国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年7月24日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年7月24日)
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平成19年7月24日(火)
9:32〜10:00
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が1件で、当省に関係するもので特にご報告するものはありません。
  閣議は以上ですが、私からご報告したいことがあります。新潟県中越沖地震の犠牲者の全てが高齢者でありました。かつ、多くが住宅の倒壊によりお亡くなりになりました。高齢者、障害者等の災害弱者と申しますか、その人命を確保するためには、このような方々が暮らす住宅が地震時に倒壊しない、少なくとも、倒壊によって圧死をするというようなことにならないように、耐震改修を緊急に促進する必要があると、現場も見まして感じました。一方、高齢者とか障害者等は、資力の問題等により耐震改修を実施したくても出来ない場合がある、また、その意欲もないというようなことも見受けられます。そういうことから、住宅の耐震改修にあたっては、簡易な補強など、倒壊防止に係る必要最低限の改修により、できる限り負担を小さくする必要があります。技術的にそういうことも考えなくてはならないのではと思うところです。今後、国土交通省といたしましては、3つのことを考えています。
  1つ目は、高齢者等災害弱者に係る住宅耐震改修について、地域住宅計画への明確な位置付け、地方負担分の財政措置による地域住宅交付金の積極的な活用です。昨日も能登半島の輪島の方へ行ってきました。7つの市や町の首長さんとお会いしていろいろ話をしたのですけれども、地方の負担分についての財政力が十分でないことを訴える方もありました。そういうことを考え合わせまして、その負担分の財政措置をまずしてあげるということ、これは総務省とも話をしなければいけないですが、そういうことによって、国土交通省による地域住宅交付金が積極的に活用できる、そういう環境を整えるべきであるというのが1つ。
  2つ目は、地域要件、建物要件の撤廃。例えば、道路に面しているとか、その家が倒壊すると道路の通行が十分に出来ないとかいうものについては手厚いのですけれども、自分の敷地内で家が倒壊したとしても他に迷惑はかからないというような部分については助成策が十分でないということが考えられます。したがいまして、今ある地域要件とか建物要件というものを撤廃して、助成の大幅な拡充、あるいは、地方負担分の財政措置、そういうものによって住宅・建築物耐震改修等事業の拡充強化を進めたいということです。
  3つ目は、事務手数料等の初期負担額の補助対象化による、死亡時一括償還型融資の積極的な活用、なかなか難しい言葉ですけれども、平たく言えばリバース・モーゲージです。高齢者が持っている土地や建物を担保にしていろいろ借入れを起こすことができるようになっています。住宅金融支援機構が既にそういうことを始めていますが、それにつきまして、例えば、抵当権の登記料や鑑定料は、案外経費がかかるのですね。融資を実際に使っていただいている方が大変少ないということから、これを使っていただくためには、そういう初期費用についても、補助の対象にしたらどうかと。
 こういう3つのことを国交省としては考えておりまして、いわゆる低所得の高齢者、障害者等の災害弱者の方々に過度の負担を強いることなく住宅の耐震改修が可能となるように必要な予算要求を行ってまいりたいと考えておりまして、総務省とか財務省とかというところと具体的にその方向で進めたいし、私も強力にこれはやりたいと思っています。ご案内の通り、2015年、平成27年までに住生活基本法による住生活基本計画の中では、平成15年現在75%である耐震化率を、90%にするということになっているわけですが、今言ったような災害弱者の方については、なかなか今のままでは進めにくいのではないかと。また、そこまで出来るとしても、長い間現状のままでいて、またなにか地震が発災したという時に、災害弱者の方が亡くなるという悲惨なことにならないようにするためには、直ちに高齢者の方々に対する耐震改修が緊急にできるような環境を整えようということで、我々の方は具体的に国交省が全力を挙げて、今のような制度で早急にできるようにしようという政策をとっていることをご報告したいと思います。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 冒頭にご発言のあった件についてですが、おそらく耐震改修が自治体等で、経過だけ見ると遅れが出ていると認識されていると思います。簡易な補強についても考えていきたいというお話がありましたが、要するに、耐震基準を下回るレベルであっても支援を考えているという理解でよろしいでしょうか。
(答) 耐震基準を下回るというよりも、例えば、あるプレハブメーカーが販売したプレハブは、阪神・淡路大震災では一戸も倒壊していないです。その社長ともいろいろ話したのですが、それはもちろん耐震ということを考えて、当初から設計しているからそうなるのだけれども、本当に一戸も壊れなかったということでした。それはやはり、日本の家屋であれば土台の上に木を置くだけですが、それを金具できちっと止めるということだけでも、すごく違うと。あるいは柱と梁の間、木組みでやるのですが、それを金具で止めるだけでも非常に違うと。要するに、震災後その家をそのまま使えるかというところまでしなくても、倒壊することによって今回のように、少なくとも11人の内7人は倒壊した建物の下敷きとなって亡くなっているので、そういう悲惨なことにはならないようにしたい。大工さんが入って大きなことをやるとかでなくても、ピアノ線の筋交いをきちっと入れるとか、格好悪くても倒れないようにするということができるようなので、住宅局でいろいろ技術的に研究して、そしてそういうものでも、例えば20万、30万でもできるのであれば、そのようなものもきちっと補助ができるようにしようと、高齢者の方に負担がかからない方法のものは是非早くしたい。今回、私は3つの震災現場を見ましたが、その感を強くして、今申し上げた施策を早急に執りたいということです。
   
