国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年3月9日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年3月9日)
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平成19年3月9日(金)
9:45〜10:17
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が10件、国会提出案件が15件、条約の公布が1件、法律案の決定が8件、政令の決定が2件と人事案件です。この関係では、当省に関係するもので特にご報告するものはありません。
 閣僚懇談会に移りまして、私から、昨日皆様方にもご報告申し上げた官製談合防止法に基づく改善措置要求を受けたということを報告をいたしまして、極めて遺憾、慚愧に堪えないということで、これからの調査、それから対策にしっかり取り組んでいきますということを申し上げ、お詫びとともに閣僚各位にご協力をお願いをしたところであります。
 それから閣僚懇談会が終わりまして、総理に時間をとっていただきまして、院内の総理大臣室で、日本と中国航空当局間の協議の結果につきましてご報告を申し上げました。虹橋の問題については、昨年の10月に総理が訪中をされて、温家宝首相との間でなんとか羽田・虹橋間にチャーター便を飛ばそうではないかということで合意をしていただきました。それを受けて、私は12月8日に中国に参りまして、中国民用航空総局長楊元元(ヨウ・ゲンゲン)さんとの間でこれを確認をし、唐家璇国務委員との間でもこれをやろうではないかということで、積極的な合意を遂げたところであります。今般、前田審議官が出張して、向こうの柳芳(リュウ・ファン)中国民用航空総局国際合作司副司長他中国代表団との会談を通じまして、なお一層の早期実現についての議論を始めようと。中国側にはなお種々の調整が必要であるということで、それは2つありまして、1つは虹橋は上海市の空港で国内専用空港であるということ。それからそうであるが故に、CIQ等の外国人旅客者を扱う施設というものが、もう既に取り払われていて、これをやるのであればそういうものをもう一度作らなくてはいけないというようなことがあるようです。ただそういうことはあるけれども、皆承知の上で早期実現を図ろうではないかということで話をしているのが、具体的に一歩進んだということで、総理も大変お喜びでありまして、私からは温家宝首相が訪日された際にもう一歩前進が出来ればということも申し上げたところであります。それから、中期的な取組みにつきましても、昨年7月に旅客については増便を2割、貨物については10割と倍にしたのですけれども、もう満杯になりつつありますので、これをもう少し拡げようということで議論を継続することでも合意をしたということ。それと3点目には、日本国内の2地点とソウル、それから中国の2地点を結ぶ三角運航を週4便まで、これは貨物便ですが、これをやろうという画期的な話ですが、これは合意を遂げたということであります。そのようなことを総理にご報告申し上げまして、総理も大変頑張って欲しいと仰いました。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 昨日、公取から水門工事を巡る談合で改善措置要求が出されたことについて、今後国交省の信頼回復のために、どういった対応が必要かということを改めてお伺いします。
(答) 談合自体あってはならないということで、国の発注業務を大変多く扱っている国交省としては、談合が行われることがないようにということで、これまでも率先して種々の工夫をして、例えば入札制度の改革とか、あるいはそういうことに違反した場合のペナルティーの強化とか、我々の職員の再就職の問題についても相当踏み込んだ対策を講じてまいりました。官製談合ではありませんが橋梁談合事件が発覚した時には、そういうものについて相当踏み込んだ措置もして、談合を排除しようということで、根絶をしようと努力をしてきただけに、国交省の職員が、時系列的には橋梁談合以前のことではありますけれども、関与していたと認定を受け、国交省に対して国家機関としては初めて改善措置要求がなされたということは、本当に残念で慚愧に堪えない遺憾なことでして、この事態を厳粛に受け止めて、国民の皆様にも心からお詫びを申し上げなければならないと思っています。今後は1日も早く国民の信頼を回復できるように、最大限の努力をしていかなければならない。そのために、談合がいかに割に合わないかということを、昨日も幹部職員にはお伝えしましたけれども、今日は各地方支分部局の長に集まってもらって、私から、このようなことに手を染めれば人生を誤るということをとくと説明をし、他人ごとではないのだということで、コンプライアンスの確立ということに今後も継続して努めていきたいというように思っています。また事業者に対しても、これを徹底しなければならないということですし、そのようなことから、私自身給与の3ヶ月分を自主返納するということに決めました。副大臣2人、政務官3人も、政治家で責任を感じているということで、1ヶ月分ずつを共に返納したいと申されまして、私も理解を示し、そのように承知をしました。関与した事業者に対しましては、現在はまだ公取の命令の段階ではありますけれども、それぞれ公取の命令書に書かれた情状にしたがって、一番情状の重い事業者で18ヶ月という今までで最長の指名停止措置を講じました。さらに昨日取りまとめました「当面の入札談合防止対策」を速やかに実施に移すとともに、職員以外の有識者の方に参画していただいています「入札談合防止対策検討委員会」の場において、事実関係の徹底した解明、それから今回の事案の原因、背景を踏まえたさらなる談合防止対策の検討に万全を尽くして、1日も早く国民にその結果をご報告申し上げるとともに、最終的な談合防止対策を明らかにしたいというのが、現在の心境です。
   
