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  臨時大臣会見要旨(平成17年12月30日)
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平成17年12月30日(金)
11:49〜12:20
国土交通省会見室

 

閣議・閣僚懇

  私の方から、まず2点御報告を申し上げます。本日、羽越線の第3回事故対策本部を開催をいたしました。JR東日本羽越線において発生しました列車脱線事故につきましては、現在、死者5名及び重軽傷者32名という状況になっています。32名の内訳ですが、乗客の方が30名、運転士、社内販売員の方が各1名という状況です。事故原因については、現在、本日も航空・鉄道事故調査委員会が現地で調査を進めているところです。本日の本部会議におきましては1点決定をしました。一つは鉄道に係る気象観測、運転規制、暴風対策のあり方等強風対策につきまして検討するため、気象や運転等の外部専門家を含めた協議会を設置することを決定しました。人選は早急に行いまして、年明け速やかに協議会を設置したいと考えています。また、羽越線における年末年始の代行運送の状況について確認をしました。鶴岡と酒田の間の代替輸送になります。バスの代行区間が約1時間ですが、鶴岡−酒田間で代行輸送を年末年始行うということで確認をしているところです。国土交通省といたしましては、年末年始も鉄道局中心に本事故の対応について万全を期すことを確認したところです。もう一つは、構造計算書偽装問題です。昨日、29日17時現在で偽装物件が89物件、偽装なしが237物件ということが確認をされています。しかしながら、調査中が姉歯元建築士が関与した物件でまだ17件調査中ですし、また、姉歯元建築士以外の調査中物件がまだ285件、合計300件以上まだ調査中でして、未だ問題の全容把握には至っていないという状況です。耐震性に大きな問題があります危険な分譲マンションについては、現在のところ101戸が退去なされましたが、未だ187戸が転居していないという状況でして、これらの皆様にとりましては、非常に不安な中で正月を迎えられることを思いますと、今、特定行政庁と連携を取っているわけですけれども、更にスピード感を持った対応をしていかなければならないと考えています。今後は、立地、敷地条件等の個別のマンションの条件を踏まえまして、除却、建て替えの道筋を具体化していきたいと考えています。また、偽装物件に関わりました元請けの建築士、建築士事務所、確認検査員、建築主事、指定確認検査機関等についても、厳正な行政処分に向けた更なる調査、検討を進めているところです。また、緊急建築確認事務点検本部等における指定確認検査機関の一斉点検について、先般ご報告をしたところですが、これまでのところ、実態上は耐震性に問題のある物件はなかったものの、構造審査上の重大な問題が指摘された事例があったことは誠に遺憾であると思います。これらについても、必要に応じて再調査を行いまして、行政処分等手続きを進めます。また、偽装を看過した特定行政庁、都道府県からの事情聴取、また、個別物件のサンプル調査等を年明けから実施をしていきたいと考えています。こうした点検本部の一斉総点検も踏まえまして、建築確認検査制度や建築士制度等の見直しについて、年明けから社会資本整備審議会におきまして、本格的な論議が行われると考えています。2月中の中間報告を得まして、早急に改善すべき点については、制度改正を次期通常国会にさせていただきたいと考えています。また、行政対応の検証と今後の緊急対応のあり方について、現在、緊急調査委員会においてご検討をいただいています。その結果、成果についても、真摯に受け止めて反映をしていきたいと考えています。今後とも、建築物に関する安心、安全への懸念を一刻も早く解消できるよう全力を挙げて取り組みをさせていただきたいと考えています。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 脱線事故についてですけれども、現場でダウンバーストと呼ばれるような異常な風の流れがあったのではないかという見方が強まっていると思うのですけれども、この点について、現段階で把握されていることを教えていただきたいのですが。
(答) 今日、夕方にも事故調の方から会見が予定されていると思います。また、事故調査も今懸命になされているところでして、今、その事故原因について、これこれと特定することはできないとは思っています。また、事故調の方にお聞きになっていただければと思います。
(問) 耐震偽装の問題ですけれども、いわゆる非姉歯物件について、まだ調査結果が出たのは半分ですけれども、とりあえず、その半分については耐震強度に問題があるのはなかったということですけれども、姉歯以外にも沢山あるのではないかというような疑いが一時はあったと思うのですけれども、そういう意味では、流れが変わってきたのかなという気もするのですけれども、この辺で見通しというか、どのようなお考えかを教えてください。
(答) 今、調査途中段階でして、木村建設関係、ヒューザー関係、そして平成設計また総研関係等、姉歯元建築士が関与していないところもまだ調査中が先程申し上げたように285件ありまして、今はともかくこの調査をやっていただいて、偽装の有無また耐震度について、早く確認をさせていただきたいと思っています。
 
