国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣再任会見要旨(平成19年8月27日)

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  冬柴大臣再任会見要旨(平成19年8月27日)
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平成19年8月27日(月)
18:06〜18:38
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

 再び国土交通大臣及び観光立国担当大臣・海洋政策担当大臣を拝命いたしました。力の限り頑張ってまいります。よろしくお願いいたします。


質疑応答

 
(問) 二期目を迎えるにあたって、是非任期中にこれはやり遂げたいという点、重点的に取り組みたいという点があったら、お聞かせ下さい。
(答) いろいろありますけれども、まず、国土交通大臣の仕事は、子供や孫たちが自信と誇りが持てるような国土を造っていくことと思っておりますから、具体的には、安全・安心の確保、地方の再生・活性化、少子高齢化を迎えまして国際競争力の強化、それからまた、住生活基本法等もできましたけれども、個人の豊かな、そして快適な住生活を保障しなければならないと思っております。今まで取り組んでいることではありますけれども、どうしてもこういうものをやっていきたい。ただ、ご案内の通り、財源が歳出・歳入一体改革ということで相当絞り込まれますので、これを何もかもやれるわけではありません。真に必要なことについて、効率化・重点化ということを進めながら、果敢に挑戦していきたいと思っています。
 また、観光立国の関係では、2010年には何としても訪日外国人旅行者の数を1千万人の大台に乗せる。去年733万人ですから、とにかく大変な仕事ですけれども、これをやらなくてはならない、やりきらなくてはならないと思います。その関係で、2010年というのは、ちょうど平城遷都1300年という佳節を刻む年にあたります。したがいまして、そういうものを国家的な事業として、2010年のビジット・ジャパン・キャンペーンの総仕上げとして成功させたいなと、何としてもやりたいなと。そして、サンクトペテルブルグ建都300年の時には、50カ国の元首がロシアのサンクトペテルブルグに集合しました。我々も1300年の歴史を刻んだこの都市というものを視野に入れて、観光庁ということを考えているわけですけれども、なんとしても成功させたいという思いです。
 それから、海洋政策ですが、基本計画を来年の1月には作り上げなくてはならないと思っています。新たなトン数標準税制等を導入することを視野に入れれば、それに足る法律というものを通常国会に提案しなくてはなりません。そういう意味で、海洋政策についてもしっかりとまとめていかなくてはならないと思っています。
   
(問) 今回の内閣改造は、直接的には参院選の大敗がきっかけだったわけですが、これで国の信頼を回復していくために、内閣として何が今後求められるとお考えでしょうか。
(答) 私どもが連立を組ましていただいたのは、平成11年のことですが、平成10年の参議院議員選挙で自由民主党が大敗を喫したと。過半数から23議席も切ってしまったということから、24議席を持っていた我が党との連立ということになったわけです。その時の状況はご案内のとおりですけれども、その前年には北海道拓殖銀行や山一証券の倒産に始まりまして、年が替わった平成12年には、日債銀とか長銀まで倒産するのではないのかと頻々と噂が流れるほどで、金融機関は8.4%の不良債権を抱えているというような状況にありました。したがいまして、中小企業に対する融資は著しく絞られまして、当時、貸し渋り、貸し剥がしという言葉まで言われまして、そういう状況で、倒産の山、そこに働く方々の失業の山というような状況下で連立を組んだわけです。しかし今回の状況は、経済的には相当回復していることは事実です。けれども、その回復した果実というものがまだ行き渡っていません。例えば、大会社は史上空前というような経常利益を計上してますが、中小企業あるいは20人以下の製造業、あるいは5人以下のサービス業というような零細企業、これが実は86%あるわけですが、そのようなところには、全く行き渡っていないというような状況があります。それから、従業員でも正規社員は報われてますが、非正規社員というような人には本当に厳しい、同じ作業をやりながら厳しい賃金状況、ワーキングプアーなんて言われてますが、そのようなことがあります。あるいは、地方も公共事業というものがずっと絞られてきたというところから、今まで第一次産業と公共事業だけに頼っていたような部分においては、この景気回復の果実は全く均霑されていないという状況の中で、今回の選挙が行われました。公明党は、むしろそのような人たちに対してこの成長の果実を均霑する、分け与える、そのような施策をとらなければならなかったと思いますし、取ってきたつもりですが、なかなかこれは行き渡っていません。そのようなところが、私は敗因だったと思います。従って、今回新たに発足する政府はこの点に我々公明党ももちろん強く言いますが、この点に配慮した政策というものを、早急にとっていかなければならないだろうという反省があります。
   
