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 大臣会見要旨(平成17年9月27日)
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平成17年9月27日(火)
10:23〜10:53
国土交通省会見室

 

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が3件、国会提出案件が1件、政令が10件、人事案件が1件です。特に国土交通省に関わることはありません。私の方からまず一点申し上げます。
 本日の夕刻、日本経団連の奥田会長と、国土交通省でお会いすることとしています。トラック、内航海運等の中小企業が多い業界におきましては、引き続き原油価格高騰による燃料油の価格上昇に対する荷主への運賃転嫁が進まず、依然として経営は大変厳しい状況にあります。トラックを初めとするこれらの業界が、環境面、また安全の確保において、今後とも適切に対応をしていかなくてはならないわけですが、荷主の理解が不可欠な状況となっていると考えています。従って、日本経団連等の経済団体の方々にこのような状況を説明させていただきまして、価格転嫁か運賃転嫁が少しでも円滑に進むように、御理解をいただくよう私から直接お願いをしたいと考えています。また別件ですが、この原油価格高騰に伴いまして、特に下請け事業者が厳しい状況に置かれています。下請け事業者への配慮について、関係事業者団体への文書の発出を検討するように指示をしたところです。この文書は、経済産業大臣と私と連名での文書になると思っています。なお、今日閣議後、経済産業大臣、私、財務大臣、官房長官の4人で、この原油価格高騰の問題についての対応について協議しました。私からも、中川大臣からも、この問題につきましては原油価格が高止まり、ないしはまだ上昇するというような状況の中で、特に中小企業の方々ですが、非常に広い業界・業種に大きな影響を与えている。また、これは非常に多くの省庁に関わっています。従って、その実態等について、よく政府全体として認識をしていくためにも、また課題について共有をしていくためにも、関係閣僚会議を至急開いた方がいいのではないでしょうかと私の方からも官房長官に対してお願いをしたところです。おそらく近々、そうした会合も開かれるのではないかと思っています。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 幹事社の方から二点、お尋ねしたいと思います。今月23日に、宮崎空港で飛行計画の承認を得ないでJALの飛行機が離陸しましたという事案が昨夜発覚しました。この事案は、管制官とパイロットが双方認識していなかったという、あってはならないミスが起きてしまったという事案ですが、8月にも新潟空港で同じような事案が起きていまして、近々にわたりまして二件起きてしまいました。この件に対する大臣の御認識と、もし事務方への御指示みたいなものがありましたら教えてください。
(答) 今おっしゃったように、8月に新潟で同種事案が起きているにも関わらず、その際も再発防止策を講じるように指示をしていたところですが、にも関わらず再びこの宮崎空港で同じような事案が起こってしまったことは、誠に遺憾と言わざるを得ません。
もっと管制の方々も、これは決まったルールなわけですから、そのルールに従って、管制業務をやっていただかないといけないわけで、管制の持つ役割の重要さ、安全運航を確保していくという管制の大きな役割・使命というものを、もっと強く意識をしていただきたいと思っています。全国の管制機関に対しまして、この際業務監査を行いたいと考えています。再発防止の徹底をしっかり図ってまいりたいと考えています。
(問) 今の御発言に補足してお尋ねしますが、JAL側に対して、何か大臣の方から御指示みたいなものはお考えなのでしょうか。
(答) JALに対しても当然、注意を行って再発防止の徹底を改めて指示したところです。JALもさることながら、私はやはり、管制の側にも大きな問題・課題があると思っています。今年に入ってからも管制に関わる問題で他にもトラブルがあったわけです。これまでも様々取組みをしているんですが、管制のシステム全体について、よりその安全性を強化していく確保していくために、システム全体をどうしていけばいいのか、また管制官の方々が安全確保のための本当に大事なやるべき業務について、集中をしてやっていただくためにどうすればいいのか等々、そのシステム全体についてもよく検証をしなくてはならないと思っています。
(問) 昨日、三菱ふそうが国土交通省へのリコールの届け出が完了したという発表がありました。ただ、このリコールが死亡事故も起きた重要な案件だったのですけれども、回収率が全体で60%台に止まっています。とてもゴールが近い、決着が近づいたという状況では中々見えていないと思うのですが、この件に対しましての大臣のご認識をお聞かせください。