(問) 別件ですけれども、外環道の建設に伴う移転補償費の問題で、以前も出た話かとは思うのですけれども、また報道でかなり本来払うべきよりも高額な金額を支払っていたという報道がありますけれども、これについて現在の調査内容について教えていただきたいのですが。
(答) その件については、私も報告を受けています。ともかく徹底して調査をするように指示をしているところです。本件については、交渉過程において、相手方から度々脅迫的言質があったと聞いています。しかしながら、税金を財源として執行されている公共事業の用地補償でして、過払いがあったこと自体は極めて遺憾なことと言わざるを得ないと考えています。本件に関しましては、既に警察の方に被害届を提出したと報告も受けているところでして、国土交通省といたしても、省内でしっかり調査をさせていただくとともに、刑事上での責任の解明、更には民事訴訟上も厳正に対応をしていかなければならないと考えていますし、また、如何なる理由であれ、そういう過払いがあったと、それも大変な過払いですから、私は、それは民事、刑事の問題に止まらず、省内における対応にも色々問題があったのではないかとも思っています。しっかり事実関係を解明したうえで、然るべき省内における処分もしなければならないと考えています。
 
(問) それから、話が戻るのですけれども、強風対策の協議会について、例えば、何人位の規模で、いつ頃メドに結論を出すとか、どのような内容を話し合うとか、もう少し詳しく教えていただけますか。
(答) これまで皆様からのご指摘もあるとおり、今回の事故原因、まだ、もちろん特定できませんが、相当、風の問題が、暴風対策について、やはり今のあり方をしっかり検証し、また、見直していく必要があるのではないかというご議論をいただいているところです。ということで、特に気象観測の専門家の方々にも、今回は入っていただいて、強風対策についてしっかり検討させていただきたいと思っています。何人の協議会でやるのか、いつやるのかということですが、今、早急に詰めているところでして、年明けには、速やかに協議会が開かれるようにさせてもらいたいと思っています。
 
(問) 羽越線の関係でお尋ねしたいんですけど、昨日JR東の松田会長が現場に訪れまして犠牲者の方に献花をなさった後、記者さんに対して「一区切りつきましたら責任を取りたい」という趣旨の辞意表明ととれるような御発言がありましたけれども、この点につきまして大臣、何か御所見ありますでしょうか。
(答) 私どもは、そうした人事のことについて何も聞いていません。また、そうした人事そのものが、これはJR東日本の方で決められることだと思っています。大切なことは、今被害者の方々への万全の対応をJR東日本としては、しっかりやっていただくことでありますし、また、再発防止に向けて事実関係を原因究明に向けてしっかり調査していただくことがもっとも大事なことでございまして、今は申し上げた二点についてしっかり会社のトップの皆さん、先頭に対応をしていただきたいということでございます。
 
