懇で道路公団副総裁の逮捕に関して、何か話はなかったのでしょうか。
(答) 今日は閣議の案件が非常に多かったということもありますけども、閣僚懇でも様々他の案件で議論がありまして、このことについては話題にのぼっていません。
(問) 総理や官房長官とお話されたということもないのでしょうか。
(答) ありません。
(問) 繰り返されてきた質問なのですけど、民営化会社の会長の中に新日本製鐵であるとか神戸製鋼であるとか、そういう受注者側の出身の方がなられるということで、それについて疑問の声もあったわけですけども、その人事に対する見直しも特には考えていませんか。
(答) これも何度も聞かれていますので答えていますが、見直すつもりはありません。私はそれぞれの方と何度もお会いし、お話もし、懇談もしていますが、本当に人物、識見とも素晴らしい方だと私は思っています。今後の民営化会社をリードしていくに相応しい方だと思っていますし、また先般の第2回の民営化に向けましての設立委員会におきましても、これは私が出席出来なかったのですが、私が是非言ってくれとお願いしたのですけどれも、岩村次官の方から談合というのは決して許されるものではないということは強く申し上げていますし、また、その方々はそうした談合行為を容認するような方々だとは全く考えていません。公正な業務をしていただけると信頼しています。
(問) 新会社については、先程から人事見直しの必要はないというお考えだと仰っていますが、今の現体制については、正に改革を進めていくときに敵が身内にいたということなのですけども、あと残り僅かですけども現体制のままで、果たして膿を出し切れる体制なのかどうか、その辺のお考えは如何でしょうか。
(答) これは私ども国土交通省も、しっかり監督していかねばならないと思っています。今、2ヶ月後に迫っているこの時点で、道路公団の現時点での体制を変えるよりも、まずは近藤総裁中心に、また私どももしっかり監督して、二度とこうしたことが起こらないような対策を取り組んでいくことが大切だと思っています。
(問) 近藤総裁が孤立しているのではないかとか、足を引っ張られているのではないか、外から見ていて思うのですが、それ辺は如何でしょうか。
(答) それはよく分かりませんが、近藤総裁に前から私がお願いしていますのは、道路公団の民営化というのは職員の方々からしますと、それは大変な改革でして、それだけでも不安もあれば、いろんな疑問もあるかもしれません。また、ましてや今回のような談合事件等が起こってきて、なおさら私は職員の方々が萎縮をしているのではないかと心配をしています。近藤総裁だけではございませんが、こうした大きな事業をやっていくためには、もちろんリーダーシップは必要なわけですが、現場の職員の士気とか、意欲とか、そういうものが非常に大事だと思うのです。そういう意味で、近藤総裁に前から申し上げているのは、是非職員の方々とよく連携をとって話をしていただいて、この道路公団民営化という大きな事業を是非成功をして頂けるようにお願いしたいということは申し上げています。
(問) やはり、近藤総裁が今まで在任していた期間中にこういった不祥事が起きていて、しかも直属の部下の副総裁がこういったことに関与していることについて把握できずに、しかも民営化委員会の懇談会で嘘をついている、いないの問題についても、まあ嘘をついていた可能性も結構高いと思うのですが、それについても出席するかどうかをめぐってはっきりとしたリーダーシップを示すことはできなかったということで、大臣は、政治家として、近藤総裁という人に、果たしてあと2ヶ月ぐらいでおっしゃっているような改革を成し遂げられるかどうかという判断をする局面になるのではないかと思うのですが、その辺もうちょっと、なぜ、ではこの人でまだいいとお考えになるのか、もうちょっと分かりやすく説明をして頂けないでしょうか。
(答) 近藤総裁もこれまで相当様々な取組をして頂いてきたと思っています。なかなか困難な仕事だと思いますが、道路公団の民営化に向けて課題がたくさんあるわけですね。そうした改革について私はしっかりと取り組んで頂いたというように思っています。今回、内田副総裁が逮捕されたことについては、近藤総裁御自身が任命されたわけですから、近藤総裁御自身が相当な思いがあると、私は思っています。それは、冒頭申し上げましたように、近藤総裁が今後2ヶ月後に迫った民営化に向けて、その再発防止策というものをしっかり出して頂くこと、これは私どもしっかり関わりをさせて頂きたいと思っています。それとともに、民営化に向けての、ある意味ではラストの直線に入っているのですね。今は民営化をきっちりと進めていく、万全の準備をしていくということが私は一番大事なことだと思っています。是非その責任を近藤総裁に果たして頂きたいと思っています。
