国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年10月23日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年10月23日)
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平成19年10月23日(火)
9:15〜9:38
参議院議員食堂
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は国会提出案件が11件、政令の決定が3件と人事案件です。当省に関係するもので特にご報告することはございません。私から2点ご報告申し上げます。まず、去る8月1日に発生した米国の橋梁事故へ調査団を派遣しましたが、このほど、「国内で道路橋事故を発生させないよう保全システムの構築が必要である」等を内容とする報告がまとまりました。道路橋の保全については、国は5年ごとに点検を行い、損傷が深刻化する前に補修等を行うなどの取組みを始めていますが、日本の道路橋も今後20年間で急速に高齢化していきます。また、車両の大型化などにより橋梁への負担が大きくなっているとともに、地方自治体の管理する橋梁では十分な定期点検が行われていないという状況にあります。このような環境の中で、事故を未然に防止できるよう早期発見・早期補強を行う予防保全システムを全国の道路橋に展開したいと思います。このため、橋梁工学や維持管理に関する専門家の方々にお集まりいただきまして、日本の道路橋の安全を守るために必要な方策をご審議いただくこととしました。検討の結果は、順次、予算及び施策に反映して、日本の道路橋の安全性を向上してまいります。詳細につきましては、後ほど、事務方から説明をさせます。次に2点目ですが、昨年の運輸安全一括法施行に伴う運輸安全マネジメント制度が、去る10月1日で制度開始から丸1年を迎えました。制度の眼目は、運輸事業者のトップ自らの安全確保への取組状況等を直接インタビューし、評価するというものです。この1年の間、陸海空の各交通モードについて、本省大臣官房と地方運輸局とで合計175社の評価を行いました。まもなく2巡目の評価も開始します。この過程で得られた事業者の安全への取組状況や参考事例等について、報告書をとりまとめました。詳細につきましては、後ほど事務方から説明をさせます。以上です。


質疑応答

 
(問) 関空で起きたエア・カナダ機の滑走路への進入についてのご所感と、耐震偽装の関係でまた広がりが出ているようなのですけれども、これに対するご所感をお聞かせください。
(答) 管制官とパイロットとの間の不十分な意思疎通によるトラブルの問題について、大阪国際空港に係る事案につきましては、航空局に調査検討タスクフォースを設置しまして、10月19日に、管制官とパイロットの交信の確認の徹底等の対策を中間報告としてとりまとめました。また、今回の関西国際空港の事案につきましても、現在、航空・鉄道事故調査委員会が原因究明にあたっていますが、パイロットの復唱が管制指示と異なったにもかかわらず、管制官が確認、訂正等を行っていなかったことが現在判明しています。この中間報告を受けまして、また今回の事案も踏まえまして、昨日、航空局長から、パイロットからの復唱の確認を個々の管制官に徹底させる等の指示を行いました。それとともに、航空会社に対しても、外国航空会社も含め、交信の内容に疑義がある場合の確認について、周知徹底するよう指示をさせたところです。関西国際空港につきましては、航空局に特別監査を実施しまして、再発防止策等を早急に検討させることとし、昨日から担当者を現地に派遣しています。その結果を踏まえまして、さらなる再発防止策を講じてまいりたい、このように考えているところです。それから、横浜の耐震偽装の問題について、有限会社藤建事務所の関与物件につきまして、件数は概ね70件、69件プラス3件ということです。これは各県にまたがっておりまして、東京都が一番多くて16件です。埼玉県も15件あります。神奈川県も13県あります。青森県から愛媛県、鳥取県に至るまで、件数はいろいろですが、69件が確認されています。用途については、共同住宅が42件、公共施設が21件、福祉施設が2件、宿泊施設が2件、学校、事務所がそれぞれ1件で、69件となっています。これについては、大規模物件が多いので、あと1〜2ヶ月は要すると見込まれていますが、できる限り速やかに事実関係の確定を行い、報告するよう調査の促進に努めていきたいと考えています。これは、埼玉県の事務所に立入調査をして把握したものです。現在、その他特定作業中のものが3件ありますが、69件につきましては特定しています。
   