(問) 今までも、簡易な補強については一部自治体でやっており、国土交通省に補助を求めていたと思いますが、そこは考え方を変えたということですか。
(答) 今までの延長線です。
   
(問) 先ほど、3つほど検討されてる支援ということであげられましたが、これは、いずれも来年度予算で行うのでしょうか。それとも今年度の補正予算で考えられているのでしょうか。
(答) 補正予算があれば補正予算で行います。
   
(問) 地方への財政措置というお話で、特に地域住宅交付金ということですが、これを主に軸において支援を図るため、これから総務省と調整を考えられているのでしょうか。
(答) はい。
   
(問) 簡易な改修についても、地域住宅交付金によって支援措置をするというお話ですが、4月にも先の通常国会の衆議院決算行政監視委員会で、当時の榊住宅局長が、自治体のそういった取組みについては認めても良いのではないか、という発言をしてます。認めても良いのではないかということよりも、更に国土交通省として認めますよというアピールというか、それを知らしめるというお考えなのでしょうか。
(答) 私は後者の気持ちです。自治体は耐震診断、改修について自治体自体が補助制度を設けていないところが多いです。まず、それが無ければ我々がいろいろと作りましても、例えば地域住宅交付金にしても、地元が動いていないのに申請も何もこちらからは飛び越えてできないので、そのような補助制度を作ってほしいのです。昨日も、ある地方公共団体は、もっと耐震改修を進めてほしいという話がありました。私の方でも調べましたが、そこにはありませんでした。まず補助制度を作って下さい、そうすれば、我々の方はやりますと申し上げたら、分かりました、とちょっとはにかんでおられました。そのようなところがありますので、国土交通省はピーアールをしながら、しかし、負担があまりに多いとなると、財政力がないのにそのようなものをすることに躊躇することになりかねないとの思いがあります。そこはこのようにした方が良いと思います。
   
(問) これによって、高齢者や自治体がどれくらいの負担でどれくらい軽減ができるのか、もう少し具体的なイメージで表現して下さい。
(答) 住宅局に説明をさせます。
(担当者) 例えば、一般的な改修で200万円ほどかかるケースが多いわけですが、これを死亡時一括返還制度を活用して補助をフルに入れたといたしますと、だいたい月々の負担が、金利分を返済するということで試算しますと、今の金利ですと4,000円ぐらいかかります。それから100万円ぐらいや50万円ですと、当然その半分の2,000円や1,500円の額で負担できますので、なんとか高齢者の方でも、親族等がご協力いただければ負担可能ではないかと考えています。
   
(問) トータルで考えた場合、200万円がどれほどの負担になるのでしょうか。
(担当者) 元本は残ります。例えば、死亡時でのリバース・モーゲージですので、月々4000円ずつ返していきますと、年間5万円ほど、これを10年借りると50万円ほどの金利になります。いずれにしても元本は減りませんので、金利はずっと払い続けていただくことになります。
(答) だいたいそのようなことです。リバース・モーゲージということになると、亡くなる時期は分かりませんし、また金額があまり大きければ持ち出しになります。したがいまして、金融機関もあまり使わないし、あるいはお年寄りの方もそんなに複雑なことはという思いもありまして、今はまだ十数件しかないのです。だけれども、本当はそういうものを使ってでも、安心してできるように考えてあげた方が良いと思います。リバース・モーゲージをやるということになると、先程も言いましたとおり、鑑定料や登記料などの費用なので億劫になるのではないでしょうか。ですから、そういったところもきちんと負担感がないようにやって、これを十分に使ってもらってはどうかと思います。建物の価値が100万円、150万円というものはないと思います。ですから、十分にこれは長く生きられても、回収はできると思います。
   
(問) 可能であれば今年度の補正でというお話しでしたけれど、全体としての予算の規模はどれくらいでしょうか。
(答) そんなに大きくはならないと思います。
(担当者) 今年度136億5千万くらいの国費を用意しています。これから具体的にこれらにかかる費用がどれだけ積み上がるかなど、予算要求までには確定していきたいと考えています。
   
(問) リバース・モーゲージの初期費用ですけれども、地方の裏負担は一部を国が負担するようなイメージなのでしょうか。それとも丸々というイメージでしょうか。
(答) 丸々ということではないです。
(問) 一部でしょうか?
(答) 貸付金の元本は、亡くなったら返していくわけで。普通でしたら、手続きをするのにお金が要りますので、そうはならないようにしてあげたらどうでしょうかという気持ちです。今からまた詰めますけれども、これを使っていただいて、耐震改修ができるような、もう200万と言ったら本格的なことができると思いますけれども、そんなにしなくとも50万でもできるものもあるだろうし、今回のような悲惨なことにならないように早くしてあげたいという思いです。
   