(問) これだけの公共工事の発注に対する不信が大きくなっている中で、あと2ヶ月でということですけれども、大臣としては国民の負託に十分応えられているとお考えになっていますでしょうか。
(答) 今は2つ問題があって、一つはこうした様々な談合に係る事件が次々起こってまいりました。これに対する再発防止に向けての対策をしっかりとること、それが一番の責任なのだと思います。もう一つは10月の民営化、これを遅らせて果たしてメリットがあるのでしょうか。ここまで準備をしてきて、民営化をするということは、これはコストを削減していくことによって、その民営会社にとって利益になるということです。こうした削減をすることが、民営会社には当然にインセンティブとして働いてくるわけでございまして、この民営化についてはやはりしっかりと10月1日に実現していく、実施していくということが大事なことだと私は思っています。この2つをしっかりとやっていくことが一番大事な責任ではないのかと思っています。捜査そのものはこれからも推移していくと思います。その状況をよく見守っていく必要はあると思いますよ。捜査そのものがこれからどうなっていくのか分かりません。その推移をよく見守る必要があるのは当然ですが、しかし現時点では、今申し上げた2点が最も大切な国民に果たす責任だと思っています。
(問) コスト削減と言う意味では、今回のように談合をやっていれば実現できないわけで、この問題について、現状の問題の膿が完全に出されたということは担保されないまま民営化ということをやっても、果たしてコスト削減に本当につながるのかという疑問が残るのではないでしょうか。
(答) 民営化の問題と今回の談合の問題と、私はやはり切り離して考えるべき話だと思っています。民営化ということは、その企業にとって、民営会社にとって、利益を出していかないといけないわけですから。利益を出して、一つは債務償還をできるだけ早くやっていく、また利益を残して様々な業務展開をしていく。そういう意味では、民営化のインセンティブが強くなればなるほど、これはこうした高コストについて是正しなければならないという方向に働くのではないでしょうか。捜査についてはこれから進展していきます。そこで事実関係もどんどん明らかになってくるでしょう。その上で様々な対策もとっていかなければならないと思っています。
(問) 今、おっしゃられた民営化によるメリットというのは、今までも言われてきたことだと思うのですよね。建設コストを削減できるとか、業務効率化できるとか、職員の意識改革もやってこられたと、ただ、昨日のように生え抜きでトップの方がああいうことをされていたとすると、その職員の意識改革は一体何だったのか、民営化のメリットと言われたものが、少なくとも今は民営化していませんけれども、そういうものは浸透していたのか、そうすると民営化する意味があるのだろうかということが、やっぱり国民にとって疑問に思うところがあると思うのですけれども。
(答) 私は、そうは思わないのですけれどもね。民営化された後もそういう経験の中で、そういう様々なことがある中で、職員の方々の意識もさらに変わってくるのだと思うのです。もちろん今までも様々な取組をしていたと思うのですけれども、何度も申し上げますが、昨日副総裁が逮捕されたこと、これについては今後も捜査の進展があると思うのですね。どういう方向にあるか分かりませんが、その中で事実関係がどんどん明らかになってくると思います。そこをしっかりと見守る必要があると思っています。そこで必要な対策はしっかりとしていくと、今はやはりこういう段階になりましたら、捜査当局に徹底して事実解明してもらうということが一番大事なことだと私は思います。だから近藤総裁にも捜査には全面的に協力をするようにと言っているところです。


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