国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年1月26日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年1月26日)
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平成19年1月26日(金)
9:45〜10:12
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は一般案件が7件、国会提出案件が2件、政令の決定が2件と人事案件です。当省に関係するもので特にご報告することはありません。
 閣議後、閣僚懇談会におきまして、夕刻開催予定の公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議に関しまして、私、国土交通大臣から、「水門設備工事に係る入札談合への元職員の関与が報じられたことは誠に遺憾であります。既に第三者、所謂専門家の参画も得まして、事実関係の調査と防止対策の検討を省内において開始したところであります」ということを報告いたしました。そして、「改正された官製談合防止法の厳正な執行と入札契約制度の更なる改善・徹底に努めてまいりたい」というように申し上げたところであります。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 昨日、京都のホテル2件で耐震偽装の件が明らかになり、国民の不安が高まる事態が残念ながら起こりました。調査終了の目途と事態解明に向けた決意をお聞かせ下さい。
(答) 姉歯元建築士などが関与した物件に加えて、今回、新たに京都市内のホテル2棟について構造計算書の偽装が確認されまして、国民の不安が高まっているであろうということを考えますと、誠に遺憾だというのが私の率直な気持ちであります。今回、株式会社田村水落設計が関与をしました168物件全てについて、特定行政庁に対し耐震性の状況等の調査を行うよう依頼したところであります。今後、事実関係を明らかにした上で、関係者の処分についても厳正に対処してまいりたいという決意であります。先の42物件のサンプル調査において、田村水落設計の対応の遅れ等により調査が進まないという事例も見受けられたところでありますが、国土交通省としましては、技術的に高度な物件については、財団法人日本建築防災協会というところがありまして、その中に設けられた違反是正支援委員会という専門家集団がありますが、これを活用しようと。あるいは適切な第三者の構造技術者の確保が困難な場合には、社団法人日本建築構造技術者協会と連携するなど、構造に関する高度な専門知識を有する者を活用した検証を行うように特定行政庁に働きかけているところであります。また、そういう専門家集団に対しては、我々の方から全面的な協力のお願いをしているところであります。今回、新たに追加調査をお願いしたところでありますが、物件が地域的にも偏在をしています。その上、物件の規模や構造等により検証作業の難易度も様々ということもあり、調査終了の目途については一概には申し上げられませんけれども、今後、こうした特定行政庁に対する技術的支援を積極的に行い、国民の不安解消のため、全力で取り組んでまいります。もちろん早急に結論を得るように努力するということも含むわけであります。今日の報道等を見ましても、田村水落設計はそんな違法なことはやっていないとかいうような弁明を繰り返しているわけでして、我々は客観的事実として、この時にこうしたのはどうだったかとかいうことを、特定行政庁にきちんと確認して、その時に偽装の認識有りたるものと判断しているわけですけれども、今になってもまだ偽装と認めないということが、調査が難しく進まなかった1つの原因ですし、また先方も平素の仕事をしながら調査に応じているところ、特定行政庁もたくさん仕事があるわけですが、それに重ねてこの問題をやっているというようなことから、相当時間がかかりましたけれども、仰る通り早急に結論を得て、国民に1日も早く安心していただけるようにしたいと思っているところで、努力はしていきます。
   
(問) 今の件なのですけれども、この件は姉歯物件とは少し違いまして、JSCA( ジャスカ((社)日本建築構造技術者協会)) と連携をと仰った、このJSCAの建築構造士という任意の資格を持っていた方で、高度ないろいろなご自分の見解があって、それに基づいて主張されることで、今仰ったとおりですけれども、非常に調査に時間がかかっているし、反論もということで、千葉県とか埼玉県の例を見ても、たぶん特定行政庁では相当調査が難航する、それが繰り返されると思うのですけれども、国交省としてご本人に偽装に関しての本人の本当の見解はどうなのかとか、調査を直接行うお考えはないか。自治体ごとに、また168件が本人に殺到するわけですよね。そうすると1件1件が非常に滞ることが予想されるのですけれども、その辺はいかがですか。
(答) 今私が幹事社の問にお答えしたように、社団法人日本建築構造技術者協会等専門家集団がありますので、そういう人達の知見を借りながら、彼の言っていることが独自の判断であって正しいものではないという反論ができると、私は思うわけです。もちろん建築士法は国土交通大臣の所管ですので、今仰ったことも1つの考え方だと思います。けれども、専門家集団の知見を借りながら、客観的に耐震強度が0.7しかないという結論は出るわけで、そういうものについていくら弁明されても、1を切っているという客観的事実があれば、私は結論を得られると思います。それから千葉のことを仰いましたけど、千葉は非常に大きな物件ですので、そういうものばかりではないと思うのです。また富山には、そこが本社であるからそういうようになったのだと思いますけれども、116件も物件が集中しているわけですが、それは必ずしも全部巨大な構造物の建物というわけではありませんので、そこは工夫をしながら、特定行政庁も忙しいですけれども、この問題に集中して、取り組んでいきたいと。それについては、我々もそういう専門家集団にご協力をお願いして、やらせていただきたいということです。
 