(問) 信頼回復のために、「入札談合防止対策検討委員会」で検討されていることではありますが、その議論について、これまで2回開催されましたけれども、いずれも非公開であるということです。一昨年の構造計算書の偽造の事件では、緊急調査委員会をつくって、それはすべて議論をオープンにしたわけなのですけれども、今回も信頼を回復するには情報開示というのが大事だと思うのです。なぜ今回の対策検討委員会は非公開で行われるのでしょうか。
(答) これは、犯罪に絡むと思われるような事案が具体的に指摘されているわけです。このようなものにつきましては非公開で進めるというのが原則です。例えば、警察、検察における捜査ももちろんそうですし、それは指摘された人とか、あるいは関係者の人権に深く関わるところです。したがいまして、その事実関係を確定するまでは、それは非常に慎重に扱わなければならない。これは私自身の根本的な考え方です。ただし、あなたが仰るように、事案の透明性、公開ということは非常に大事なことです。したがいまして、私どもは、発表ができる段階になれば、それはきちんと洗いざらい報告するつもりでいます。ただ、例えば報道された人のその行為というのも、公正取引委員会の我々に対する改善措置要求の要求書の内容では、非常に漠然としたものです。刑事の事件における起訴状の記載と比べますと、全く雲泥の差があるくらいです。例えば名指しされている人が、何時、何処で、誰との間でどういう行為をしたことが関与行為になるのか、全く分かっていない。したがいまして、私どもは公正取引委員会にも協力をいただいて、これまでの調査の結果も頂戴して、誰がどうしたのか、相手方はどうだったのか、どういう行為だったのかについて、相手方の方々についても意見をきちんと聴取しなければ事案は確定しないと思います。そのような流れの中で、誰を調べたかというようなことは、その人が聴かれたというだけで何か悪いことをしたのではないかと印象をもたれる可能性があります。我々が意見をお聴きする人達についても、今までの省内でのこのような問題についての扱い、あるいは過去その人が担当されていた時の状況などを参考意見として詳しく聴いているわけでして、そのようなものも公表するということは不適当であると私は思います。したがいまして、必ず報告はします。報告しますので、それはお待ちいただきたい。防衛施設庁の時もそうだったのではないですか。最終的に報告を詳細にされたというように私は思っています。
(問) 国土交通省は国の公共事業予算の大半を扱う官庁である。しかも昨年、国土交通省が行った公共事業に関する世論調査で、8割の国民が公共事業に不信感を持っている。マイナスのイメージを持っている。それを回復するためには徹底した情報公開をするしかないと私は思います。大臣、そのようなお考えかもしれませんけれども、議論の過程も全てつまびらかにしていくことが、今後の信頼回復のカギだと思いますので、是非公開していただくよう要望します。
   
(問) これも改めてですけれども、関与が実名で記載された方に対する損害賠償請求について、現時点での大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
(答) 現職の場合は、損害があるかどうかということ、それと、どういう行為をとられたのか、例えば関与といわれた時に、あるいはこれこれの行為があったことをもって関与したというような事実があって評価があると思います。公正取引委員会の改善措置要求書には評価だけがあるので、そこをよく見ないと分からないと思います。そのことによって国家に損害が生じたかどうかということの検討も必要になるわけです。もしそのようなことが明らかになれば、私は直ちに民事訴訟を提起します。
   