(答) あくまでこれは公表済みのリコール案件の届け出が完了したということにしか過ぎません。この三菱ふそうに関連する様々な課題、問題が終わったわけではないと認識しています。今、お話がありましたように、回収についてもまだ十分にできていない状況です。まだ市場に不具合の車が走っているわけでして、現実に死亡事故も起こっています。また、多くのユーザーの方々には本当に迷惑を現に掛けているわけです。そこのところは、本当に三菱ふそうの側で重く受け止めていただきたいと改めて申し上げたいと思っていますし、私どもも三菱ふそうから提出されました再発防止策がしっかり実施をされているかどうか、これは今後とも厳しく監視をしていきたいと思っているところです。新型車の審査についても、引き続きこれまで同様厳格な審査を行っていきたいと思っています。
(問) 原油高ですけれども、大企業の側にとって、中々消費者の価格に転嫁出来ないというような事情もあると思うのですが、その点については何かご所見はあるでしょうか。
(答) この間の月例経済でも報告があったのですが、今、原油価格の上昇等が大きな要因だと思いますけれども、要するに川上の卸売物価の方は上昇しています。ところが、出口の消費者物価は相変わらず低下傾向にあるわけです。もちろん企業努力は必要だと思います。企業努力でそうした材料価格、原油価格等を吸収をしていくという努力は当然必要ですし、されていると思います。トラック業界等運輸業界においても、相当なコストダウンを行ってきているわけです。ただ、それも限界というのが当然あるわけです。そもそもトラック業界で言いますと、今、規制緩和等によって過当競争になっている中で、コストそのものもダウンしているわけです。そして、業者そのものは非常に増えていると、確か一昔前に比べて1.5倍に業者は増えていると、コストも下がっているという中で、当然、人件費等々また高速に乗らないで下を走ったり、コストを減少させるための努力は相当やっていると思います。ただ、ここまで原油価格、トラックの場合、軽油価格ですが、上がってしまいますと、これは自助努力には当然限界があるわけで、そうした然るべきコストについてはきちんと転嫁されていくということがなされないと、結局、弱い所が大変な厳しい状況に追い込まれてしまうわけです。最終的には消費者が負担することになるわけですが、これは、やはり、運送業界で言えば荷主側の方々にご理解をいただいて、適正な価格転嫁ができるようにしていただかないと、本当に安全面また環境面にも大きな影響を与えていってしまうことになりかねないわけでして、そこは是非、然るべき価格転嫁が適正にできるように、私から、今日、奥田会長に是非お願いをしたいと思っているところです。原油価格がここまで上がってしまったら、特に中小・零細の企業が多いトラック業界でできることといったら本当に限界があると思います。トラック業界で申し上げますと、この2年間で軽油価格の上昇分というのは、業界全体で約2,500億円のコスト上昇があるわけです。ところが、トラック業界全体の経常利益は、そもそも460億円でして、2,500億円が原油、軽油価格の上昇でコストアップ、一方、収益そのものは500億弱しか元々とない業界ですから、この数字を申し上げただけで、とてもじゃないけど自助努力で出来るようなものではないということは、御理解いただけるのではないのかなというように思っています。ここはやはり、最終的には消費者が負担をしていくことになるわけですけれども、まずは荷主側の企業にもよく御理解をいただいて、円滑、適正に価格転嫁ができるように是非御願いしたいと思います。
(問) 過当競争というお話があったと思いますが、業界自身の再編と言うか、業界構造自体にもやや問題があるのではないかと。
(答) 過当競争という言葉がふさわしかったかどうか、規制緩和そのものは、私は必要だと思っています。ただ安全面、環境面からの規制は当然必要ですが、参入についての障壁というものを低くしていくということは、どの業界においても重要なことだと思っていまして、今回の問題は、そういう意味では、そもそも荷主側とトラック業界等の物流企業側とでは、元々荷主側の方が強いんですよね。これは規制緩和うんぬんという以前の問題として、元々荷主側の方が強い立場におられるわけです。一方でトラック事業者側は、非常に中小企業が圧倒的に多いです。元々そういう構造的に、強い立場、弱い立場があるわけでして、そういう中で今回の原油価格の上昇、そしてその背景としましてこれまでの規制緩和だとか、それから環境面でもNOx・PM法に基づいて、新しい環境規制に対する対応のため、車両の代替をしなければいけないのですが、これが集中するのが今年度です。平成17年度から平成18年度にかけて集中をするということで、業者の方では、環境対応で車の買い換えは、27万台必要なのですが、それもしないといけないという中で、非常に大変苦しい、経営的に厳しい状況にあることは明らかです。これまでも私もいろいろなところをまわったときに、業界の方々から本当に大変厳しい声をお聞きしてまして、何度も言いますが、業界の中で、また企業の中で、できる努力というのは、限界があるわけで、それを大きく超えてしまっている今回の原油価格の上昇であると思っています。
