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  冬柴大臣会見要旨(平成18年12月8日)
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平成18年12月8日(金)
9:18〜9:47
衆議院議員食堂
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が2件、国会提出案件が16件、政令の決定が1件と人事案件です。当省の関係では、一般案件が1件で、「油等汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画について」の決定がありました。
 私から1件報告をしたいと思います。良質な社会資本整備を通じて、豊かで安全・安心な国民生活を実現していくためには、公共工事の品質確保が重要ですが、昨今、極端な低価格入札案件が急増しており、工事の手抜き、安全対策の不徹底など、公共工事の品質確保等に重大な支障が生じかねない状況にあります。このため、今般、総合評価方式の拡充、品質確保ができない恐れがあり契約相手とするべきでない場合の具体化等を柱とする新たな品質確保対策を取りまとめました。詳細につきましては、後刻、事務方から報告をさせますので、そちらでお尋ねいただきたいと思います。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 道路特定財源なのですが、大詰めを迎えていまして、これまでの経緯と現在の仕上がり具合について、大臣のご所感を教えてください。
(答) 本日、早朝から政府・与党協議会が行われまして、結果的には完全に一致しました。その内容ですけれども、引き続き道路等の社会資本の整備は非常に重要であるということでして、真に必要な道路整備というものにつきまして、重点化、効率化等を徹底しながら進めていくということですが、その具体的内容につきまして読み上げますと、前文として、「我が国の競争力、成長力の確保や地域の活性化のため必要な道路整備を計画的に進めることは、引き続き、重要な課題である。他方、我が国財政は極めて厳しい状況にあり、国民負担の最小化のため、歳出削減を徹底し、ゼロベースで見直すことが必要となっている。このため、昨年末の政府与党合意、行革推進法等に基づく道路特定財源の見直しは、以下に定めるところにより行うものとする。」ということで、第1点として、「道路整備に対するニーズを踏まえ、その必要性を具体的に精査し、引き続き、重点化、効率化を進めつつ、真に必要な道路整備は計画的に進めることとし、19年中に、今後の具体的な道路整備の姿を示した中期的な計画を作成する。特に、地域間格差への対応や生活者重視の視点を踏まえつつ、地方の活性化や自立に必要な地域の基幹道路の整備や渋滞解消のためのバイパス整備、高速道路や高次医療施設への広域的アクセスの強化など、地域の自主性にも配慮しながら、適切に措置する。」、第2点は、「20年度以降も、厳しい財政事情の下、環境面への影響にも配慮し、暫定税率による上乗せ分を含め、現行の税率水準を維持する。」ということです。3点目は、「一般財源化を前提とした国の道路特定財源全体の見直しについては、税率を維持しながら、納税者の理解を得ることとの整合性を保ち、@税収の全額を、毎年度の予算で道路整備に充てることを義務付けている現在の仕組みはこれを改めることとし、20年の通常国会において所要の法改正を行う。Aまた、毎年度の予算において、道路歳出を上回る税収は一般財源とする。」、4点目に、「なお、以上の見直しと併せて、我が国の成長力や地域経済の強化、安全安心の確保など国民が改革の成果を実感できる政策課題に重点的に取り組む。その一環として、国民の要望の強い高速道路料金の引下げなどによる既存高速ネットワークの効率的活用・機能強化のための新たな措置を講ずることとし、20年の通常国会において、所要の法案を提出する。」、というのが全文です。なお、最初の第1点のところで「広域的なアクセスの強化など」とありますが、その「など」の内容につきましては、このように確認されました。重複するところもありますけれども全部読みますと、8つありまして、地域の基幹道路、環境改善や渋滞解消のための環状道路やバイパス、災害に強い道路、国際競争力向上に資する道路、開かずの踏切対策、高速道路や高次医療施設への広域的なアクセスの強化、市町村の合併を支援する道路、最後に、通学路、バリアフリー対策、無電柱化、というものが、だぶっているところもありますが、「など」の内容です。今読み上げたのが、自民党、公明党の各政調会長から政府へ申し入れをした申入書に4項目あるのですが、その3つ目の項目の中にこういうことをきちんとしてほしいということで、政府としてはそれは全部入れたと。ただ表現上は、これを全部入れると長くなるので、典型的な3つを挙げたということです。それから、第4点目に「高速道路料金の引下げなど」と書いてありますが、その「など」につきましては、申入書の4つ目の項目ですが、「国民の要望の強い高速料金の値下げやETC専用インターチェンジの追加など、供用済みの高速道路網の有効活用・機能強化を図る新たな措置を確実に実施すること」、というものを受けまして、「国民の要望の強い高速道路料金の引き下げなどによる云々」というようになっているわけです。以上、報告します。
 
