国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年8月3日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年8月3日)
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平成19年8月3日(金)
10:32〜10:55
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が2件、国会提出案件が1件、条約の公布の決定が2件、政令の決定が4件と人事案件でした。当省に関係するものでご報告するでは特にありません。私から1点ご報告することがあります。
 後刻、航空局の担当者から詳細を説明いたしますが、8月1日から東京で開催されていました日韓航空当局間協議が昨日、合意いたしました。日本側から提案したアジア・ゲートウェイ構想に基づく航空自由化の枠組みについて、日韓間で合意がなされ、アジアの主要国との間で航空自由化が初めて実現することは誠に意義深いものと考えています。具体的には、空港容量に制限のある我が国の首都圏空港の関連路線を除きまして、日韓相互に乗り入れ地点及び便数の制限を廃止し、航空自由化を実現いたします。従来、日韓間の航空便の就航につきましては、乗り入れ地点や個別路線ごとの便数が航空当局間で厳格に取り決められており、航空会社が新規路線の開設や既存路線の増便を行う場合には、日韓の航空当局間の協議における合意が必要でした。今後は、首都圏空港関連路線を除きまして、日韓双方の航空会社が新規路線の開設や既存路線の増便を自由に行えることになるわけです。このような画期的な合意が関空第2滑走路供用開始の日に締結合意できたということは、とても意義深いものと思っています。今後、このような自由な枠組みを日韓航空企業が最大限活用することにより、日韓間の航空路線網が更に充実をし、日韓間の交流促進、関係の緊密化が図られることを期待致します。また、今後ともアジア・ゲートウェイ構想に基づく航空自由化に戦略的に取り組むことにより、アジア諸国との双方向での航空自由化を推進してまいりたいと思っています。


質疑応答

 
(問) お話がありましたように、昨日、関空の2本目の滑走路がオープンしたわけですが、今後、関空について、どのような期待をされているかなどを含めてお願いします。
(答) 関空は、思い返せば、平成6年9月に1本の滑走路で供用が開始されたわけですが、ご案内のように、1本の場合には週に3日、深夜3、4時間空港を閉鎖して、滑走路に付着したゴムを取り除いたり、誘導灯を清掃したり、取り替えたりというようなメンテナンス作業が必要でした。したがいまして、その意味では24時間ずっと供用するということが出来なかったわけです。1本しか滑走路のないところは皆そのような宿命です。その間、平成13年9月11日の同時多発テロとか、あるいは翌々年のSARSの流行その他、大変に航空需要が落ち込んだり、あるいは経済的にも日本全体が苦しい時に第2滑走路の供用開始は先延ばしすべきではないかという議論もある中で、ようやく今年の8月2日に供用が開始されたということは、本当に喜びに堪えないところです。私は、この空港は完全24時間化が実現した日本初の飛行場であり、そしてまた、国際標準を満たす、世界にも誇るべき、我が国を代表する国際拠点空港であるということを考えれば、これを戦略的に、また日本全体の利益のために、今後大いに活用していくという必要がある、また、その能力もあると思っています。アジアに地理的に近いということだけではなく、長い交流の歴史が関西とアジアの間にはあります。そういう意味で、アジアの人たちの定住している地域も、関西には非常に多く、縁が深いわけです。そういう人的な繋がり、経済的な繋がりが非常に大きい、そういうところから、関空は特にアジア・ゲートウェイとしての役割を果たしていくことが期待されます。特に、貨物やカーゴにつきましては、夕刻に集められて、夜中の10時〜12時までに運び込んだ貨物を、2時〜3時に離陸をして、例えば上海には早朝に着く、そして10時頃から配達できるというようなことが今行われています。それは大変便利なことで、韓国などはもっと近いので、今後その意味で、アジア・ゲートウェイとしての、特にカーゴ面において、非常に役割を果たしていくだろうと。それから、首都圏空港が満杯ですので、首都圏から関空に飛んだ飛行機が、関空を中継地として広く世界中に飛び立っていくということが開かれているわけでして、アジア・ゲートウェイでも書かれていますが、そういう意味で大いに期待されるところであります。しかし、問題もあります。やはり、大変深い、20mを超えるところを埋め立てて、広大な第一・第二滑走路を造ったので、約1兆2千億円にも及ぶ有利子負債がまだあります。したがいまして、こういう財務体質を早急に改革をしていくことが、国際競争力を持つ空港として、今後活用していく上で必要ではないかと思いますし、今後、二期島には、特に物流の拠点としての施設建設も進めていく必要があると思っています。長くなりましたが、そのような期待と問題点を持っていると思います。
   