(問) 年末に向けた重要政策としては、道路特定財源の見直しであると思いますが、大臣はかねがね財政再建というものが安倍内閣の至上命題であると仰ってます。財政再建を進めていく上ではどれだけ一般財源を確保できるかということが大事な点であると思いますが、その点から道路財源の見直しはどうあるべきだとお考えでしょうか。
(答) 私は就任させていただいて11ヶ月ですが、その間いろいろ地方を歩かせていただきましたし、また毎日、地方の方々の要請行動を受けました。そのほとんどは道路です。地方の道路はほぼ出来たという学者がいらっしゃいますが、それは事実誤認であり、私が見るところでは、地方に対する、特に道路ですが整備が遅れているように思えてなりません。従って、この道路整備というものが、その整備された地方の経済の活性化、あるいは雇用機会の拡大に裨益することははっきりしています。例えば、大分県を見てみれば、ここには空港やあるいは港湾が整備され、不十分ながらもアクセス道路も造られたということになりますと、主要な企業や有名な企業がそこに工場を進出させ、そしてそこで若い青年たちが1万人以上働く場を得ています。中央から地方へという格差是正ということを言いますが、私はそのような公共事業、なかんずく道路の整備というものが一番効果があるように思われてなりません。例えば、名古屋の東側の環状道路を整備しただけで多くの工場群が出ています。東側ができて、西側がまだできていません、全然進出がない。本当にはっきりしています。そのような意味で、道路特定財源という問題、この安倍内閣の中で公共事業に対する歳入・歳出改革というものは、後戻りは出来ません。そして、2011年のプライマリーバランスをプラスにするということは至上命題であると私は思っています。しかしそういう中にあっても、先程も申しましたけれど地方と中央の格差というものを考えたときに、それを是正するのはやはり道路の整備を急ぐということが大事ですし、また既に作られた高速道路も料金が高いために使われていないというもったいない話もあります。したがいまして、そこを走っていただけるような料金に改めるということもそれは道路関係の歳出だと思います。そのように年末の具対策に書き込みましたけれど、そういうものを重点化・効率化しながらメリハリをつけた予算の執行を行うことにより、国民に信頼していただけるような政策を進めていかなければならないと思います。
   
(問) 道路特定財源につきましては、今度の3月末で税率が切れるということになっているわけですけれども、一方で参院は民主党が大半を占めるという状況で法案が出ても非常に厳しい状況だと思うのですが、場合によっては修正なども求められると思うのですが、野党特に民主党に対する対応について、現時点で基本姿勢としてはどうお考えでしょうか。
(答) 私はそれを特に国土交通委員会の野党の先生方、民主党の先生方に働きかけて、賛成をしていただけるように努めます。地方は待ってるわけですから。暫定税率を飛ばしてしまうようなことになってしまいますと、兆円規模の税収欠陥が生じてしまいます。そうなったときに一番ショックを受け、一番困るのは地方で、一日千秋の思いで道路の整備を待っている人達がもろに被害を受けるのです。したがって、こんなことは、与党であろうが野党であろうがみんな共通して、良くわかっていることですから、私は良く説明をしてそういうものが争点にならないように一生懸命頑張ることが、政治家としての仕事だろうと思っています。
   
