国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成19年11月6日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成19年11月6日)
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平成19年11月6日(火)
9:02〜9:28
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は一般案件が4件、国会提出案件が17件、政令の決定が2件と人事案件です。当省の関係では政令の決定が1件ありました。「平成19年新潟県中越沖地震による新潟県長岡市等の区域に係る災害についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令の一部を改正する政令」の決定です。これは、中越沖地震についてですが、全壊の住宅が柏崎市に1034棟あり、刈羽村に166棟あることから、激甚災害に対して適用すべき措置として、罹災者公営住宅建設等の事業に対しまして、補助率が普通は3分の2なのですけれども、4分の3に引き上げることで手厚くするという特例を指定するものです。以上です。


質疑応答

 
(問) 先日、自民党と民主党との間で、大連立構想というものが持ち上がりました。その後、民主党の小沢代表が辞意を表明するといった事態にも発展していますけれども、一連の政治の動きについてご所見をお伺いしたいと思います。
(答) 与党であり衆議院で第一党の自由民主党の総裁である福田康夫さんと、野党ではあるけれども参議院で第一党を占める民主党の代表である小沢一郎さんが、二人で国家国民のために、政治を進めていくために、どうあるべきかということを忌憚なくと申しますか、話し合われたんだろうと。その結果は、報道されているような、小沢代表の辞意表明ということになっていますけれども、私からはそれについてコメントをする立場ではないと思います。いずれにしても、この両代表が政治を正常に動かしていくためにどうあるべきかということを真剣に考える、そしてまた、話し合われたんだろうと私は思います。その姿勢は大いに歓迎すべきものであり、結論はともかく話し合いが必要であると考えています。
   
(問) 昨日、先日のニチアスに続いて、東洋ゴム工業が断熱パネルの性能を偽装していたことが発覚しましたけれども、これについてのご所見と、今回の件を受けて大臣認定制度の信頼性がまた傷ついたと思うのですけれども、改めて再発防止策についてお伺いしたいと思います。
(答) お尋ねのように、東洋ゴム工業株式会社、タイヤメーカーとしても有数の会社ですが、この会社が製造した、壁や天井材の硬質ウレタン製の断熱パネルにおいて、防火構造等の大臣認定を不正に取得していたことが社内調査の結果判明したということが、同社から19年11月5日に国土交通省へ報告がありました。同日付で大臣認定の返上願いも提出されました。ニチアス株式会社に引き続いて、国民の生命財産などを保護することを目的とした建築基準法における大臣認定制度の信頼性を傷つけたということで、誠に遺憾だと私は思います。国土交通省としては11月5日付けで返上願いがあった6件について大臣認定の取消を行いました。また、東洋ゴム工業株式会社に対しましては当該認定取消の建材を使用した建築物を特定し、張替等の改善策を講じること、並びにそのような不正が生じた原因究明、再発防止策の検討を行うことを11月5日付けで書面で指示したところです。今回同社が試験を行った性能評価機関からの原因究明や再発防止策についての報告を踏まえまして、同様の不正受験が起こらないよう再発防止策について国土交通省として検討することといたしております。その中で試験方法の見直しなども含めた措置を講じていく必要があると考えています。またニチアス株式会社の不正受験に関連して、準耐火構造の軒裏、間仕切壁等について、現在、指定性能評価機関が同様の仕様の他社の製品を対象に防火性能に問題がないか調査を始めているところですが、今回は、ニチアス株式会社の不正受験の建材以外の建材で不正があったことから、国土交通省としては全ての防火材料や耐火構造なども調査の対象としたいと考えています。一万数千件あると思われますので、どのように進めるかいうことは慎重に考えなければなりませんが、しかし他にもこのようなことがないか全般的に行おうということが現在の考えです。
   