(問) 今回の田村水落設計の件は6月からサンプル調査などを始めていて、かなり長い期間経っていますが、調査に時間がかかったことについてご説明もありましたけれども、実際に京都市がヒアリングをしたのが10月、11月頃で、昨日の発表までかなり時間がかかっているわけですけれども、その間に強度に問題のある建物に実際に多くの方がお住まいになられていて、不安も感じていたかと思うのですが、その辺はどうしてこんなに時間がかかったのか、調査が難航したことに加えて、国交省の対応に問題がなかったかどうかについてお答えお願いします。
(答) ここはよく考えて欲しいのですが、こうした情報により、風評被害の発生のおそれがあり、あるいは中に入っている方達自身にとっては大変なショックなのです。住民の方々のご意向というものとかも全く無関係に公表してしまって良い問題ではないように思うのです。そういう確証を掴んだ後でも田村水落設計はいろいろな弁解や新たな自分の考え方を述べられるわけでして、その中でそのようなことをこちらが発表した場合には相当な混乱が生じてくるだろうと。そういう意味で、特定行政庁としても、これが0.5を切るようなことになってきますと大変ですけれども、そのところを発表することについて、相当苦労しながら昨日になったというように思われます。そのような疑問は本当に相当だと思いますけれども、そういうことも踏まえながら発表が昨日になったことについて、ご理解を賜りたいと思うところです。
 
(問) 少し重複するかもしれませんが、建築士が偽装ではないというように弁解していることについて、率直なご感想をお伺いしたいのですが。
(答) 偽装でないと言っても、そう言われないために、例えば筋交いの部分がどうだとか言う具体的なやりとりもしながら、そしてその場で手計算をしてみた結果とかいろいろなことを総合考慮して、「そういった事実を積み上げれば偽装をされたことを自ら認めていらっしゃるのではないのですか」と、「客観的にはそうですね」というところまで、特定行政庁は詰めているのです。犯罪者は人を殺す意思はありませんでしたと絶対に言うのですけれども、しかしその時の状況や事実関係を全部総合考慮すれば、万人は殺す意思があったと認めるのが当然だろうということで、殺意というものを認定するわけでして、それと同じようにこの問題についても、そんな偽装はしておりませんという結論だけを言われても、その積上げの事実、このときにどうだったのか、手計算の結果はどうだったのか、そういうものの積上げの結果、万人がこれは本人が否定しても偽装の意思があったねと、故意があるねというように判断されるというものだと思うのですね。ですから、私はそういう結論を積み上げた結果を否定されるということは、専門家としては感心しませんねということです。そしてそれは否定されても、我々としては、その積み上げた結果を見てその事実が確定されれば、それに基づいて厳正な処分をさせていただくということです。
   
(問) これで姉歯元建築士だけではなくて、倫理観に欠けた建築士が少なくないということが明らかになってきていると思うのですが、今の調査はサンプル調査にしても、ちょっと数が少ないのではないかという気がしますけれども、これをもっと範囲を広げるというようなお考えはありませんか。
(答) 相当膨大な中から、我々としては特定行政庁の負担能力とかも総合考慮しながらサンプル数を決め、そしてそれを調査しているわけでして、そのサンプルの中でこういうものが見つかれば、それの幅を広げるという手法をもっていますが、これ以上どれだけ広げても調査が長引くだけで、私はそういうことも全部考慮してサンプルの数を決めているというようにご理解いただきたいなと思っています。
   