(問) 大手ゼネコン4社が、談合をしないというような申し合わせをしたというようなことがありますけれど、これについての国土交通省としての抱負及び御所感をお伺いしたいのですけど。
(答) 昨日ですか。私も読ませていただきましたけども、そういう話、事実については、承知しておりません。しかし、12月22日付けで日本建設業団体連合会、日本土木工業協会、社団法人建築業協会、この3社で日建連の団体加盟の会員、また、3団体の会員の社長あてに公正な企業活動の推進についてと独禁法の遵守ということで通知がなされたところでございます。そのことは、当然承知しているところでございます。独禁法の改正強化等を踏まえて、コンプライアンスの徹底についての取り組みが業界の中で進められているものと認識をしているところでございます。また、行政側の方も一つは橋梁の談合事件を受けまして、再発防止策の取りまとめをいたしたわけでございますが、その徹底に努めてまいりたいと思いますし、また、官邸が中心になりまして公共工事の入札契約の改善に関する関係省庁連絡会議というのが先般、設置されたところでございます。行政側また業界団体の皆さん、しっかりと入札契約の改善、談合をなくしていくようにしっかりと取り組みを行政側も業界団体側も進めていただきたいと思っているところでございまして、そういう意味では、報道そのものは別といたしまして、日本のゼネコンを代表する企業が、そういう意識を強く持っていただくことが大事なことだと思っています。
 
(問) 来年の日中観光交流年を前にして最近も中国脅威論であるとか、上海の外交官の自殺事件を巡って日中間また冷え込みがきてるんですけれども、その中で来年の観光という面で影響というか心配されませんでしょうか。
(答) 中国の国家旅游局長、邵さんとも何度も今年お会いさせていただきました。日中間、政治的には非常に冷え込んでいたわけですが、そういう中で私も何度もお会いをし、お互いに邵h偉国家旅游局長と私との間では、私は信頼関係ができていると思っています。そこで確認をし合っているのは、むしろこういう時期だからこそ、しっかり相互交流やろうじゃないですかということは、お互いにそういう意識を共有しているといいますか、是非そうしていこうということで一致をして、明年を日中観光交流年として位置づけをさせていただいたわけです。先般も国交省の観光の幹部が中国北京に参りまして、来年の日中の観光交流年を具体的にどう進めていくか、青少年交流や姉妹都市交流等、また、様々なイベント等について、今、詰めの作業をまさしくやっているところでして、しっかりと、こういう中にあっても相互交流が拡大できるように取り組んでいきたいと思っています。そういう政治的な問題というのは、隣国同士の場合は、世界中どこの隣国においてもあります。むしろ、そういう時に、どう対応していくかということが大事なことで、私は、観光、相互交流ということは、非常にそういう環境を変えていくための大切な手段だと思います。しっかり取り組みをさせていただきたいと思っているところです。これは、日中だけでがなくて、日中韓三国で、こういう時だからこそ、お互いの交流をしっかりやりましょうということで合意をしているところです。
 
(問) 偽装問題ですけれども、今日、国交省から配っていただいた資料で退去状況ですけれども、年内にということは仰っていたと思うのですけれども、中々、現実的には、まだ退去の予定もない方もいらっしゃるわけですけれども、これから、そういう方への働きかけというか、そういう面についてはどうようにされるおつもりですか。
(答) 今、特定行政庁、地方自治体の皆様としっかり連携を取りながら、個別に様々な理由があって中々退去できないという方々と折衝をずっとしているところです。懸命に取り組みをしているところでして、後でまたご報告があるかと思いますけれども、今、危険な分譲マンションが10棟あるわけです。先行の7棟については、それぞれ棟によって状況が違うのですが、棟によっては、まだ退去されていませんけれども、全戸の退去の見通しが立っているところがあります。それぞれ状況が違っているところですが、例えば、その7棟については、1月15日位までの退去の見通しについては約7割位退去できるのではないかと。更に、今のところ95%位が退去の見通しが立っているというところでして、地方公共団体の皆様のご努力もあって、最初の7棟については、かなり見通しが立ってきているのかなと思っています。後に出てきました世田谷、川崎、北区の3棟について進んでいないというのが今の現状ですが、これについても、懸命にやっているところでして、進むときは一気に退去の見通しが進むのではないかなと考えているところです。今、それぞれまだ未退去の皆様方におかれましては様々な理由があるわけで、地方公共団体の皆様が個別訪問させていただいて、今、懸命に努力をさせていただいているところです。いずれにしましても、出来るだけ早く危険なこの分譲マンションから退去ができますように、私ども行政側が全力を挙げて取り組みをさせていただきたい、また、住民の皆様にもご協力を賜りたいと考えています。
 
