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  大臣会見要旨(平成18年9月5日)
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平成18年9月5日(火)
11:00〜11:30
国土交通省会見室

 

   

閣議・閣僚懇

 本日の閣議は一般案件が1件、政令の決定が1件、人事案件が4件でございます。今日は閣議後、中心市街地活性化本部が開かれました。基本方針について本部として決定をいたしました。今後、この基本方針に基づき、内閣総理大臣による基本計画の認定が行われることになってまいります。今週の金曜日の閣議でこの基本方針が閣議決定される予定でございます。先の通常国会でまちづくり三法の見直しがなされましたが、中心市街地活性化の推進に必要な取組みにつきまして、迅速かつ円滑に図ってまいりたいと考えております。私の方から2点御報告を申し上げます。先月の14日に首都圏で起きました大規模停電を受けまして、政府といたしましては、先週の金曜日に関係省庁の連絡会議を開きまして対応策のとりまとめを行いました。これを受けまして、国土交通省といたしましても、停電が河川を航行中のクレーン船により引き起こされたことや、停電によって鉄道などの都市システムに障害が生じたことを踏まえまして、1つは再発防止策、もう1つは危機管理の観点から、今回と同じような停電が起こった場合の予防措置につきまして、対応策を取りまとめましたので、御報告をいたします。詳細につきましてはこの後、事務方の方から説明をいたしますが、ポイントのみを申し上げますと、まず再発防止策といたしましては、河川における船舶航行ルールについて、船の高さの制限、航行中の行為規制等を設けることを検討したいと考えておりまして、年度内を目途に具体化を図ってまいりたいと考えております。また、高さ制限等の情報提供や標識・掲示の設置のあり方につきましても、これまでのあり方について改善に向けた具体的な対応策を盛り込んでいるところです。その他、関係の業界団体に対しましても、事故の防止に万全の措置をとるよう要請をいたします。次に危機管理の観点ですが、今回大きな影響を受けました鉄道事業者に対しては、運転再開に至る一連の対応について検証をしていただきまして、工夫改善すべきところがないかどうか検討の指示をいたしました。また、空港、道路、港湾、エレベーター、下水道につきましても復旧手順等について、この際、点検をさせていただきたいと思っております。国土交通省といたしましては、今回、取りまとめた対策に沿って、速やかに改善に向けて具体化を図ってまいりたいと考えております。もう1つは、明日から韓国に出張いたします。今回の主要な目的は、7日にソウルで開催されます日中韓、日本と中国と韓国の物流大臣会合が開催されます。それに出席をさせていただきます。又、国土交通行政に係るその他の課題についても韓国や中国の閣僚と意見交換をする予定でございます。この東アジアの経済関係が総合依存関係を進めている中で、シームレスな物流システムを構築をしていくということは、極めて重要な課題であります。これは日本だけではなく中国にとっても韓国にとっても極めて重要な課題と考えておりまして、日中韓物流大臣会合では、閣僚レベルでの意見交換を行いまして、今後の協力関係を強化する旨の共同宣言を署名をしたいと考えております。中国の方は中国の交通部長になるわけですが、李盛霖(り・せいりん)さん。先般も7月に私が中国に行きましたときにもお会いしましたが、韓国の方は海洋水産部長官、キム・ソンジンさんが出席します。個別にそれぞれ会談も予定しております。それからソウルに行きますので、キム・ミョンゴン韓国文化観光部長官、この方は7月の北海道での日中韓観光大臣会合に出席をしていただきましたが、キム・ミョンゴン長官とも意見交換をしますし、また7日の夜に「日韓観光交流拡大の夕べ」を主催して、現地の韓国関係者との交流も図ってくる予定です。観光交流の促進を図ってきます。またチュ・ビョンジク韓国建設交通部長官、この方とも何度も日本でもソウルでもお会いしていますが、チュ長官とも交通政策、国土政策について意見交換を行う予定です。今回の訪韓を通じまして、日韓の協力関係の強化に努めていきたいと考えております。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 幹事社から2,3伺います。第1点目は先ほどのお話しの中であった大規模停電の危機管理の部分で、点検をなさると、鉄道会社だとか空港施設だとか。点検は国土交通省がやるのですか。
(答) 今回の大規模停電を受けまして、鉄道システム等にも大きな影響が出ました。これは当然各鉄道事業者におかれまして、今回のこうした大規模停電を受けて運転再開までの手続き、対応等がより改善できないのか、より早く運転再開ができるような対応ができる方法が他に無かったのか等も含めて、まずは事業者で検討をしていただきたいと思っておりまして、そのことについてまた当然御報告を頂戴するということになるかと思います。
 
