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  冬柴大臣会見要旨(平成18年11月14日)
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平成18年11月14日(火)
9:31〜9:57
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

 おはようございます。本日の閣議は、一般案件が5件、国会提出案件が5件、法律公布の決定が2件、政令の決定が1件と人事案件でした。国土交通省の関係では、一般案件が1件、「豪雪地帯対策基本計画の変更について」の決定をいただきました。これは、豪雪地帯においては、過疎化、高齢化が進んでいまして、平成18年豪雪では、ご案内のとおり152名の死者を出してしまいました。これは戦後2番目の最悪の事態でして、そのためにその原因などをいろいろ調査したところ、雪処理の担い手不足ということが顕著になるなど、新たな課題が明らかになったことを踏まえまして、国の基本計画を変更するというものです。本日の閣議では、私から関係閣僚に対しまして、新たな計画に基づく豪雪地帯対策への協力を要請したところですが、国土交通省としましても、地方公共団体や関係機関と密接に連携を取りながら、豪雪地帯対策を進めていきたいと考えているところです。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 道路特定財源の関係ですけれども、いわゆる余剰分について、建設国債の償還に充当するという考え方があるというように伺っていますが、それはそういう考えがあるのかどうかを含めて大臣のお考えを聞かせていただければと思います。
(答) 余剰があるとは私は思っていませんが、そういう建設国債返済に回すという思想は私にはありません。一般財源化を図るということは、もう何回も言っているように、2006年骨太方針で閣議決定しています。また、行政改革推進基本法の中でも規定しているわけでして、また、総理も所信表明の中で言われているとおりです。したがいまして、この特定財源を一般財源化するということについては、私は閣僚として、安倍内閣の一員として、当然協力していかなくてはならないことだと思います。しかしながら、私が今申し上げた骨太方針などでは、いわゆる納税者、タックスペイヤーによく説明をし、そのご理解を得つつ、この具体策を年内に決めることとされています。したがって、タックスペイヤーのご理解ということを除けて、一般財源にするというようなことは誰も言っていないのです。したがって、ここのところを財務省と十分協議をして、私の方に寄せられている国民の声というのはものすごくたくさんあるわけですから、そういうことも勘案しながら、どういうようにしていくのか、年内に決めます。その中には、国債償還という思想は、私の頭には入っていません。
 
(問) 先日、北海道の方を視察されて、JR北海道が開発しましたデュアル・モード・ビークルという鉄道と道路を両方走れるという乗り物を視察されたということですが、試乗されたご感想と、この乗り物はかなり全国でも引き合いがあると聞いているのですけれど、国土交通省として何らかの支援なり協力なり、今考えていることなどがありましたらお聞かせください。
(答) 私も現場でそのメカニズムの説明を開発をされました常務から詳しくお聞きした上、試乗もさせていただきました。大変ユニークな考え方でして、今までいろいろな国で数十年前からそういう乗り物について挑戦が行われたようですけれども、いずれも成功しなかったわけですが、今回のJR北海道の開発されたこのDMVというものは、私は非常に優れているというように思いました。どの点が優れているかというと、鉄軌条と道路を走るわけです。道路はもちろんタイヤでなければ走りません。鉄軌条は、鉄の車輪で走ることになるわけです。その入れ替えに今までは何十分もかかるとか、道路から鉄軌条へ移るのに、油圧などがなかったものですから、なかなか克服できなかったようです。外国ではジャッキで持ち上げてやったりもしていたようですけれども。今回は油圧で15秒くらいで入れ替わるのですね。これは本当に素晴らしい考案だと私は思いました。鉄軌条の上も鉄輪は駆動しないのです。これは鉄路を確保するだけの役割であって、駆動はタイヤがやるのです。自動車の後輪のタイヤが行うという、非常にユニークです。乗り心地も非常にいいのです。それから、鉄軌条から道路へ出るという作業が非常に迅速に行われるということですね。鉄軌条から踏み切りでカーブして一般道路に出るわけですが、それも非常にスムーズにやるのですね。感心しました。今私どもは地域交通について立法も考えているのですけれども、地方のバスとか鉄道とか私鉄でそういったものが軒並みお客が少ないために赤字でして、撤退したいというのがたくさんあるわけです。撤退されるのは自由競争ですから仕方がないのかもしれないけれども、そこの住民、特に自分で運転のできないお年寄りが、例えば病院に行くとか、あるいは福祉施設に行かれるという時に、その足を失ってしまう。もう1つは、子ども達が通学のために使っていた公共交通機関がなくなるということは、その子ども達にとっても大変な話です。そういうことで、地方公共団体は第3セクター等いろいろやって、赤字でも一生懸命やってらっしゃるわけですけれども、今のこのDMVは、そのような苦しんでいるところにいいのではないかと私は感じました。鉄道があるところは走って、ないところは乗り換えをせずに学校の正門までつけることもできると。あるいは、病院の玄関先までつけることができるというように思いまして、これは使い方によっては、現在苦しんでいる地方の事業者、公共団体にとって、非常に魅力のある乗り物ではないかという感じが深くいたしました。したがいまして、国土交通省としても当然このようなものについて関心を持って、JR北海道との間で研究をするための連絡の組織を2つ作っています。もし地方等で引き合いがあれば、それをお手伝いするようなことも考えていかなければならないのではないかというように思っています。
 