(問) 大臣認定制度で悪用というか不祥事が相次いだことについて、改めてご感想をお願いします。
(答) 今回は建材ですけれども、新しい製品が創り出されたときに、それが一般的に使われて安全かどうかとか、その特徴として言われている性能、機能を備えているかどうかということをどこかでお墨付きを与えることにより、それが広く汎用することができると思います。そうでなければ発明者はそれを持って消費者にいちいち説明しないと買ってもらえないですね。そういうことから、今回のような新しい建材、防火材にしても、そういう性能があるかどうか我々の方で検査して、その発明者が言うような性能があるということになれば、大臣が認定することによりそれを安心して設計や設備設計で使っていただくということで、新しい発明が世の中に出易くなる。そういう意味で、これは是非必要な制度なのです。ところが検査の際に、この東洋ゴム工業株式会社の場合は、実際に売ろうとしている商品と違うものを持ってきました。ウレタンの中に保水性のある薬品と申しますか、そのようなものを浸透させて燃えにくくし、それで防火試験を受ければ、それは燃えにくいのは当たり前の話です。それはそれで合格しますが、実際売られる商品は試験で試料として提出されたものとは違うものが売られていることになる。こういうことになりますとなかなか見破るのは難しいです。市場に出ている商品を抜き打ち的に取ってきて、それを検証するということまでしないといけないことになりますが、我々としては、現在までは、今後は分かりませんが、性善説といいますか、提出された試料を検査すれば、それで合格すればそれと同じものが市場に流れるのであろうと、それは誰が考えてもそう思います。それを裏切ったわけですから誠に遺憾であると申し上げたところですが、ちょっと手が込みすぎています。私はそのようにされたらなかなか難しいであろうと思います。しかし難しいということでこの制度を止めるわけにはいきません。新しい発明品を世に出すためにはこの制度は是非必要です。したがって検査その他について、また性善説だけではなく、ごまかしがあるかも知れないことも射程に入れて検査しなければならないことになるのかなと思います。ここは専門家によく検討していただいて、今後どのようにあるべきかということも専門家のご意見を伺って決めていきたいと思います。
   
(問) 冒頭の大連立の話に戻りますが、先ほど福田総理と小沢代表の姿勢は歓迎すべきだというお話しでしたが、大連立ということに対する評価はどうお考えでしょうか。
(答) それは正常化を図るための一つの方法です。大連立が良いのか、パーシャルが良いのか、何が良いのかは別として、衆議院と参議院で対決する政党がそれぞれに多数を占めているという状況の中では、決まりません。したがって、政治をする者としては、あるいは国家、国民としては、議論することも必要ですが、決めることが必要です、法律は成立しなければいけません。これからまた予算ということになれば、成立しなければ執行できませんので、国民生活は壊滅的打撃を受けます。そのような意味で、それぞれの代表がいろいろなことを考えてこれをどう乗り越えていくのかという話し合いをすることは、絶対必要だと思います。
   
(問) 野党と協調路線を歩むべきということでしょうか。
(答) 野党と協調というよりも、野党がするのか、与党がするのか、それがどちらとしても、解決するということは、一方の言うことが全部通るということはあり得ないわけで、互譲といいますか、それぞれに譲らないと、これは百パーセント通ることは有り得ないのではないでしょうか。
   
(問) そのような意味では、与党の中でも政策課題ごとに民主党と協議することをやはりやって行かなくてはいけないという声も出ていますが、それに対してどのようにお考えでしょうか。  
(答) 私が申し上げるように、何らかの形の譲り合いがあるだろうし、極端なことを言いますと大連立もあるだろうし、いろいろなことがあるのでしょうが、そのようなことを模索する、そのための協議をする、最高責任者同士が忌憚なく話し合うということが非常に大事なことではないでしょうか。
   
(問) 先ほどの建材の件ですけれども、昨日の発表によると、中学校とか高校にもこれが使われていて安全にも関わることです。そういう偽装が相次いでいるということについて、もう一度安全対策についてのお考えを教えてください。
(答) こういうことが分かった以上、170数カ所あるようですけれども、どこで使われたか、何平方メートル、どのような部分で使われたのかを早く特定した上で、きちんと耐火性のあるものと取り替えるよう言っていますので、これを早急にして欲しいということです。
   