(問) 今の件で、実際ちょっとどこまでできるのかわかりませんが、先ほどおっしゃっていたとおり、高速道路を通らないとかですね、追加的に高速道路の料金を下げるとかですね、そういうバックアップも国交省は運輸も建設も一つになっているわけですから、ある種できないことはないかなという気がするんですけど、それが一点。それからもう一つ 関係閣僚会議これも具体的にどれくらいの大臣が入って、どういう形でやろうというふうになるのかお願いします。
(答) 後の質問は、まったくこれからの話です。少なくとも経産省は当然ですが、あと大きな影響があったのが、農水省なんです。漁業関連は本当に大変のようです。それと当然国土交通省、この三つが非常に大きいと思います。そこに財務省が入ってくるのだと思います。それから高速料金につきましては、御承知のとおり、この問題以前の問題として、高速料金の引き下げをETCを活用した形で進めてきましたし、これからも更に柔軟な、多様な割引というものを進めていこうとしているわけで、それを活用していただくしかないわけです。高速料金をトラック事業者だけに安くするというわけにもいきませんし、ただ深夜割引とかは、これまでも相当進めているわけで、それを活用していただきたいと思っているところです。まずは価格転嫁の問題、さらには親請け、下請けの問題、親請けの方は、価格転嫁しているにもかかわらず、下請けの方には、価格転嫁されていないというようなこともないようにしなければなりません。そういうことで近々文書で発出をさせていただきたいと思っていますし、こうしたところをまずしっかりとやらせていただきたいと思っています。金融面での支援についても、これまでも環境対応との関係で進めてきているところですが、そうした金融面での対応についても、当然議論になってくると思っています。
(問) 道路公団なんですけども、今週末、民営化会社、新会社が発足しますが、そのことについての所見と改めてと言うと何ですけど、今まで上下分離方式といった、そういう大枠について、あるいは小泉政権の取組に対する姿勢などについての批判がいろいろあったかと思いますが、その中でも、その都度大臣なり、前任の石原大臣なりが、反発されてきたわけですけど、改めて認識をお願いします。
(答) この道路公団民営化の一番の大きな目的というのは、今ある約40兆円の債務、これを国民負担に回してしまうのではなくて、これを45年かけて、45年以内にきちんと償還をしていくということが最大の大きな目的です。そのためには、様々なコストダウンをやって頂かなくてはいけないし、この債務償還をきちんとしていくということが一番大きな目的であると認識しています。さらに、高速料金の割引等、利用者の利便性をさらに向上させていくことも非常に大事な目的です。また、民営化されることによって従来できなかった様々な仕事もできるようになるわけで、これから創意工夫を発揮していただいて、一方では収益を上げるとともに、一方では無駄なコストをできるだけ抑制していくということを是非努めていただきたいと思っています。いよいよ民営化がスタートするわけですが、残された課題もあると認識しています。残された課題につきましても、しっかりと引き続き対応をしていかねばならないと思っています。一つは談合事件が続いたわけですが、それに道路公団の幹部が関与していたということで、今司法の場でこれから解明されてくると思いますが、こうしたことはあってはならない、許されないことでして、そうした体質と言いますか、そういうものを本当に変えていかないといけないわけでして、それはまさしくこれからそうした対策を実行していくことになるわけなので、私どももしっかりとそうした再発防止に向けての対策が実行できるかどうかについて厳しく監視をしていかなくてはならないと思っています。また、ファミリー企業の問題についても残された課題が当然あると認識しています。この問題についてもさらに引き続き改革を進めていかなくてはならないと思います。
(問) 管制のミスなんですが、あってはならないことが短期間に二度起きてしまったという実態があるのですが、個人的な御見解で結構ですが、いずれにせよ監査が入るということですから、明るみになり全てが分かると思うんですが、これはあってはならないことがたまたま2件起きてしまったのか、それとも実は過去にこういうことがちょくちょく起きていたことが、たまたま顕在化したのか、どちらに御感じになりますか。
(答) 率直に申しますと、飛行計画の承認を受けずに離陸をしてしまったということです。そもそも8月に新潟で起こった時に、この飛行計画の承認の授受の問題について、これはたまたま新潟で8月に起こったということではないんじゃないですかと、私も率直な意見として事務方に申し上げました。日常の管制業務の中で飛行計画の承認の授受というところの扱いが、現実に現場でどうなっているのか、そこをよく調べてもらわなくてはいけないと思っています。そういうことも実際申し上げました。たまたま8月に新潟で起こったというように私は理解していません。他でもあったのではないかと。そもそもこの飛行計画の承認の授受というものが、いったい何のために管制業務の中でなされているのか、その位置付けは何なのか、管制官の方々がその辺のところをどう理解されているのか、そういうことについても当然、今回の監査の中で調査されるものだと理解しています。


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