(問) 原油が高騰していまして、日本航空だとか全日空が値上げしたいと言っていますし、タクシーも値上げの申請が相次いでいると聞いているのですが。昨日トラック業界等の物流業者が大臣に面会を求めて陳情したと伺っているのですが、その内容と、その陳情を受けられてどうされるのか取組みを教えてください。
(答) 昨日いらっしゃったのはトラック、内航海運の物流事業者の方々と、バス、タクシー等の旅客、人を運ぶ旅客事業者の方々と大きく2つの方がいらっしゃったと理解をしております。まず物流事業者の方々は荷主さんとの間で価格が決まる訳ですが、原油価格が、トラック業界で言いますと軽油価格ですが、軽油価格が平成15年度に比べますと45パーセント上昇していると。1リッター約30円上昇している訳ですね。昨年も非常に上がったのですが、それにまた輪をかけるように今年また上がっていると。こういう状況です。本来なら荷主への価格転嫁ということをしていかないといけないのですが、これがやはりなかなか進まない。やはり物流事業者、これは内航海運も同様ですが、圧倒的に中小、零細事業者の方々が多い、また競争が激しいというなかで、価格転嫁がなかなか進まない、荷主の理解を得られない。こういう中にあって、本当にトラック、内航海運の物流事業者の方々が非常に困難な経営状況に陥っているということは明らかです。そういう中で、やはり荷主への当面の対策としては、荷主の方々の理解を深めていただくということで、国土交通省としても荷主の経済団体である経団連や日経連や商工会議所等に対して、原油価格の高騰に伴うトラック業界、内航海運業界の窮状についてよく御理解を頂きたいということで、今日、安富次官が日本経済団体連合会に参ります。また明日、日本商工会議所にも参りますし、さらには各地方運輸局におきましても、各地方の経済団体に、同様に今置かれている状況について、数字も示して、御理解をしていただくと。こういう環境整備をまず私どもの方としてはしっかりさせていただきたいと思っているところです。それとバス、タクシー等の旅客事業者というものは直接消費者の方々、利用者の方々との関係になるわけです。こちらの方は運賃の問題になってくるわけです。原油価格が上がってしまえば、当然運賃に転嫁をしていかざるを得ないわけでして、現に今、いくつかのところから運賃の値上げ申請等もあります。これにつきましても、迅速に判断をしなければならないというように思っています。ここまで原油価格が高騰している中で、もちろん本来なら、様々なその他のコストを削減する努力をやっていただいて、自助努力をさらに積み重ねていただくということがまずは筋なのですが、しかしここまで原油価格が高騰してしまうと、もうその自助努力にも限界があるのではないのかというように思っています。そういう意味で、国土交通省としても、そうして申請があった場合には、適切かつ迅速な対応をしていかなくてはならないと考えているところです。中長期的には、省エネ対策等々で、この原油、石油にできるだけ依存しないような体制にしていくということが大事ですが、当面の対応としては今申し上げたことかというように考えているところです。
 