(問) その内容についてなのですけれども、大臣としてはどのようにお考えか。つまり求めるべきことは全て盛り込まれたというようなことになるのか、あるいは、まだなお大臣として物足りない部分があるのか、その辺を教えてください。
(答) 合意した以上、これは全部それで結構だという考えです。特に私が重視してきたのは、この暫定税率を維持しつつ一般財源化するということは、昨年末の政府・与党合意、これは私も関わったわけですが、あるいは行革推進法等には、道路特定財源は税率を変えることなく、一般財源化を図ることを前提に、納税者に対し十分な説明を行い、その理解を得つつ、年末までに具体策を得るものとするということが共通しているわけです。したがいまして、そこに盛り込まれました思想というのは、税率を維持しつつということは、それをするためには納税者に対して十分な説明を行い、その理解を得つつというところと合わせて読むべきでして、最初は負担、後ろは受益ということです。したがいまして、道路整備に対応する税率、税率に対応する道路整備と言ってもいいと思いますけれども、その関係をやはり明確にするということが、納税者の理解を得るためには何としても必要だということを、私は如何なる場所でも主張してきましたし、今日もその道は変わっていないわけです。その立場でこれを読みますと、暫定税率による上乗せ分を含めて現行水準を維持するというように書かれているわけですけれども、これは負担の方ですが、それに対する受益の方は、19年中に今後の具体的な道路整備の姿を示すと。この姿は具体的道路とともに事業量、例えば平成15年に、今後5年間に行うべきその道路整備の事業の金額的な量は38兆円とするということが閣議決定されているわけです。そのように、これは中期計画ですから今後5年間になるのか、10年になるのか15年になるのかそれは分かりませんけれども、今後の詰めですけれども、その際には具体的な道路とそしてその事業の量を金額で示して閣議決定されるというように考えていますから、これによってバランスは保たれたというように思います。そして特に3のところで納税者の理解を得ることとの整合性を保ちという言葉、これは両者がきちんと対応しているということを意味しているわけでして、税収の全額を毎年度の予算で道路整備に充てるという今の法の仕組みは改めるけれども、しかし道路歳出はきちんと行っていきますと、ただ上回る部分があれば、その部分は一般財源に入りますよ、という表現によって、私が、あるいは国土交通省が道路整備の責任を持つ官庁として強く求めていたのですが、納税者に対してその真意を裏切ることはできないということ、したがってその点については、明確に書いてもらわない限り私としては合意ができないという立場でずっと来ましたけれども、ここまできちんと書いていただきましたので、これで良いと私は思っています。
 
(問) 今の関係のお話で、そうすると道路歳出を上回る分というのは、あまり出ないのではないかというようなお考えなのでしょうか。
(答) いいえ。それは各年度の税収なりその年に整備すべき事業量というものとのバランスをとりながらやっているわけですから、それが多いか少ないかは俄かには申し上げるわけには参りません。しかし暫定税率というものは、道路整備を進めるから支払ってくださいということを言っているわけですから、本来はバランスがとれているはずと思います。
 
(問) 警察庁の発表で、今年になっての談合の摘発が38件と平成元年に統計を取り始めてから過去最多となったということで、今日には宮崎の前知事も強制捜査に入るという報道もあります。これはある意味で建設行政の失敗ではないかと、反省すべき点があるのではないかと思いますが、大臣としてのご所感を伺いたいのですが。
(答) 国直轄事業の発注者としての国と、地方公共団体、あるいは独立した行政主体の発注等があるわけですが、地方分権推進法によって国と地方は対等平等の関係になりました。したがって、地方が行うことに対して国が一から十まで指揮や指示をしたりするわけには参りません。したがいまして、責任逃れを言うわけではありませんが、国直轄事業においては、過去にはいろいろご迷惑をかけていますが、我々のいろいろな努力の結果だと思いますが、現時点では幸いにして談合をやらせないということで頑張っているわけです。しかし残念ながら今、地方首長のトップである知事が3人も刑事訴追を受けかけると、まだ宮崎はしていませんが、そのような状態は非常に異常であり、早急に改善されなければならないことだと思いますが、総体的に捉えて国の行政の失敗であるかどうかは、もう少し今後の推移を見守っていただきたいと思います。我々は深い反省の上に立って、特段に制度の改善等を行っているところでして、今日の極端な低価格入札云々もそのようなものの1つの現れだろうと思います。本質的には平成10年の14兆9千億円という公共事業予算が、18年度は7兆2千億円と半分以下になっていますし、19年度はそれからまだ3パーセント削るということを認めておりますので、6兆円台に入ります。したがって、従来公共事業というものを最大の得意先としてきた事業者にとっては、本当に生き残りをかけた壮絶な戦いが行われているわけで、その過程で談合あるいは極端な低価格入札が行われるということが今起こっているのだろうと思っています。私どもはそのような認識も持ちながら、どうすれば談合や極端な低価格入札を防ぐことができるのかということで今検討をしているところでして、談合というものは犯罪です。したがってそれに官が関与するということはもってのほかですから、今国会に提案されている官製談合防止法改正案を1日も早く成立させるべきだと思っています。
 
