国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年6月5日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年6月5日)
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平成19年6月5日(火)
9:32〜9:48
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が1件、国会提出案件が28件、法律の公布の決定が4件、政令の決定が2件と人事案件です。当省の関係では、国会提出案件が1件、「平成18年度首都圏整備に関する年次報告について」が決定されました。本年の首都圏白書におきましては、拠点的な都市での人口増加地区の動向や首都圏における製造業の増加の状況等について報告しています。
 それから、本日の閣議で、本州四国連絡高速道路株式会社の代表権を有する社長人事についてご了解を頂きました。この人事は、正式には、6月27日に開催される同社の取締役会で決定される予定で、それに対して私から認可をすることについて、閣議の了解を頂いたということです。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 昨日、大手ゼネコンの大林組が一連の談合事件の責任を受け、トップが引責辞任したのですが、これに関して大臣のご所感をお願いしたいと思います。一企業のことなので、なかなか難しいかとは思うのですけれども、談合関係に国交省は取り組んできているということですので、お願いします。
(答) 談合はあってはならないことです。これは私が再々申し上げているとおりでして、入札手続きの公正・公平性というものを担保することからも、関係者は談合でそれを曲げるというような違法なことをやってもらっては困るということは、私がつとに申し上げているとおりです。このようなことが重ねて行われていたということを受けて、大林組という我が国では誇るべき技術を持った会社ではありますけれども、その責任を取って、トップが辞任をされるということでして、談合を許さじという立場からは、それなりに評価できることでありますが、その判断その他については、民間の会社のことですので、民間の会社の自主的な判断です。結果としては評価できますけれども、そういうことだと思います。いずれにしても、日本の誇る会社が談合に手を染めていたということは、甚だ残念なことであり、やめてほしいというように思っています。
   
(問) 東京大気汚染訴訟の関連なのですけれども、原告団がメーカー側の提示しました和解金の額について反発というか遺憾を唱えているのですけれども、その関連で、大臣は高速道路の監督を所管していると思うのですけれども、首都高とメーカー側の金額がこれから焦点になると思うのですけれども、その原告団の対応に対する大臣の受けとめと、首都高はどのようなものを提示するのか、どのように考えているのかお聞かせください。
(答) 裁判で決着させるということではなく、和解ですから、責任とかどうとかではなく、この問題を話合いで双方が互譲、互いに譲り合って解決をしていこうということであります。本来、民事訴訟は、判決で解決するということではなく、そのような話合いで解決をするということが好ましいことであって、どうしてもできない場合には法を適用して判決をする、黒白を決するということになるわけです。その過程として、審理が終わって、いわゆる弁論が終結してから判決言渡しまでの間に裁判所が和解を試みられるということは、大変に好ましいことであると思っています。それに対して、原告も譲らなければならないし、被告の方も譲らなければならないということです。互譲です。そこで首都高の話が出ましたけれども、首都高につきましては株式会社ですから、それは会社として、そういうものを受けどう判断するかという問題だと思います。私共は、この民間会社である首都高に対して、「いくら払いなさい」や「いくら払うべきである」ということは提案できないと思います。高速道路会社全体で40兆円という巨額の債務を45年かけて払うという約束のもとに民営化して、後は民間の英知で、これをそのとおり払っていくということで独立しているわけですから、よそからいくら払えということになりますと、ではその債務をあなたの方で持ってくださいということになります。当然の話だと思います。私共は「いくら払うべきである」というようなことや「払え」とか「払うべきである」とかは言える立場ではないと、私は思っています。ただ、支払い能力の点からいきますと、首都高の年間の利益は8億円から10億円しかないのです。地元の出資のうち東京都の出資は約半分ですから、4億円から5億円というのが東京都分なのです。それを5年間に亘って、何億ずつ払えということになりますと、東京以外の埼玉、神奈川、千葉などにも負担してもらわなければならないということになりますね。ですから、そういうことも考慮しながら、裁判所としても勧告されるであろうし、首都高速道路会社としても、民間会社として、これを解決するためにこれだけ出捐するという決断をする場合も、今申し上げたような数字というものが基礎になるであろうと、私はそのように思います。
   