(問) 先程の道路特定財源の関係で、車というのは非常に便利なもので、経済社会、そして我々市民の足としても欠かせないものだと思いますけれども、一方で排気ガスというのが環境負荷、そして健康被害というものを引き起こすということも間違いないと思います。その辺の環境対策について、大臣の中でどの程度ウェイトを置いていらっしゃるのか、お考えを聞かせてください。
(答) 環境対策というものは非常に大きなウェイトを占めています。高速道路を造るといろいろなメリットがあります。ベネフィットがあります。その1つとして、環境対策があります。どうしてかというと、渋滞すると非常に多くの排気ガスが出るわけですが、そこをスムーズに走れるよう高速道路が整備されたところは燃費が非常に少なくてすみます。また、一定の場所に排気ガスが滞留するということを防ぐことができます。例えばETCを考えていただければ分かりますが、首都圏では約70%の車両がETCを利用しています。これによって、いつも恒常的に渋滞をしていたゲート周辺部分がほとんど渋滞することなく走り抜けることができるようになりました。その周辺の環境対策にもなりますし、何といっても燃料を節約することができます。また、高速道路をきちんと整備することによって、一般道路と比べ、交通事故も10分の1ですみます。そのようなベネフィットもあります。早く着くということもあります。この3本柱です。そのほかご案内のとおりですが、自動車の排気ガス、COを出すのを少なくする自動車の開発、その奨励なども行っています。極めつけは、水素ガスを用いた自動車開発の推進ということですが、なかなか水素を作る技術、費用、スタンドなどを考えると、まだまだ難しい問題があります。私どもは市民生活に根付いた自動車というものの利用は行わなければならないわけでして、その過程において大気を汚し温暖化するようなものは、抑えていかなくてはならないというジレンマがありますが、その両方に目配りをしながら政策としては進めていかなくてはならないと思っています。認識はそうです。
 
(問) さらに少し別の話になるかも知れませんけれども、沿道のぜん息患者の方々が訴訟等も起こされていまして、例えば尼崎なんかはなかなか高速道路に誘導できないというところで、そういった被害者の方をどうするかということがありますけれども、それについて一言お聞かせ願いますか。
(答) これは公害裁判や公害調停による合意というものを関係省庁が厳格に守っていくということで調整を図っていく。そしてまた、今私が縷々しつこいほど述べたこの車両側における排気ガス対策を早急に進めなくてはいけないと思います。ぜん息患者に対しての因果関係等難しい問題がありますが、調停あるいは裁判による判決等を尊重しながらそのような対策も進めていかなくてはならないと思います。
 
(問) 先週の諮問会議で民間議員から再来年度以降も公共事業3パーセント削減を続けるべきだという意見が出て、大田大臣の記者会見では大臣からそれに異論が出たというように聞いておりますが、その大臣のお考え、その提案に対するお考えについて改めてお願いします。
(答) 私は、ここに来る前は与党の幹事長でして、政府と与党との間で歳出歳入一体改革の関係で、歳出改革を進めなくてはならない、これは当然の話ですが、では幾らくらい公共事業投資は削っていくのかということにつきまして、いろいろな議論をしました。もう何度も言っていますけれども、平成10年は14兆9千億円という公共事業予算でした。それを平成13年に小泉内閣が成立し、14年度は前年度比で10.7%削減して、皆が悲鳴を上げるし、びっくりしたということがありました。その後も、3%ずつ削っていったわけです。そして今回、この改革は止めてはならない、後戻りしてもならないということで、国民的にそのようなご意思もあり、政府、与党でも改革を止めてはならない、戻ってはならないという議論があったわけです。そして今後どうしていくのかと、依然として3%ずつ5年間やるべきだという議論がありました。それに対して、私はそのころ国土交通省に来ていませんけれども、与党の幹事長として、待ってくださいと。今まではデフレーションで、資材や人件費につきましても、予算では3パーセント削られたとしても、何とか忍いできたのではないのかと。公共事業が悪いということではなく、公共事業は国民生活を維持する上においても重要であり、また社会資本というものも日が経つとともに老朽化、陳腐化していくわけです。そういうことを考えたときに、一方的にずっと削っていけば、将来大変なつけが回ってくる可能性がある。アメリカでもそういう事例はありまして、大変なことになったわけです。私は、この3%は打止めにすべきではないのかと思うけれども、後戻りしてはならないという世論の動向を見て、一律3%でいくというのは非常に危険だと。したがって、毎年予算編成時に、物価の動向や人件費なども考えながら、どれくらいやるのが良いのか考えるべきではないのかと。そのためには、3%という固定的な数字を入れるのではなく、もう少し弾力的な、柔軟な思想が必要ではないかと激論があったわけです。その中で、1乃至3%ということを決めたわけです。骨太方針2006を読んでいただいたら分りますけれども、そのように閣議決定したわけです。今年の6月ですよ。それをわずか4カ月後の経済財政諮問会議でひっくり返すということは、私はおかしいのではないのかと。私は3%削減をやらないとは言っていません。19年度はスタート台だから、身を切られるように痛いけれども、3%削減はやりますよと。白旗を掲げたと書いた方がいるけれども、白旗などは掲げてないです。私の思想としてそうです。しかし、来年以降の物価の動向、今日もGDPが発表されるようですけれども、そういうものを見て、公共事業投資というものはどれだけ真に必要なのかという判断の上に立って、パーセントは決めるべきであって、削るべきであるということありきではおかしいのではないかということを、私は熱弁を奮ったわけです。したがって、経済財政諮問会議の学識経験者の仰ることであるけれども、私は受けられませんということをはっきり申し上げたわけです。1乃至3%と閣議決定された経緯を見ていただいても、私は1%にするとか言っているわけではなく、これからの4年間のその年々の予算編成時に真剣に考えるべきではないですか、と申し上げたわけです。
 