(問) 道路特定財源なのですけれども、官邸始め総理は道路特定財源全体の一般財源化を目指すような発言がありましたけれども、結果を見ると道路を優先した形のいわば道路優先財源ではないかというような論調もあるのですが、これに対して反論といいますかご意見があったら教えてください。
(答) 大臣になって2カ月余りですが、私の方へ毎日地方から要請活動が行われ、各県の首長はほとんどお見えになったのではないかと。市町村や各種団体からもお見えになりますが、河川やその他のこともありますけれども、大層7割、8割は道路です。具体的な道路です。それについて、1日も早くつくってほしいと。地方の道路は全部できあがったから、道路財源は一般の社会保障や年金などに回すなどという中央での議論は、とんでもないというのが、来られたほとんどの人が仰ることです。道路特定財源を一般財源にするのだということが行政改革推進法等で、国会の意思として決まっているにもかかわらず、今でも持ってこられます要請書の冒頭には、「一般財源化は絶対反対致します」ということです。そして、約1000万名くらいの署名が届いていました。その道路を一般の税収だけでつくるということになりますと、大変窮屈なものになるということから、昭和29年に、特別に税を徴収をして遅れている道路整備を進めようということで今日まで来ているわけでして、その沿革を理解せず、税収は全部一般財源という意思で議論が進められると間違うのではないのかと、私は思います。今言われたことは、暫定税率を外したときにはそのように言えると思います。しかし、リッター24円30銭を揮発油税として本税に上乗せさせてくださいということでお願いしているわけです。それは単にお願いするのではなく、自動車に乗っておられる人から頂いたお金ですから、道路整備を早急に進めるための税ですとお願いしているわけですから、その間には言わずと知れた牽連関係があるわけです。今回、その牽連関係を外すという決定をするわけですから、外した後はどうなるのかと。余っているから、全部その他の社会保障などに回しますと言ったら、大事になるのではないでしょうか。また、そのような意思は誰も持っていません。総理も所信表明演説の中で、この税率は維持しながら一般財源とする方向で、納税者のご理解を得つつ、年末までに具体策をとりまとめますということを言っているわけで、そこにはですね、納税者のご理解を得つつという言葉が必ず入ってるわけです。納税者がどうしたら理解できるかと。それはやはり納めた税金が他に回すことなく道路整備に使いますよという、道路だけではありませんけれども、先程ずっと述べましたような道路周辺の整備というものに使われますというバランスがとれなければ理解が得られないのではないでしょうか。私は観点が違うだけで皆同じ事を言っていると思います。
 
(問) 同じ関連で、今回、協議されたのは国分の話であり、地方分は論点になってないと思うのですが、大臣の個人的なご所見でも結構ですので、今後合わせて地方分も何らかの検討を加えるべきか、それとも地方分については、現状のままでいいとお考えか、どうでしょうか。
(答) 非常に鋭い質問だと思いますが、地方については、今回の合意の中では、論及されていません。合意されておりません。地方は見ていただいたらわかると思いますが、国道では予定のだいたい60パーセントくらい整備されているのではないでしょうか。府県道は約50パーセント程度だと思います。もう少しいってるかもしれませんが。その下の市町村道はもっと悪いわけです。今日も片山参議院自民党幹事長が特にその点について、これは賛成するけれども、しかし実情は市町村道は整備がすごく遅れているということを認識してくださいと。そういう道路の整備に当たって、国がとやかく関与したり、一から十まで指図したりするのはやめてほしいという話がありました。事実上そのようなことはしていないし、また、できるような法体系にはなっていないと思うのですが、そういうご意見があるほどに地方ではまだ整備されていない道路がたくさんあるというお考えですので、このようなご意見については重く受けとめないといけないと思います。それでご質問の件ですけれども、総務省を中心に都道府県あるいは6団体等がこれに即応して近いうちにお考えになるのではないかと思います。
 

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