(問) 先日、ホテルの下請け状況が発表されたと思うのですけれども、その内、木村建設がいわゆる名義貸しを受けていたという実態が明らかになりましたが、こうした問題は法には触れないということですけれども、エンドユーザーへの情報開示というか、その過程の中で、大手ゼネコンの首脳が弊社には責任はないというような発言もあったようですけれども、こうした現状のあり方について、大臣のお考えをお聞かせいただきたいのですが。
(答) 今の制度上は、建築主の同意があるならば、一括の下請けにやっていただくということも可能になっています。これは、そもそも建築主との関係で、そうした一括下請けというのは駄目というようにしているわけでして、建築主の書面による同意があるならば良いと。ただ、今、仰ったように例えば分譲マンションの場合で言いますと、マンション居住者の方々は、建築主から更に購入されるわけです。ですから、そういう方々との関係で考えますと、やはり消費者保護というような観点で考えますと議論しなければならないと私も思っています。責任の所在が不明確になってはきはしないのかと。また、消費者の例えば元請けの名前に対する信頼というのはやはりあるわけです。そういう消費者の利益の保護という観点から見てどうなのかと。責任の所在が不明確な問題についてどうなのかと。ここは、今後、議論をしていただく必要があると思っています。その問題も含めて社会資本整備審議会ではご議論いただければなと思っています。
 
(問) 課題山積の中で別のことを聞いて恐縮ですが、日本航空のグループ会社の件ですけれども、また、非常用脱出装置の操作を巡るトラブルがありまして、今回は、操作のし忘れではなくて、そもそも正しい操作方法を知らなかった、あるいは正しい操作方法を知らない乗務員を乗務させていたという可能性が強いと思うのですけれども、事業改善命令が出て8ヶ月になりまして、先般、大臣自らが日航に対する監査結果を公表されて、安全対策については一定の向上が見られるというようにご発言なさったばかりだと思うのですけれども、果たしてこれがどこまで向上したと言えるのかと、完全に不安を払拭したとは言い切れないのではないかと、時期尚早だったのではないかという声もあるかと思うのですけれども、その辺については大臣どのようにお感じになっているでしょうか。
(答) その件については、今、調査していますが、いずれにしても、そのようなことがあったことは遺憾なことでして、国交省といたしましては、直ちに厳重注意をしました。再発防止を強く主張したところです。先般も申し述べましたが、もう大丈夫ですよというように申し上げたわけではありません。この再発防止策について、しっかりとJALグループは取り組んでいただきたい。私どもも今後とも引き続き厳しく監視をさせていただきたいと思っているところです。いずれにしましても、安全最優先という意識を社内全体に本当に持っていただかなければならないわけでして、そういう意味では、今回のような事例があること自体、本当に残念ですし、しっかり経営者から現場の方々まで、グループ会社全体が本当に一体となって、安全最優先ということにしっかり取り組みをしていただきたい。厳しく今後とも見ていきたいと思っています。
 
(問) 年末は課題が随分多いですが、年末年始のご予定は。
(答) 東京にいるか、大阪にいるか、いずれかでして、いずれにしても、何かあったら大阪にいましても、すぐにこちらに帰ってくるという状況です。特に住宅局、鉄道局中心に年末年始返上しまして、幹部の方々は万全の対応ができるような態勢を今とらせていただいているところです。私自身も、何かあれば、すぐにこちらの方に来るような態勢をとらせていただいているところです。
 
(大臣) この1年、本当に皆様には大変お世話になりましてありがとうございました。
明年も様々本当に課題が多くて、様々ご指摘受けることが多いかと思いますが、どうか今後ともよろしくお願いしたいと思います。年末まで、本当に皆さんにも、こうした形で記者会見に立ち合っていただいて、心から感謝申し上げたいと思いますし、また、新年早々お会いすることもあるかもしれませんが、また明年1年よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
 


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