(問) JR福知山線の事故の関係で、事故調査委員会が2月1日に行う意見聴取会の公述人が決まりました。13人のうち3名の方がご遺族と被害者の方がなっていまして、過去にも遺族なり乗客の方が選ばれたことがあったのですが、数的には今回が最大です。それについてのご所感を伺いたいのが1点。その関連で、現在は遺族という立場で参加できる制度ではなくて、事故調査に役立つかどうかという観点で選ばれています。遺族の方々もそれになるべく沿うような内容の口述を出して、それを判断されているという仕組みなのですが、その現行制度について、今後どうあるべきか、今の段階でのご所感も併せて伺えればと思います。
(答) 事故調査委員会自身は、もう十分ご存知のとおり、国土交通省の所管の中に入っているけれども、国家行政組織法第8条に基づいた委員会でして、これは独立性が保証されている機関です。したがいまして、事故調査委員会の中で協議をし、決定されたことについて、私からそれに対してコメントをするということは法律上も適当ではないというように思います。ただ、先程仰ったように、事故調査委員会には大変丁寧に進めていただいていまして、今回も現場に出かけていただきました。伊丹市というところで、事故現場のすぐ近くです。事故に遭われ亡くなった方、あるいは負傷された方々の住居にも近い場所まで担当官が行きまして、1時からと聞いていますが約4時間近くに亘って説明をし、また質疑も受けていたと伺っています。その中で、相当詳細に事故調査報告書等、事故調の調べについて勉強して発言される方が多かったということです。評価するかどうかということは別にして、そこで怒りや怒号とかはなく非常に静穏に、また熱心に報告を聞いていただき、また議論に参加していただいたと聞いています。それは説明会ですから事故調の委員会の枠外の仕事だったわけですが、枠内の意見を聴取する場で意見を聞いて欲しいということがたくさんあったわけですけれども、事故調のお話では、その中で、被害者の悲しみとか、みんな持っていらっしゃるわけですけれども、それを乗り越えて専門的に勉強された結果の意見、傾聴すべき意見というようなものを持っていらっしゃる方もいて、そういう方の意見を反映してはどうかという観点から、今仰ったように今まではそうではなかったけれども、3名の方の意見を聴くということになったやに私は伺っています。そういうことで、事故調査委員会は第8条委員会で、私どもはその運営について介入、あるいは容喙することは適当ではないという制度をとっていますので、今のコメントでご勘弁いただきたいと思います。
   
(問) 過日、電力10社が水力発電用のダムについて、再発防止策の報告がありましたけれども、その中で本社の関与が明らかになったり、川の水があろうとなかろうと必要な水を貯めてしまうとか、あるいは無許可で改修工事をやって結果的に安全基準を満たしていないだとか、河川法の趣旨、特に平成9年の改正河川法の趣旨なんか全く念頭にないというか、非常に河川管理者と認識の隔たりというものがあるというのが、改めて分かったわけですけれども、そのギャップを果たして埋められるのか、改めて大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
(答) これも再三申し上げているように、河川というものは公のものですから、それを特定の私人、それは電力会社であったとしても、特定の私人が占用してそれを使用するということについては、公の管理者である我々の付けた条件というものをきちんと守っていただくということが前提になると、これが大前提です。そのような法律の仕組みもあり、それに違反した場合には、我々としても対処する手段も決められているわけです。この許可を受けますと、ご存知だと思いますが、非常に長い期間そのような許可というものがあるために、とかくその中で今挙げられたような適正ではないようなことが内部で行われたということになってきたのだろうと思います。私は、その事業者について、事業者の上から下までコンプライアンス、法を遵守するというものをもっと徹底するということがまず大事だろうし、それから、非常に辛い話ですけれども、我々の出先機関も遵法精神というものをきちんと守っていただくという、自分が公の代表なのだという自覚のもとに、事業者に対して法を遵守してほしいという強い意志がなかったと反省をしています。このような事案を踏まえまして、ただ単に処分をするというだけではなく、私が申し上げた大原則を事業者の方にも理解していただかなくてはなりませんし、我々、監督・管理する方も公の代表として、十分に自覚をして、再びそういうことが起こらないような処置をきちんと執らなくてはならないと、反省を込めて、私はそういうように思っています。
   
(問) 先程の福知山線事故の意見聴聞会の件なのですけれども、重なるかもしれませんが、事故調査委員会の設置法の中で、意見聴取会の規定について、「関係者または学識者が意見聴取会に出席できる」という規定がありますけれども、今回が遺族を選ばれた初めてのケースではないですけれども、「関係者または学識者」という規定が、事故が起きるたびに、遺族が出席できるのかできないのかという法解釈的なところでどうなのかということが微妙なところで、遺族にとっても、自分たちが出席できるのかできないのかということが、今後も毎回起きてくれば不安になると思うのですけれども、制度的、法的なところで、大臣としては、今回の遺族の出席、口述できるというような事故調の判断ということについて、現状のままで今後もこの解釈を続けていくことで、遺族も出席できるというような形に進めていかれるのか、そうではなく、法律の中で何らかの対処というものが必要というように考えられるのか、その辺りについて伺えないでしょうか。
(答) 私どもは事故調査委員会が決められたことについて、今言われた規定に従って、事故調が判断したものというように考えています。その中に、ご遺族、負傷した被害者ということで捉えているのではなく、先程の質問にもお答えしたように、事故原因の究明に役立つ知見をお持ちの方ということで、その方がたまたまご遺族なり、被害者と一部一致しているというように私は捉えているわけです。事故の原因究明に裨益するという判断をされたのではなかろうかというように思います。私は、その解釈は8条委員会の専権でして、適法になされているものだと思います。ただ被害者という立場で採用されたのではないだろうというように思っていますので、ご理解いただきたいと思います。
 

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