(問) 冒頭に、日韓航空協議というお話がありましたけれども、自由化の流れに沿った締結だと思うのですが、一方で、韓国仁川に日本から顧客が逃げていくという懸念を気にしている方もいるのですが、今回の協議の結果が、日韓や関空及び日本の空港にどのような影響を与えるとお考えでしょうか。
(答) 首都圏を除いては、全くフリーになるわけです。したがいまして、先ほども言いましたように、日韓の距離から見ましても、飛行機で約40分〜50分です。韓国との間では距離が近いので、日韓間の飛行機便は、関空を大いに活用されて、伸びていくであろうと思います。今は人流で言えば日本と韓国の双方向の流れは、ほぼイーブンで推移しています。今年の上半期も日本は円安、韓国はウォン高でありますので、韓国から日本に来られる方は非常に増えているわけです。反面、日本の方が韓国に行かれるのは非常に高くつくということで、若干伸び悩んでいますけれども、ほぼイーブンで推移しているわけであります。私は、関空から仁川、仁川から各世界の都市へという、その以遠権も後で説明してもらいますけれども、そういうものを活用した大きな流れが出来てくるのではないか期待をしています。
   
(問) 来年度予算のシーリングについてなのですが、各社報道で3%削減という数字は維持した上で、シーリング枠外で地域活性化などの要望に応じていくという案が取り沙汰されていますけれども、大臣は前回の会見でも歳出削減自体は手を緩めてはならないと。ただ数字については、協議を十分していく必要があるというご意見だったと思いますが、今回取り沙汰されている、3%を維持した上で、特別要望枠として地域活性化などの需要に応じていくという考え方自体については大臣どうお考えでしょうか。
(答) 私はその考え方が正しいと思います。私は改革は後戻りは絶対してはいけないと思っております。ただ本当に苦しいのです。私としては3%の削減ということは、もう今年も6兆9千で、また3%削減するということになれば、本当に地方は悲鳴を上げると思うのです。それぐらいの状態でありますが、それについてこれからの予算ではありますけれども、やはりメリハリの効いた。今ちょっと言われたように地域活性化とか地域再生とかということ。それからアメリカで衝撃的な落橋事件が起こりましたけれども、やはり、あらゆる公共事業の対象となっているものについて、命数があるわけです。ですからメンテナンスをきちんとしていかなくてはならない。新しいものを作るという以外にそういうものは本当に重要だということを考えますと、もう本当に限界にきていると私は思うわけです。そのような中で、しかしプライマリーバランスをプラスにして、子孫に負債を残さないという大きな命題。これは安倍内閣の命題でありまして、これは他に追随を許さないすばらしい政策だと思います。私は内閣の一員としてですね、これは大事にしなくてはならないということととも、に真に必要な公共事業については、本当に効率的・重点的に進めていかなくてはならないと。そこら辺がですね、国民にも見える、分かるといったようなメリハリのある予算、概算でありたい、あってほしいなという思いであります。
   
(問) 確認ですが、特別枠みたいなものできちんと配慮されるのであれば、3%という数字を受け入れる用意もあるというお考えでよろしいでしょうか。
(答) 私は3%を受け入れます。そしてその上に立って、そういう配慮が内閣全体で行われるべきであるというように思います。条件をつけてそうしてくれなければ3%を受け入れるのは嫌だとは言いません。
   