(問) 今回の再任にあたって、安倍総理から何か再任の理由について一言ありましたか。それと、今回交代された閣僚も多い中で、ご自身が再任された理由についてどうお考えでしょうか。
(答) 総理からは、組閣本部に入るなり「引き続いて頑張ってやって下さい」というお話をいただき、そして、三枚の総理指示の紙を頂戴しました。国土交通大臣、観光立国、海洋政策それぞれに1枚づつ紙をいただきました。そこに書かれていることはもう今やっていることばかりでして、しっかりと頑張ってやって下さいということで、特に口頭で指示とかはいただきませんでしたが、虹橋は良かったですねという話がありました。私からは、この間の訪中でも現場を見て参りました、とその時のことを申し上げたわけですけれども、現場の方はもう昼夜突貫工事でやってますということで、ここをどうするとか、ここを税関にするとかですね、説明をいただいて、10月8日にとにかくできるように私も頑張るし、そのように向こうも頑張っていただいてると思いますというお話をしたぐらいでありまして、しっかりと頑張って下さいということを仰っただけです。それから2番目は私が再任された理由ですか、私は浅学非才ですが、公明党枠と言うのもどうかと思いますけれど、公明党と連立を組んでいまして、一番最初に小渕内閣総理大臣の時に、閣僚に入っていただいて、そして国政全般について、連帯責任を負担して欲しいと、こういうことを言われたことを今でも明瞭に覚えています。したがいまして、自公連立を組ませていただいているこの中で、私が公明党を代表して閣僚の中に入ったら、閣僚としては、内閣は国政全般について国会に対して連帯責任を負うことになります。私は、そういう役割で公明党の推挙があって、再選をしていただいたのだろうと思っています。
   
(問) 気象庁が緊急地震速報の位置付けを一般の情報として流すというところから、警報として位置付けることにしたということですが、国土交通省として緊急地震速報について法的な整備を図るという意向があるのでしょうか。
(答) それは、検討しなければならない課題だと思っています。事実、検討しています。必要があれば、法案を提出したいと思います。
(問) 具体的なスケジュール等はどうでしょうか。
(答) それはまだ分かりません。
   
(問) 先程のご退任の会見で、新しい官房長官について、目配りが出来る方ということでしたが、与謝野さんについてはどうでしょうか。
(答) 尊敬する与謝野さんがそこにお座りになるのは、非常に重厚な布陣だと思います。当選回数も9回で、大臣も歴任され、人格識見共に、また、出自も与謝野鉄幹のお孫さんにあたるのでしょうか。私も当選当初から交際もありまして、非常に素晴らしい政治家として、今まで尊敬をしている人であるだけに、非常に良い配置がされたなと思っています。
   
(問) サンクトペテルブルグのお話を先程されましたけれども、そういった欧州の都市というのは、歴史的建造物が多々残っている場所だと思いますが、先程平城京跡のお話がありましたが、平城京に何か歴史的なものが残っているのか、あまりイメージが湧かないのですが。
(答) あなたは、行きましたか。
   
(問) 例えば、東京における外国人の旅行客から聞く話なのですが、例えば、松の廊下の話とかご存じな外国人が多いのですけれども、それにしても残っていないですし、天守閣もないですし、観光立国として、そうしたものを修復したり、もしくは建て直したりといったことはお考えですか。
(答) 大極殿院は2010年には完成します。素晴らしいものです。これは、文化庁が主管してやっています。それから周辺の土地も、元の平城京跡ですが、国が買収してあります。710年に元明天皇が遷都されたのですが、歴史的には目に見える物は、751年に大仏殿が完成しています。それ以外にも奈良には、仏教的な建造物がたくさんあって、それ自体について世界遺産として登録されています。形はあります。それから、私は揚州に行きましたけれども、鑑真和上の出生地であり、かつ、日本へ来られる直前まで、そこの大明寺というところの僧侶を務めておられた方ですが、この方が5回失敗して目が見えなくなりながらも、6回目にして、754年にようやく日本にお見えになったのですけれども、その人に対して、当時の政府は、律宗ですけれども、戒律をすることを認められたと。またその後に唐招提寺を与えて、そこに現在も鑑真和上の座像が国宝ですけれども、宝物殿にあります。そういうことを考えると、その時代に712年には古事記が編さんされているし、そして720年には日本書紀が編さんされている。そのように700年代の初頭は、日本の正に始まりということが言えると思いますし、その足跡は今もなお残っています。大極殿もあれば朱雀門もあります。サンクトペテルブルグのようなキラキラではないけれども、木造建築物が、こんなすごい1300年前のその当時の場所にあると。これはすごいことだと。私は時間は掛かるかもしれないけれども、この国有地は国営公園にするとか、そういうことで日本の歴史がいかに深くて、古くて素晴らしいものであるということを世界に知っていただく、ものすごく貴重な機会ではないかと思います。インドに行った時にシン首相と話をしたのですが、大仏の開眼供養はインド人がやっているんですねと話したら、そうなんですよと。菩提僊那(ぼだいせんな)という人が736年に日本に来られまして752年の大仏の開眼供養をやっているのです。そんなことをインド人が知っているのですよ。インド、中国、韓国、日本と仏教が流れてきた。あるいは仏教だけではないですよ。シルクロードを運ばれ正倉院に保管されている昔からの文物というものは、厳然と奈良にあるわけです。私はそういうものをどう演出するかは、演出家でないので分かりませんが、素晴らしい物があると思うのです。世界の驚嘆を呼ぶ、また日本に対する信頼なり、尊敬を集めるだろうと。ですから確かにきんぴかではないけれども、そういう物がたくさんある中でそういうことができればなと思っています。
   