(問) 今のご発言で確認なのですが、互譲という、互いに譲るというのは原告団に対してもということでしょうか。
(答) それはそうです。民法とか民事訴訟法を読んでもらうと分かりますが、互譲といって互いに譲って問題を解決する、法の基準に従わず、互いに譲り合ってということです。原告も被告も譲り合わないと、一方の方だけが全部譲るということではないわけであります。
   
(問) 昨日の次官会見でも話が出たのですが、脱北者の家族が小型の木造船で海上保安庁の警備をすり抜ける形で日本に来ましたが、今後の警備のあり方について、改めて大臣のご所感をお願いします。
(答) これは人員とか装備をもっと増やさないと物理的に出来ないですね。日本の海岸線は3万5千キロで世界第6位なのです。これを12,411人で守っているわけです。それで装備も古い物が多くて、私も今一生懸命、新しい物に変えて欲しいと訴えている。あるいは巡視艇はあるけれども、人員が足りないので、例えば交番はあるけれども巡査がいないというようなことで、これは許されないと。ですから増員をしてもらいたいということを申し上げているわけです。他の国と比べても、韓国のコーストガードは9千人台だと思いますが、領海・排他的経済水域の面積は日本の約1/10です。そういうことを考えますと、木造の場合、レーダーが突き抜けて返ってこないので、目視で見つけなければならないということになりますと、大変重装備にしないと、あるいはもっと固定翼とか、あるいは小さな巡視艇とか、たくさん配備しないと、なかなか見つけられないというのが、物理的な問題だと思います。しかしながら、じゃあそれで良いかと言うと、そうはいきません。例えば、今回も民間の漁船に話しかけたということが端緒だったようですけれども、そういう場合に、いち早く、そういう情報が我々の方に入るように組織して、民間の漁船とか、遊漁船という人たちと、海上保安庁との連携をきちんととって、そういうことをいち早く捕捉できるようにするということが、非常に大事だろうと思います。私としましても、海上保安庁の装備ですとか人員が足りないということも、国民に分かっていただいて、今は国家公務員の減員という大きな流れがあるわけですけれども、その流れの中では、とても、こういう問題を防ぐことができなくなるということを訴えていきたいと思います。ちなみに日本の領海・排他的経済水域の面積は447万平方キロと世界第6位ですが、世界第1位のアメリカが、762万平方キロです。日本の1.7倍です。それで、日本の海上保安庁の人員が1万2300人の時に、アメリカは4万6000人でした。韓国は、45万平方キロで、日本の約1/10ですが、日本の1万2000人に対して、9800人ということで、日本の定員は相当少ないと言えると思います。かといって、ギブアップというわけにはいきません、どうしてもそのようなものについては。これは亡命みたいな形ですが、もし、それが変な工作船であったりしたら恐ろしいわけでして、領海侵犯ということになります。そのようなことに対して、国民の安全安心を守るためには、装備が足りない、人員が足りないということで拱手傍観はできません。したがいまして、装備や人員の増強を図っていくとともに、知恵を働かせて、漁船、遊漁船、あるいは民間の方々の情報を集約して、一刻も早く海上保安庁が手を打てるような、そのような工夫をしていかなければならないというのが結論です。
   
(問) 今回の場合、今後同様の事例が発生するという見方をされているのか、それともこれは特異な事例であって、一例に過ぎないのか、という政府全体の認識が非常に重要になると思いますが、そのようなことに対して大臣のご所見及び本日の閣議などでそのようなことにつきまして議論はありましたでしょうか。
(答) 私はまだそこまで議論していません。私個人の感覚といたしましては、清津から青森まで海上で900km近くあります。ここを木造船で来るというのは、本当に希有の事例だろうと思います。よく遭難せずにたどり着いたと思います、これは相当な冒険です。これが母船等から降ろされてきたということであれば別でして、その母船をずいぶん探しました。海上保安庁としては、航空機9機と巡視船艇23隻を投入して周辺を探しましたが、母船らしきものはありませんでした。すなわち、漂着した木造船1隻が、供述通り、清津から青森まで単独で来たと、これは物理的には大変危険な話で難しいのではないかと思います。そのようなことがしょっちゅうあるとは私は思いません。しかしながら、そのような可能性もあるわけですから、先ほど申し上げたような対策を早急に取らなければならないということです。
   

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