(問) 耐震強度偽装問題についてですけれど、姉歯氏の初公判を明日に迎えて、今現在国が執られている耐震強度偽装の対策についてどのようにお考えなのか、現状のお考えをお聞かせ下さい。あとは、先月末に報告書がまとまりましたけれども、これについて大臣はどうお考えなのか、この2点について教えていただきますでしょうか。
(答) 前段のお話はもうこれまでずっとここでお話をしてきたとおりです。まずは通常国会で再発防止に向けまして、建築基準法等の大きな見直しをさせていただきました。また、次に開かれるであろう臨時国会におきまして、建築士法や建設業法等も含めまして大きな見直しをさせていただきたいと考えているところです。そうしたことを通して、この際徹底的な見直しをさせていただいて、再発防止に向けて取り組んでいきたいというように思っています。再発防止の問題とともに、この危険なマンションにお住まいであった居住者の方々に早く安心して居住の安定を確保していくための対策についても、特定行政庁、地方団体と連携を取って、取組みをしているところでして、これについても、私どもはこれからもしっかりと早く安全・安心な建物に住めるように取組みをさせていただきたいと考えているところです。
 
(問) 報告書については、建築士に関して言えば、一部業界団体同士の軋轢があって、国交省が事前に出していた新たな資格の認定ができないという批判もありました。あと6月に改正された検査機関についても、まだ必要な人数の半分くらいしか集まっていないという話も聞いていますが、それについての見通しとしては大臣はどうですか。
(答) この制度の見直しというのはワークをしないといけないわけです。これは様々な御意見がある中で、実際に機能する制度を今回作らせていただいたというように思っています。この制度の見直しというのは、この臨時国会で法律を提出して御議論いただくわけです。そういう意味ではまだ実際に施行されていくのはこれからでして、しっかりワークできるような体制整理は、まさしく今取り組んでいるところです。
 
(問) 繰り返しになると思うのですけれども、今回の大規模停電の再発防止策についての重要性とかお考えというのをもう一度聞かせていただきたいのですけれど。
(答) 日本の場合は、海上交通については、その交通の安全を確保していくための様々な制度や仕組み等が、これは歴史的にも、また国際間の合意もあって様々な取組みがなされているわけですが、この河川での船舶の航行、実際日本の場合、河川の中に船舶、特に今回のようなクレーン船が入っていくという場所というのはそんなに多くはないと思うのですが、船舶の航行についてもルール化と言いますか、規制と言いますか、そういうものが十分であったかというと、今回のことを通して、私はやはり十分ではなかったというように思います。この際、そうしたルール化をきちんとしていきたいというように思っているところです。この事故自体は、この船を航行している方々の不注意が極めて大きかったと言わざるを得ないのは明らかなのですが、ただ、この際、河川における船舶の航行について、高さの問題、航行のあり方の問題等々について、きちんとルール化をしていきたい。この船、河川というのは海上保安庁ではないのですね。警察の問題になってくるのです。海から一歩入りますとね。そうすると、こういうルールを作ったとしても実効性がないといけません。例えば違反した場合に、それに対する措置がきちんとできるようにしないといけないわけですね。そうするとこれは警察機関ともよく連携をとって、実効的な制度、仕組みを作っていく必要があるわけでして、そういうことをこれからしっかり関係当局と連携をとらせていただいて、年度内にきちんとしたルール化ができるように、制度化ができるようにさせていただきたいと思っています。
 
(問) 昨日、最高裁で、都立林試の森公園について国勝訴の2審判決が見直され、差し戻しということになりましたけれども、それで計画申請している都の石原知事が官舎を避けて民家を立ち退かせるのは違和感があると、それで国と相談して見直しというようなコメントを出していますけれども、これについて大臣はどのように受けとめていらっしゃるか教えてください。
(答) そんなことを言うならもっと早くから言えよという話なのですけれどね。これは都立の公園の話なのですよ。率直に言うと私はそういう意見ですね。ただ、そもそも官舎のところについて、どうしていくのかという議論が今あるのですよね。今、国有地等々の処分の問題が出てきています。そういう新たな状況も出始めている中で、この問題、この具体的な事例についてどう考えるのかというのは、私もこれはよく住民の方々と協議して、相談して、また行政の側も国有地そのものをどうしていくのかという中で、よく判断をして、この問題についても早く決着がつけられるようにしていくべきであろうと思います。
 
