国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年6月12日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年6月12日)
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平成19年6月12日(火)
9:30〜9:51
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

 おはようございます。本日の閣議は、一般案件が1件、国会提出案件が34件、法律の公布の決定が3件、政令の決定が1件と人事案件です。当省の関係では、国会提出案件が1件、『「平成18年度観光の状況」及び「平成19年度観光施策」について』の決定がありました。これは、観光立国推進基本法の規定に基づきまして、毎年、国会に対して、観光に関する状況及び観光の施策に関する報告を提出するものです。昨年末に成立しました観光立国推進基本法に基づくものは、今回が初めてということになります。
 それから、もう1つご報告があります。アジア・ゲートウェイ構想にも盛り込まれていますが、羽田での特定時間帯、すなわち20時30分から23時の出発、6時から8時30分の到着の時間帯の国際旅客チャーター便の運航に関しまして、私からご報告を申し上げます。アジア・ゲートウェイ構想を受けまして、千葉県及び関係市町村と協議を行った結果、騒音軽減策の徹底を図ることを前提に、先程申しました特定時間帯に国際旅客チャーター便を運航することについての理解が示されました。これを踏まえ、速やかに具体化のための手続きを行うよう、航空局に対して私から指示をした次第です。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 先程お話がありましたように、観光白書が今日閣議に提出されたということなのですけれども、外国人観光客数が過去最高を更新したということが盛り込まれているようですけれども、ご所感がありましたらよろしくお願いします。
(答) 今年の観光白書の特徴と致しましては、観光立国の意義の1つである経済効果につきまして論及をしています。観光消費額が、現状で24.4兆円ということですが、平成22年、すなわち2010年の将来推計をしたところ、29.7兆円が期待されるということなど、観光の我が国経済における重みがますます増大する可能性を示しました。加えて、どのようにすれば観光振興の経済効果をより大きくできるかについての事例分析というものを行って、その結果も紹介しています。私も、沖縄、奄美、甑(こしき)島、北海道、最近では佐渡など、各地を視察してきましたけれども、地元の観光資源を活用しながら、地域の方々が観光振興に熱心に取り組んでいらっしゃる姿を見るにつけ、大変感銘を受けているところです。そうした方々にとっての参考や励みにもなるだろうと思いまして、こういう事例紹介をしているわけです。また、観光立国担当大臣として、今後とも観光立国をしっかり推進していきたいと考えていまして、今回の観光白書も、観光に関わる地域、産業界の方々のみならず、多くの国民の方々に、我が国の観光の現状と観光立国政策の意義についての理解を深めていただくことに役立ってくれれば有り難いと考えているところです。
   
(問) 東京大気汚染訴訟なのですけれども、首都高速道路会社が医療費助成で年間1億円、5年間で5億円を拠出するという報道がありました。これについて昨日、東京都の菅原副知事も首都高速道路に対しまして、更に積み直しを求めたという報道があります。これについて大臣にどのように報告が上がっているでしょうか。また、ご所感も伺いたいのですが。
(答) 報告が上がっているということはないです。報道では知っていますが。所感としましては、なるべく早く解決をして、多くの喘息によって苦しんでいられる方がいろいろな方々の協力によって、少しでも負担が軽くなるようにと願うものですが、それぞれの立場があると思います。最終的には裁判所がどのような采配を振るわれるかですけれども、和解というものはそれぞれ互いに譲り合って、互譲ですね、そして法律という基準ではなしに、その合意に基づいて新しい秩序を創っていこうということです。したがいまして、それぞれの立場でどこまで譲っていけるのか、努力できるのかという今最終段階に入っているのかなあという感じを受けます。それぞれの立場というのは、首都高速道路株式会社にはそれぞれ株主・出資者もいますので、そういった人達の考え方というものも十分に考えながら、経営者が判断することだろうと思います。株式会社としてどう対処するかということを判断されることであろうということです。
   
(問) 観光立国の件なのですけれども、先程、大臣が仰られたようにいろいろな所をご視察されたご経験から、モデルケースの例を挙げられましたけれど、逆にまだ地方が取り組めていない点や力及ばずの点があるとすれば、どのようなことだと感じていますか。
(答) 経済効果を追うということになれば、素通りではなしに一泊をしていただくとか、そこで他にはない特産物というものをお土産として買ってもらうとかというようなこと、あるいは長期滞在といいますか、その方法はどうあるべきか、そういったことが非常に大事だろうと思います。それからもう1つは、佐渡にも行ったのですけれども、1箇所だけ見るのではなく、例えば朱鷺だけを見に行くということはないわけであって、その他いろいろな所があるのです。全然知りませんでしたけれども、太鼓、あるいは能というようなものが非常に盛んです。これから薪能の季節に入るようです。それから土俗の「おんでこ」というのを聞いたことがありますでしょうか。鬼と太鼓と書いて「おんでこ(鬼太鼓)」というのです。これは各村であるようです。鬼の面を被った人が、小さな太鼓ですけれども、それを掛け声を掛けながら叩くのです。古くからあるようです。そういう物を広く知ってもらうということになれば興味も湧くし、佐渡へ行ったらそれを見ようとかですね。それからまた旨い酒や魚があります。そこへ行かなければ絶対に食べられないような物がありました。例えば河豚の卵巣です。これは大変な猛毒があると言われているわけですけれども、それを1年間塩漬けにして、そしてそれを何かでもう一度漬けたもので、これは大変な珍味です。まるで滋賀県の鮒寿司のような感じがします。発酵食品ですけれども毒は全く消えているのです。他では絶対にあり得ないような物がそこにはある、ということが一つの話題で、今日ここで話を聞いた人の中から、では行ってみようかなというような人が出てくるかも分からないですよね。私はそういう物が日本各地にあると思うのですよね。そういう物を地元の人は生まれた時から経験しているから、あまり珍しいと思わないのでしょうね。そういう物について、他から来た人に、非常に珍しくて多くの人の関心を呼ぶのではないかという指摘をしてもらう。そしてそれを広報するというような作業が必要ではないのかなと。私は全く観光資源がないといったところは日本中ないのではないかというような気がいたします。観光というものは平和な産業ですし、誰もが楽しめるものであると思いますので、もっともっとやっていかなくてはいけないなというような気がします。
   