(問) 昨年の冬に大分で開かれましたタウンミーティングに北側前大臣が出席されまして、そのタウンミーティングに私も参加したのですが、その時にかなり盛況で沢山の質問が出まして手を挙げる人がいらしたのですが、2番目に質問された方が「私は大臣と同じ大学で同じ寮にいた者です」と自己紹介され、つまり創価大学出身ということですけれども、それで質問されるという奇遇なハッピーな出会いがあったわけですけれども、今タウンミーティングについてのやらせや仕込みなどあります。それが明らかにお願いしたと、分かっているだけでもかなりの数に上っていますけれど、先週の大臣の会見である程度人数の確保するということについては、ご自分が世話役あったら多少は理解ができる様なことを仰ってたと思いますが、これから冬柴さんご自身もいくつかのタウンミーティングにお出になると思いますけれども、ご自身が出席なさるときには、改めてやらせや仕込みなどはないということについて仰っていただきたい。
(答) やらせはいけません。私はそういうことは嫌いです。しかし、大勢の人に集まっていただいて、中央から閣僚が行きまして誰も質問者がないということは、企画した人にとっては大変です。ですから、これは皆様も様々な会合を企画したり、同窓会、同好会や勉強会などあると思いますが、あらかじめ発言の見通しを立てることは考えられます。しかし、その人にどういう方向で発言してくださいとか、その内容はどうだとか、それは絶対にあってはいけないことだと私は思っています。
 
(問) 冬柴さんがお考えなのは、内容について指定することはやり過ぎだけれども、質問される方をある程度確保することまでは、どなたに質問していただく、あるいはどなたを当てることについて決めることまでは、避けられないのではということでしょうか。
(答) 私はそう思います。そうでなければ、その場を作っただけでは無責任だと思います。その時間を充実したものにして、その目的を達成するためには、準備ということがあると思います。その準備の内だろうと思います。しかしその内容まで、その場で議論すべきことを予め主催者が方向付けをして準備をするということはやり過ぎです。私は、それは駄目だと思います。
 
(問) 私の見たタウンミーティングでは、その質問で当たった数以上に手を挙げていた人がいたのですけども、必ずしも質問者が足りないということばかりではないと思うのですが。その質問者を予め決めることは、タウンミーティングのそもそもの目的と言いますか、公正さに欠けるのではと思いますし、最初から当たる方が決まっているタウンミーティングというのは、それ自体があまり意味がないと思うのですが。
(答) そうですね。準備はしても沢山の人が手を挙げれば、それは平等で当たるような工夫をしなければいけないでしょう。
 
(問) それは可能ですか。今まで質問して下さいとお願いした方が会場にいて手を挙げていて、飛び込みで手を挙げた方を司会者が当てるというのは、現実的に可能だと思いますか。
(答) それはわかりません。私はやったことがありませんので。公平に、そしてタウンミーティングの目的に照らしてどの様な運営が必要なのかは、今後もやっていく上においてみんなが考えてなければいけないことだと私は思います。原則論だけを申し上げましたけれど、あなたが仰るような疑問があるということであれば、そこで発言する人が沢山いるのに先に決めた人だけ当てて、それ以外の人は当たらないというのはいけないと思います。工夫すべきだと思います。
 

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