(問) 道路財源の一般財源化について慎重にという意見を、首相を始めいろいろな方が言っていますが、それについて改めてお願いします。
(答) 昨年末の道路特定財源に関する具体策をまとめた安倍内閣時代の閣議決定は、変更する必要があるとは思っていません。ただ、その中で、道路歳出を除いてなお余剰がある場合には一般財源に回すということがあり、その使い道については明確にされていませんが、やはり、タックスペイヤーの十分な理解を得るためには、全く無関係のところに使うというのは如何なものかと当初から思っていました。これは閣議決定と矛盾するものではないと思っています。道路歳出を超える部分については、今後十分な議論をしていきたいと思っています。
   
(問) 一部報道で、全額の一般財源化は政府与党でやらないことに決まったという報道がありますが、それについてはどうでしょうか。
(答) 私も政府の一員ですが、そういうことは聞いていません。
   
(問) 管制ミスの関係ですが、声と声のやりとりだけできちんとやるようにといっても、過去の例を見てもなかなか難しいと思います。例えばハード面で防止するという観点はないのでしょうか。
(答) 航空・鉄道事故調査委員会の調査結果とか、我が方の担当者の意見や現場の意見も集約しながら、今おっしゃった方向も模索していきたいと思います。ただ、私も何度も現場を見せてもらっていますが、管制官は英語でしゃべり詰めでして、たくさんの管理をやっています。そのような労働条件下では、人間の能力として、いつも緊張しながら一つ一つ言われたとおり確認することがもし無理ならば、復唱を専門にする人など、人員配置とか補助とかも考えなければいけないのかなとも思います。ただ、記録は全部残っています。今回は見せてはいけない規定がありますので出せないのですが、一言一句全部残っていますから、どこでこうすべきだったという反省点は全部わかります。そういうものも含めて考えなければいけないと思います。
(問) 一言一句残っているものは、今後出すべきだということを今後検討するということですか。
(答) いいえ、出せないのです。国際規約がちゃんとありまして。
 
(問) 米国では、9.11テロの時の管制官とのやり取りが、一言一句、映画化されるほど情報公開されていますが、それは国際条約を楯に出さないというお考えなのですか。
(答) 楯というのはどういうことか知りませんけれど、国際民間航空条約第13付属書に「国の適切な司法当局が記録の開示や当該調査又は将来の調査に及ぼす国内的及び国際的悪影響よりも重要であると決定した場合でなければ、調査実施国は次の記録を事故又はインシデント調査以外の目的に利用してはならない。」、そのE項には「航空管制からの記録及び記録の写し」という規定があります。したがいまして、それに基づいて我々は出せませんが、しかし適当と思われる内容は今までも皆様方に申し上げております。その生の記録を出してはいけないと国際民間航空条約第13付属書の5・12項の本文とE項で規定があるが故に、そのままでは出せません。だけど隠すことはないわけで、我々で判断できることについては今までも皆様に申し上げていると思います。
   
(問) 報道発表について、昨今インターネットやメールなど様々な形で通信がここまで発達しているにもかかわらず、度重ねて、その事案が発生した翌日に発表が遅れたことについてご所見をお伺いします。
(答) もし遅れたとなれば申し訳ないと私は思います。反省すべきだと思います。こういうことは速やかに皆様方にご報告し、またご批判をいただくべき事案だったと思います。今回の問題について、どういうことで遅れたとか明らかにしなければならないと思いますけれど、私は隠すつもりは全くありません。
   