(問) 先日の定例会見の中で、大臣は東京大気汚染訴訟の関係で、首都高の支出の一つの基準として、利益なんかを考えると4、5億というか、そういう基準をお示しになったと思うのですけれども、そのお考えというのは今でも変わらないのでしょうか。
(答) 株式会社ですから、社会的責任を履行しなければならないということの反面で、出資者というものがあります。例えば、首都高への地元の出資のうち東京都が1/2です。そして残りは周辺の埼玉県とか千葉県とか神奈川県とか、そのようなところからも出資しています。今、問題になっているのは、東京の喘息の患者の方にどうするかということです。首都高の年間の利益は8億円、良くて10億円です。したがって、東京都の出資割合を考えれば、出せる上限といいますか、何もかも全部はたいても年間4億円から最高5億円が支払能力の限度です。それを超えますと、利益の均霑(きんてん)を受けることのない周辺地域の出資者の利益にも食い込むことになります。そういうことを私なりに懐計算をして、その法人の支出できる能力というのを考えたらどうなるのか。もう一つ、つきあいということはありますけれども、やはり限界があるのではないでしょうか。そういうことで申し上げているわけです。例えば、あなたとどなたかが訴訟になって、和解しなさいと言われたとして、自分の年収はこうですけれども、家計費とか、ローンとかいろいろ払えば、せいぜいこれだけだというお金がいくらか出てきます。それを大きく超えて払えと言われたって、それは面子もあるし、確かに払わなければいけないかもしれないけれども、私の能力以上は払えないじゃないか、ということになるのではないでしょうか。私も22年程弁護士をやっていまして、そういう状況には何回も出くわしました。やはり、その人の支払いができる上限というのはそれぞれにあるわけです。その中で、どこまで努力してこの問題を解決していくかという問題だと思います。
   
(問) 確認ですが、今の点に関して、懐具合から想像するに、そういうことだろうということだと思いますが、逆に株主の一人でもあるわけですから、大臣のところに「これぐらいでやりたいんですけれども、どうだろうか」という打診はまだ来ていないということでしょうか。
(答) それはないです。独立した法人ですから。
(問) でも株主は国土交通省です。
(答) けれども、株主と相談することではないのではないでしょうか。例えば、通行料金の引下げの社会実験をするということになれば、それは政策です。政策を押しつけるわけにはいきません。きちんとした予算上の裏付けが出来なければ、そのようなことはお願いできません。独立した法人ですので、その点が国が丸抱えで行っていたときとは全く違います。
   
(問) 道路運送車両法の騒音規制の適用強化のことについてお尋ねします。この夏の省令改正は予定どおり行えるかどうかということと、騒音規制の適用強化については、不適合車の摘発が必要であるという声がありますが、今後、国土交通省で不適合車の摘発強化を進めていく予定はあるかどうかということです。
(答) 騒音というのは、社会的に、深夜の静謐を保障して欲しい等いろいろなことが言われます。平成4年や平成7年の中央環境審議会の答申を踏まえて、平成10年から13年にかけて車種毎に逐次規制を強化してきたという経緯があります。ところが、使用過程車についてはマフラー、消音器を交換してしまう、最初から取り付けられているマフラーを取り外して、違うマフラーをつけることによって大きな騒音が発生するという事例が、後を絶たないということは周知のことです。国土交通省のホットラインステーションに、マフラーを取り替えて深夜暴走されることによって深夜の静謐が害されるので何とかして下さい、という大変多くの苦情が寄せられています。また、独立行政法人交通安全環境研究所で行った調査によると、主要道路の沿線の住民のうち多くの方が、二輪車の騒音がうるさいと思われています。夜間の幹線道路を走行した二輪車のうち、2割強がマフラーを改造する等により大きな騒音を発していたというような報告があります。このような状況を踏まえて、平成16年7月に国土交通省と環境省が合同で設置した自動車排気騒音対策検討会が平成18年6月にとりまとめた調査結果に基づいて、騒音対策の強化を図るために、今年の夏頃を目途に必要な関係省令の改正が行われるように、作業進めているというのが現状です。取り締まるかどうかというのは、省令が出来たら、それは法に依拠しているわけですから、それに違反すれば罰則があります。したがって、警察が取締りをします。国土交通省が取り締まるわけではありません。
   

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