(問) 現時点では調査途上であるということなのでしょうか。
(答) はい。調査しないと。
   
(問) 昨日、当面の対策として出されたいくつかを見てますと、非常に業者には厳しいのですけれども、身内に対しては、例えばOBについては問題をどう整理するかあまり書かれていないですし、職員が変な要求を受けたら報告することぐらいしか未だ書かれていないと。それは若干、身内に甘いのではと。例えばそのようなことを防ぐための行動をとらなかったら、上司も含めて、例えば共犯というか、不作為を問うとか、もう少し身内に厳しくしないと納得ができないと。業者側だけ厳しくしているようにしか見えないのですが。その点、どのように対策を見たらよろしいのでしょうか。
(答) 私は、職員に対しては今日もはっきり申し上げますが、このようなことに手を染めた場合に三つの方面から問題が起こりますよと。1つは、いわゆる懲戒問題です。最高は懲戒免職までいくわけであって、そうなれば、大学を卒業して30年も勤め上げていても、退職金はゼロになります。一定の条件の下では、年金の額まで減額されるようになっています。そういうことを申し上げます。それから民事事件、先程仰ったように事案がはっきりすれば、私は民事訴訟を提起して、損害賠償を徹底的に追求します。それから刑事事件ですね。これは入札妨害罪の共犯とか、背任罪とかで、こういうことで、本当に家族も含めて人生がめちゃくちゃになりますよと。そのようなことに手を染めてはなりませんということを申し上げているわけで、明らかになった人には断固としてそのような措置をとります。そのことはきちんと警告しています。私は身内に甘いとは思いません。内部からも告発してください。その人を守ります。ちょっといやですけれどもね、日本人の感覚としては。しかし公正取引委員会でも今般の措置がありまして、やってくださいということで、当方でも窓口を作ります。そしてそれに対する保護をし、また、それに対する是正措置もきちんととっていきます。もう1つは、OB等からの不当な働きかけなど、どれが不当かは難しいですが、いろいろなことを言われた場合には、先輩だからということではなく、きちんと記録を書いてください。そして、報告してくださいということも、また、そのようなことは定時に公表もします。それから工事発注組織も見直そうと、今までのように技術者だからということで同一職で長期に従事させることを抑制をして、異職種の職員も組み合わせてやろうと。現在、設計・積算担当と受注業者の選定に係る部分とは事実上分けています。しかし、それも徹底して分けましょうということです。談合関与職員に対する処分基準、懲戒基準を明確にしようと、損害賠償の厳格な実施もしていこうと。そのようなことをやっていますので、身内に甘いとは私は思っていません。ですから、これ以上のことが何があるのか。転職の問題、天下りと言われていますけれども、その問題についても、このような排除措置命令を受けた会社に対しては、職員の再就職は上から下までしないということもしています。私は、他の省庁ではここまでやっているところはないと思っています。外部に対して重いとのことですが、我々の方から発注するわけですから、あなたがそのような悪いことをすれば発注しませんということを予め言っているわけですので、事前に抑制が効くと思います。ですから分け隔てなく、私は職員に対しても業者に対してもやっているつもりです。
   
(問) 例えば、不当な働きかけ。不当とは何かというのは難しいところだと思いますが、そういうものがあった場合には、当然、報告は当たり前だと思いますが、報告しなかった場合にはそれをどう取るのかなどもきちんと書いて欲しいです。ゼネコンなどは、そのようなことも守るかどうか別としてですけれども、いわば共犯のような、例えば上司もきちんとさせなければやるというところもですね。いろいろとやっている中で、かたや3年の指名停止等々まで書かれているものを見ますと、やや具体性に欠けると言いますか、その辺りは気になっているのですが。
(答) 私共が、「記録をしなさい」、「報告をしなさい」、「公表をしなさい」ということは、それに違反をしたら、当然、懲戒処分の対象になります。ですから基準を示しているわけです。そういうことを受けたのに握りつぶしたり、あるいは部下から報告を受けながら上司にあげなかったりした場合には、もちろん懲戒処分の対象になります。そのような意味で書いているわけです。それが分かりにくいということであれば、文書にする場合にはきちんと書きます。
   