(問) 間もなく政権の枠組みが変わりますけれども、現在の小泉政権では、国土交通省としては道路公団民営化という大きな課題に取り組んだのですが、現時点で大臣は公団民営化で何が変わったと思うかという点について、御見解をお伺いできますでしょうか。
(答) 道路公団が昨年の10月1日から民営化されて、本格的にはこの4月からです。本格的な民営化がスタートしたのは、機構との間で協定を交わしたこの4月1日以降だと思うのです。そういう意味では、これからこの民営化の成果というものが、本格的に現れてくるのだろうというように思っています。現時点で評価するのは早計だというように思いますが、ただ、どうでしょうか、料金の引き下げは、これまで全くされていなかったのですね。引き上げはあっても。しかし、今は料金自体を如何に引き下げていくか、ETCを活用したものも含めまして、そうした努力も相当なされているわけですし、また、これもこれから具体的に現れてくると思いますが、SA・PAを活用して様々なことが私はできると思うのですね。そういうこともこれから現れてくると思いますし、更には高速道路の下の用地なども安全面を確保しながらの様々な活用策もあると思います。私はこれからそういう意味では、そのような民営化の成果がどんどん出てくるだろうと思います。その一端は十分出ているのではないかというように思っています。
 
(問) 先程原油高でヒアリングをされて、今日も次官が行かれるということなのですが、昨年の秋に大臣が行かれた時にも一部から民民の関係に国が値上げについて言うのはどうかという批判が出たり、また色々価格面の値上げについても公取から「引っかかるのではないか」ということが言われたりもしていますが、業界の不況とそうした要素についてどのようにお考えでしょうか。
(答) まず民民の問題に口を出すなという御意見があるかもしれません。個別のことに私どもが物申すわけではありません。個別の運賃について、どのように決めていくかということは、あくまで民民が決めることです。私どもが今言おうとしているのは、原油価格の高騰というものが異常なまでの高騰になっていて、それがトラック業界の方々や、また内航海運の方々のような物流事業者の方々の経営に甚大な影響を与えていると。それをきちんと数字としても示させていただいて、価格転嫁の環境を少しでも作れればよいという判断をしているわけです。このまま原油価格が高騰している中で、価格転嫁が十分反映できなくて、物流事業者が仮に事業を継続できないような状況にどんどん追い込まれていくということは、これは荷主側にとっても決してプラスではないと思います。日本の産業にとって今「物流」というものと「ものづくり」というものは、車の両輪ですから、やはり物流事業者がきちんと経営できるような環境整備をしていくということは、我が国産業にとって大事なことだというように私は思っています。また単にそのような民民だけの問題ではなくて、交通の安全の問題だとか、環境の問題だとか、そのようなことにも物流事業者がコストを縮減しようとすれば、まさしくもっと過酷な労働を強いていくだとか、そして交通の安全に影響を与えていく、また環境対策で様々な取組みをお願いしているわけですね、CO2排出を抑制するために。そういう中で物流事業者が環境対策にもなかなかコストが使えないと。そういうことにも影響を与えていくわけでして、これは決して民民の問題だから私達は一切何もしない、というのは違うと思います。ただ個別の運賃には、これはあくまでそれぞれが決めていただくことであると思っています。そこまでは私どもが物申すつもりはありません。原油価格の高騰というものは、ここまで異常な原油価格の高騰、それもこれから先、この価格を見ていると昔のような価格に戻っていくような見通しというものが全くないのです。それは中国やインドのような需要が非常に大きくなってきているということも一つ要因にありますし、中東等の国際情勢もありますし、そういう中で原油価格が昔のような価格に戻っていくと、収斂していくという見通しが全く立ちません。上がり放しの状況が続いているわけです。こういう中にあってこうした状況であるということ、とてもとても自助努力で、少し上がったくらいでしたらそれは他のコストを抑制して自助努力でやってもらえればよいのです。経営改革をしていただいてやっていけばよいのですが、値段もこの数年間で50パーセントも上がっていくような状況の中で、また油の経費の中で占める率が極めて高い業界ですから、そういう中でそのような環境整備をしていくということは、私は政府の大事な仕事だと思います。公取の皆さんからあれこれ言われる筋合いは全くないと思います。逆に不公正取引にならないように公取の方がきちんと見てもらわないといけないわけです。私、逆に公取の方に申し上げたいと思っているくらいです。
 


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