(問) 道路橋の予防保全システムですが、どうして今必要になってきているのでしょうか。
(答) これはアメリカの落橋問題とか、世界を見てみると考えられないような大きな事故が起こりました。我々は5年に1回調査をしていますが、60年頃に急激に造られた橋梁が命数を迎えつつあります。1981年にパット・チョートさんというアメリカの研究者がアメリカの政策について警世の書である「荒廃するアメリカ」という書物を出されまして、非常に説得力があるものです。当時、私は弁護士をしていましたが、ニューヨーク州だけで道路の設置保存の瑕疵による損害賠償請求が一万数千件起こされている。大変な負担なのです。それ程に道路は荒れていたのです。そこでパット・チョートさんの警世の書が大変説得力があったものですから、アメリカは政策を大きく転換しました。そのような橋梁等の道路施設の延命というか、もっと適時適切に保守管理を行うことによって命数を延ばすことができる、そういうものに力を入れるべきであるということで、アメリカは本当に政策を切り替えました。道路のメンテナンスについての予算は鰻登りといいますか、一時の3倍以上の巨額になっている。またそういうものに引っ張られてか、ヨーロッパでもイギリスなど顕著に予算を増やしている。日本にもお見えになりまして、私と話をさせてもらいましたが、「日本もこのような問題について随分予算を切り込んでいる。心配だ。」というお話もありました。橋が今はまだ老朽化したものが少ないですが、これから20年経って、40年、50年のものが多くなってくると、これは今のうちに着手しないと架替えなどで余計に負担が増え、事故にもつながるとおっしゃっていました。私も本当にそうだと思いました。そのような話を伺った後に、アメリカのミシシッピ川で橋梁が崩落する事故がありました。大変ショックを受けました。我々もアメリカに調査団を派遣して、どのようなことがあったのか、そして、そういうものが日本の橋梁とどのように関係するのかを調べ、報告書ができたということです。見ていただければわかると思いますので、よろしくお願いします。
   
(問) 昨日の政府の月例経済報告で住宅建設について下方修正がありました。これについてのご所感と今後また追加で何か対応策をお考えかお教えください。
(答) 今日も質問がありましたけれども、姉歯事件のような不心得というか、考えられないようなことが起こって、住宅の安全に対する国民の信頼が毀損しました。我々も自分でマンションなどを買って、そのマンションの耐震強度が足りないということになったら、どれだけショックを受けるか考えたときに、こういうことは二度と起こしてはならないということから、ピアチェック制度等、今までになかった制度を導入したわけです。6月20日に施行したのですが、藤建事務所が施行される前に駆け込みでやったため、粗雑なことをやってしまったということを言っているように、6月20日以降は、今までの3週間以内に確認をおろさなくてはならないという規定が、大きな建物については最大70日まで伸びています。その間審査が「滞った」というよりは、「長引いている」という事情があるのは事実です。そういう事件がたくさん起こったということで、特定行政庁や民間の確認検査機関等は非常に緊張していて、北九州や神奈川辺りですと、ものすごく少ないようです。しかし、先行指標である確認自体は回復しつつあるようですから、着工件数が非常に落ちても、いずれあと1、2ヶ月経てば回復基調に向かうだろうと私は思っています。申請後70日あるわけですから。もう少し辛抱していただいて、せっかく改正したものを元に戻すとか、緩めるとかということはすべきではないのではないかと思います。ただ、若干の訂正とか若干の変更というような本質的な問題ではないのに、運用でいたずらに再申請させるようなことがあるとするならば、改善されなければならないと思います。もうちょっと待ってほしいと思います。
   
(問) 国土交通省とは直接関係ありませんが、防衛省の前事務次官の守屋さんが利害関係のある企業と接待があるという疑惑がありますが、これについてご所感があれば。
(答) 国際貢献のためのテロ対策特別措置法が今大きな問題になっているときに、新聞報道によれば、それを所管する事務次官が、事務方のトップが、利害関係のある会社のトップと緊密な関係にあったということです。これはもっと緊張してあたらなければならない。私も、他山の石として、我が省に帰ったら「本当に緊張感を持って、後刻批判を浴びることのないように、自ら恥じることのないように、特に執務の準則、その他綱紀を、上から下まで緊張感を持って守ってほしい。」と申し上げたいと思っています。1面トップで各紙が報じているこの問題について、私は非常に残念に思います。
   

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