(問) 災害弱者ということですけれども、年収がいくらといったような要件はあるのでしょうか。
(答) もう少し、やりながら進めていきますけれども、昨日も門前町の仮設住宅へ行きましたけれども、高齢者率が47%です。けれども若い人はみんな金沢へ出て働いたり、住民票はここへ置いてありますけれど、今はいないという人がいまして、50%は完全に超えて、60%近く高齢者がいるのではないかと言われていました。私も昨日、何人かの方とお話をさせていただきました。高齢独居という人達も多いのです。ですから所得制限とかを考える前にそういった人達が現実に住んでいた家、これは古く全壊したという人達もおられました。そういう人達のためにやってあげた方が良いと思います。相当お金持ちで、助成しなくても良い人もいるでしょうから、それは当然、考えなければならないと思います。しかし、所得制限で切られるが故に、これができないというようなことにならないようにしなければならない。
   
(問) ダイハツのブレーキの関係で、ダイハツが型式認定で型式と若干違うブレーキ部品を付けたままで出荷していた問題で、業務改善指示を出されるということですけれども、これについての所感及びいつ頃に業務改善指示を出されるのでしょうか。
(答) 私もそれは聞きまして、型式申請するとき、2つのブレーキについて申請しなければいけなかったところ、1つの部分について申請しなかったということに、後に気がついた。これは捜査などをしたわけではないのですけれども、全体的に悪意があったわけではなく、過失犯ですかね。本来これは届出をしなければならないものを届出を怠ったという意味では、法には違反しているけれども、それは故意にしたものではなかったということだと。もちろん我々はそういうことがあってはならないと思っていますし、きちんと注意をし、改善もさせますけれども、認識としましては、そのように認識しております。
   
(問) 先週、いよいよ海洋基本法が施行されて大臣が海洋担当相に正式になられたわけですけれども、今までもお伺いしたことですが、縦割り行政を一本化する難しさというのがいろいろあるかと思うのですが、改めてご所感をお伺いします。あと、この時期に一部報道にもありましたが、外務省に海洋に関する組織が出来たようです。そことの関係について大臣のご所感をお伺いできますでしょうか。
(答) 海洋基本法が出来まして、それに基づき総合海洋政策本部が内閣に出来て、そしてそれは総理大臣が本部長で、官房長官と海洋政策担当大臣である私が副本部長ということで、この日本の海洋政策を集中的かつ総合的に推進するということが決まったわけであります。それにより今まで8つの省庁が海洋政策に絡んでいたわけですけれども、8つの省庁から37名の優秀な職員を出してもらいまして、総合海洋政策本部事務局が発足いたしました。したがいまして、原則としては、ここが中心となって海洋政策について進めるのであろうと、私は思っています。ただしそれにより、それぞれの省庁が従来から行っていた海洋政策について今後やってはいけないということではないと思っています。当省にも海事局とかもありますし、以前から皆さんにも申し上げていますけれども、外形標準課税といったものの導入を来年は是非やりたいということですから、こういうことは基礎的な研究を国土交通省で行っておりますし、それを全部止めてしまうということにはならない。しかしながら、本部や事務局と全く別立てでやるというのは違うのではないかと思います。やはり連携を取りながら、連絡を取りながら、この政策をやっていきますということでなければならないのではないかなとは思います。その結果、予算要求とかをする場合はどうなのかというのは、今後の課題ですけれども、やはりそういうことについても集中的にやった方が効率的であると思います。海上保安についても、もっと装備を近代化するということも急がなくてはならないと思っていますし、あるいは巡視艇が1隻のみ配属されている部署が全国で34カ所程ありますけれども、交替勤務も複数制をとれば24時間か20時間か分かりませんけれども、今よりは長い時間、近海で起こったことについて直ちに対応できるわけですが、人数が少ないと、1日6時間から8時間は対応可能であるけど、その他の時間は対応が出来ない。空き交番ゼロ作戦という言葉もありますけれども、空き巡視艇ということになりますね、私は空き巡視艇ゼロ作戦をやらなくてはいけないと思っています。今人員削減が叫ばれていますけれども、その部分については、増員してもらわないと出来ないのですね。そういう意味で、そういう問題意識を総合海洋政策本部なり、事務局を通じて認識を共有していきたいと。そして国交省からも事務局に行っていますから、そういう人達を通じてやっていくということが大事だと思います。それと今仰っている話は外務省の話ですが、外務省としても同じ考えだと思います。私は外務省や外務大臣から直接聞いているわけではありませんが、私が今言ったような趣旨ではないかなと思っています。報道で知っただけでありますが、別にそれでバラバラでやるとかそういう趣旨ではありません。
   

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