(問) 昨日、名古屋のタクシー協会がタクシー八千台の全面禁煙を発表したのですが、大都市としては初めてということで、今後このような流れが全国的に広がるのか気になるところですが、大臣どのようにお考えでしょうか。
(答) 禁煙という問題については、事業者の判断だろうとは思うのですけれども、大きな流れとしては、例えば、航空機や新幹線等公共交通機関については、禁煙ということが広まっています。タクシーも公共交通機関の1つとして、私も、昔はヘビースモーカーでしたけれども、煙草を止めてから40年になりますので、今、タクシーに乗って、前の人が吸っていたなと、すぐにわかります。全然、煙草を吸わない方々がそういった車両の匂いというものに敏感だということも言われています。したがいまして、そのような方向にあるのだろうと私は思います。私の方では、運送約款の中に、この車は禁煙車にしますと、きちんと取り決めてその表示をした場合には、それに違反してその車の中で煙草を吸おうとしたり、吸った場合には降りていただくということを適法化するような措置はとってあります。それについては、「一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款」というものできちんと決めてあります。制止してもお客さんが応じないという場合には、運送の引き受け、すなわち乗っていただかないとか、あるいは乗られてもその継続を拒否するということも良いですよというように規定が設けられています。大分市の事業者が最初に始めているようですけれども、今回政令指定都市としては初めてですが、名古屋全体でやるということは、そこの業者が判断されてこういう約款を採用されたということであろうというように思っています。国としては、ニュートラルでいかざるを得ないのではないでしょうか。たばこを吸う人もたくさんいるのだし、全部やめるべきであるということを言うこともできませんし、そういう方向を事業者が選択されるということで、多くの人が快適に公共交通機関を利用することができるようになるのなら、それは望ましいのだろうというように思います。
   
(問) 羽田−虹橋の最終合意なのですけれども、温家宝首相が来日されるまでには調整がつきそうなのか、それとももうしばらく調整を要するのか、大臣いかがでしょうか。
(答) 今年は日中国交正常化35周年ですよね。それと、日中文化スポーツ交流年ということで、たくさん来ていただきたいと思っていますので、1日も早いに越したことはないのですが、申し上げたように、向こうも努力していただいています。よく分かっています。 しかし、いつということは言えないです。できれば、温家宝首相が来られたときくらいにできれば最高だと思うのですけれども。
   
(問) 羽田のCIQの体制について、今の体制ではなかなか難しいと思うのですけれども、この辺はどのように。
(答) 向こうがやってくれるのなら、万難を排してこちらもやります。
   
(問) 国家公務員制度改革ですが、政府の方で、組織、各部局での斡旋を廃止しようというような方向性が出ていますけれども、国交省という改善措置要求を受けた当事者として、どういうように望むべきなのか、今いろいろ各種報道も出ていますので、大臣のお考えをここでお聞かせていただければと思います。
(答) 内閣府でそういう動きがあるというのは報道で知っていますけれども、正式にはまだ言ってきていただいてないのです。私どもは、それに対して、意見があればもちろん申し上げますし、公務員改革は前向きに取り組まなくてはならない事項です。ただ、天下りと評価されるものと転職というものを全て混同して、何もかも転職も全部駄目だということについては、私個人としては、例えば、公務員の場合、60歳定年まで働くというのは現実問題としてなかなか難しいのでしょう。年金は最低受けられるのは65歳からしかありません。その間、どうするのかという人生設計も要りますし、もし、転職が駄目だというのであれば、65歳まで定年を延長するという議論とともにしないと、大変大きな問題が生ずると思います。国家公務員の間でそれはどうするのだという問題も全部含めて考えないと。自分の身に置けばよく分かると思います。予算や権限を背景とした押し付け的な天下りというのは根絶しなくてはならない。これは誰も異論がないところです。しかし、だからといって、あらゆる公務員の転職を禁止するというのは。では、60歳になってどうするのかと。ハローワークに行けばいいのではないかと言われるかも分かりませんけれども、33万人もいる国家公務員の志気にも関わることです。内閣府で一元的にするというような意見を、報道によって私も聞いていますけれども、そういう問題については、人生に関わる非常に大きな問題、国家公務員のこれからの志気、あるいはこれから公務員になろうという若い人たちにも問題提起する非常に大きな問題だろうと思いますので、私もきちんとそういうものについては意見を申し上げながら、国民にご納得いただけるような制度改革というものを早急につくっていくと。それには協力はする、私はそういう立場です。
 

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