(問) 総理の方から財務大臣の方には指示があったと伺っていていますが、大臣の方へは。
(答) まだ聞いていません。官房長官からそれらしい話はあります。
   
(問) アメリカのミネアポリスの落橋事故なのですが、非常に衝撃的な映像で、日本の国民も我が国の橋は大丈夫なのかという不安を持っているわけですが、これについて、不安にどうお答えになるのか、お願いいたします。
(答) 本当に衝撃的でした。片道4車線、8車線の高速道路の橋梁が突然落ちるということは、本当に地獄絵でして、想像を絶するものがありました。私どもは、そういうことはあってはならないということで、本格的な調査というのは5年に1回きちんとやっています。その間でも毎年地方公共団体において検査をしています。アメリカも、検査をしていなかったとは思えないのでして、その検査はどこでどのように行っていたかということが一番大事だろうと思いますが、5年に1度の検査については安全性に関わる部分については、現在の最高の学説、知見に基づいて、これが安全であるということについての検査は行っています。日本においてはあのようなことは起こらないと、堅く信じていますし、また、国民の皆様方にも、安心していただきたいということを申し上げたいと思います。
(問) これからインフラの維持・保全・改修・更新が、かなり必要になってくると思いますが、こうした中で公共事業費が年々削られて、尚かつ国民の間だにも公共事業に対する不信があるということで、改めて社会インフラの維持・保全・改修・更新に対する必要性ということを、国土交通省としてもっと訴えていく必要があるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
(答) もちろん、そのとおりです。アメリカも、道路の設置・構造の瑕疵に基づく損害賠償はニューヨーク州だけでも1万6千件も提起されたということもありまして、パット・チョートさんの「荒廃するアメリカ」という優れた論文といいますか、警世の書がありまして、大変アメリカでは受け入れられて、それ以降、公共事業に対する予算が非常に大きくなりました。それにつられてかどうかはわかりませんけれども、イギリスでもどんどん伸びています。したがいまして、私どもも、現在ではまだ、橋については築後60年のものが6%程度ありますけれども、これが10年、15年、20年先になってくると、どんどん増えてくるわけです。私どもはそれに対して、適時適切な保守管理をするということが、非常に大事になってきているという視点ですので、私どもは、不断に、こういうことを、あちらこちらで申し上げながら予算編成時はもちろんのことですけれども、新しいものも必要だけれども、今、供用しているものについても保守管理をやらないと、命数が非常に短くなってしまいますということで、これはよく訴えていって、その予算は確保していかなければならない。その使命があると思います。
   
(問) シーリングの関係で3%という条件付きで特別枠で地方の活性化なり地方再生なりということで使うのであればということでしたけれども、例えばその国交省として地域の再生や活性化といった場合にはどういうものを具体的に進めていきたいというイメージなのか教えていただきたいのですが。
(答) 道路は別としまして、例えば密集市街地を早く解消するということでは法律も通していただきましたし、耐震補修やバリアフリーなどは是非必要です。今、河川の問題もたくさんありますけれども、あちらこちらで台風や豪雨の被害が出ているようですけれども、そういう場合には、今の備えで大丈夫なのか、と河川やダムのそういった問題についていろいろと議論があるところですけれども、最終的には国土交通省が国民の安心・安全を担保する責任があるわけです。したがって世論がどうだからこうだからといって、先延ばししている間に大変なことが起こってしまうということにはしたくはないし、してはならない。これから国土形成計画の全国計画というものを策定中ですけれども、できれば来年には広域地方計画というものが各ブロックで作られるということになります。これは今までの府県境という単位でいろいろと考えていたものを超えて、もう少し広域でそこがどうあるべきか、基幹交通はどうなるか、あるいはそこが独自に海外、例えばアジアとの連携を取る場合に空港や港湾はどうあるべきかというようなことが考えられるわけでありまして、私どもはそういう結論に対しては何をさておき実現するように国としてそれを支援していかなければならないと思っています。そう考えますと、大変な金額になってくるわけでして、また、地方はそれを待ち望んでいるわけです。大都市との間で格差がどんどんと広がっているということを強く認識をされているのが現下だと思いますし、先般の参議院選挙の結果も、そういうものを反映していると思わざるを得ない部分もあるわけです。そういう意味で、私どもは財政再建、歳出歳入一体改革は安倍内閣の至上命題だというとらえ方をしています。だからといって、そういうものを等閑に付すということは絶対に出来ないというところにきているというのが、私の認識です。
   
(問) 内閣の改造の関係で、公明党が大臣続投の要請の方針を固めたという話が出てきているのですが、党の方から大臣の方へそういった連絡がきているのでしょうか。また、早くもそういったことが出てきていることについての感想をお伺いしたいのですが。
(答) これは内閣総理大臣が決められることです。私は党からそういったことは聞いていません。記事があることは知っています。党からは聞いていませんですし、感想と言われましても、それは内閣総理大臣が決められることですので。決まったことは従容としてお受けするというのが私の立場だろうというように思います。
   

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