(問) 先程の任期中にやりたいこととして安全・安心の確保と仰ったと思うのですが、具体的に特にこういうものに力を入れたいというものが、もしあれば教えていただけますでしょうか。
(答) 新潟中越沖地震で今もたくさんの方々が苦労をされています。また台風4号と5号も多くの災害をもたらしました。少し前には能登半島地震もありました。そういうことを考えますと建物がばたっと倒れてその下敷きになって亡くなるというようなことは、これは許されないのではないかと。ですから、耐震改修とかそういうものを是非進めていかなくてはならないと思っています。それから高齢化が進みますと、高齢化率46パーセントと言っていましたけれども、もっとすごいことになる。ですから、お年寄りの方が歩いて暮らせる街づくり、家の中のバリアフリーですね、そういうものを総力を上げて早急にやっていかなくてはならないと思います。それから、交通機関の安全・安心については、これはもう所管ですから当然の話です。そういうものについても今、運輸安全マネジメントの法律や制度を作って早急にやっていただいて、社長から下まで安全、安全、安全ということをやっていますので、事故を防ぎ、天災は防げませんが、天災が来てもそれを軽減する、減殺する、そういう政策を早急に講じなければいけないと思っています。それは、住生活基本計画の中でも、いつまでに90%にするとか、目標も全部決めていますので、着実に、愚直に頑張っていかなければと思っています。
   
(問) 先程、道路のことで、都市と地方の格差を是正するために、道路の整備を急がなくてはならないというお話だったのですが、概算要求示基準で示された公共事業3%マイナスという枠内で、メリハリをつけて道路整備を急ぐということなのか、あるいは3%という枠は示されましたが、歳出・歳入一体改革では1%から3%と幅が持たされているので、年末に向けてできるだけ3%から縮小する方向に向けて努力しつつ道路整備を急ぐというお考え、どちらに近いのか教えてください。
(答) 道路の整備については税収があります。入ったもの全てを道路の整備に当てるという制度を改めるというのが今回の改正、いわゆる具対策でして、では、そのサービスの内容はどうなるのかという問題につきましては、これから協議をしますが、中期計画で示す具体の道路を着実に整備をしていくことが至上命題だろうと思っています。そうでなければ納税者は怒ります。私はそういうことを納得いただけるような説明をしていきたい、財務当局とも交渉していきたいと思っています。
   
(問) つまり、今の段階では3%にこだわらずに、必要な道路はどれくらいかという観点を中心に議論すると。
(答) 今はそうです。
   
(問) 新内閣の布陣について、先程、与謝野さんについてはお聞きしたのですが、地方なり、中小零細にも改革の果実を波及させる必要があるというお話でしたけれど、その点で今回、総務大臣及び地方の部分、こちらの省の出身者でもある増田さんがつかれていますが、その点を含めて今回の布陣の起用を眺めていてどういうご感想をお持ちかお聞かせください。
(答) 私は非常に重厚な内閣だなと、自民党で言えば派閥の領袖の人が入っています。甘利さんが留任されました。中小企業庁を総括していて、いつも私と一緒に発言するわけですが、そういう人が留任します。それから、増田さんが入られます。また、二階さんが総務会長に入られました。これは大臣ではありませんが、自民党の要職に就かれたということは非常に心強いと思います。見てびっくりしましたが、閣僚の中で私が一番年上なんです。内閣官房副長官には私より年上の方が一人おられますが。初入閣された方も、またベテランの人もすばらしい人達が入ったなと、高く評価をしています。
   

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