(問) 全ての防火耐火構造についての調査ということですけれども、時期としてはいつ頃までにというのはありますか。
(答) 一万数千件に及びますから、検査の方法をどのようにすれば良いのか、専門家の方や業界の方のご意見を聞きながら、あるいは申請してきた人の意見も聞いたら良いと思います。いつまでにと言われても、なるべく早くとしか言いようがないです。日々使われるものですから、大臣認定があるので今まで安心して使っていただいてたのですが、大臣認定が信用できないということになりますと、新しいものが使えなくなります。そういう不安とか混乱を避けるために、なるべく早く大臣認定が安心して使っていただけるよう、信頼を確保できるようなことをやらなければならないというのが現状だと思います。
   
(問) 今回の手口を見ていると、検査機関ではなかなかチェックできないような極めて悪質な手口だと思います。こういったような大臣認定の信頼性を傷付けたり、偽装をすることが分かった企業に対して行政処分をするなど、改めてどのようにしていくべきだと思いますか。
(答) 今のところ行政処分はありません。法制度を整えるかどうかは別として。刑事罰としては、前回のニチアスの場合も言いましたけれども、詐欺罪を構成すると思います。こういう性能があると言って信用させ、そういう性能があるという信頼の下に買い取ってお金を払ったということは、詐欺の4要件というのがあるのですけれども、それを満たしています。けれども、それは財産罪ですから、被害を受けた、それを使った人が告訴するかどうかという問題です。我々としては、大臣認定を信頼されたということですから、告発という手続きをとることは可能です。しかし、それは諸般の事情等を考慮しながら、捜査当局と話をして決めていかなければならない問題だと思います。
   
(問) 今の時点では難しいと思いますが、2件相次いだことで、やはりこういった偽装や大臣認定の信頼を傷つけるようなことが出てきたり、考えようとしている企業に対して抑止効果という意味では、今後何かしら行政処分等を考えていくことも必要ではないかと思うのですが、その辺については大臣いかがお考えでしょうか。
(答) 大臣認定そのものに付随してそういうことを行った場合に、どういう行政処分ができるかといいますと、今はありません。あなたのご質問もありましたし、これは考えなければいけないのではないかと思います。
   
(問) 東洋ゴム工業に対してもニチアス同様に詐欺罪等も含めた告発を検討されるということでしょうか。
(答) ですから今回の案件も要件は満たしていると思います。
   
(問) 刑事告発を検討されているということでよろしいでしょうか。
(答) それはしなくてはいけないのではないでしょうか。
   
(問) それと全ての防火材の確認の方法なのですが、一度大臣認定を取得している製品を使って、改めて公の指定機関での再検査をさせるということになるのでしょうか。
(答) それも一つの方法なのでしょうけれども、申請人に本当に間違いないのかどうかをもう一度きちんと問合せするといいますか、申入れをさせるということもあるだろうと思います。これは数も多いですし、先ほどもおっしゃったように早くしなければなりませんし、こういった手の込んだことをされるとなかなか発見するのも難しいです。なかなか我々だけの知恵では難しいので、業界ですとか専門家等のご意見を聞きながら、どのようにしたらよいのかという結論をなるべく早く出さなくてはいけないと思っています。
   
(問) 先週末にスカイマークの機体で40キロ以上のカートが飛び出して2人がケガをしたという事故があったのですけれども、その件についてのご所感をお願いします。
(答) これは飲み物やお弁当を入れる機材が、着陸時にきちんとタイヤを止める部分と機材を止める装置の2ヵ所があるようですが、その両方が外れたために起きた事故なのでしょう。足首を骨折という重症を負われた方が出ましたので、これは航空機の事故ということになり、事故調査委員会が調査することになっています。したがいまして、直ちに担当官を派遣しまして、これは業務上過失致傷というものも成立する恐れもありますので、警察も捜査しています。今日までの報告では、ストッパーは正常であった、すなわちそのストッパーがかけ忘れであったのではなかろうかというところまでは明らかになっています。それを受けて我々としては処分をするわけですけれども、まだ調査中でありますので、最終的にこうであったという報告を受ければ、それ相応の手続きを取らなければならないと思います。
   
(問) 東洋ゴムの話に戻りますけれど、昨日の東洋ゴム工業の会見では、断熱パネルの卸し先について情報開示できないということでした。いまだにされていません。不特定多数の人が利用するところで性能が不十分なものが使用されているにもかかわらず、そのような情報の開示をしないのは、企業の姿勢としてどう思われますか。その理由は、顧客への説明がまだされていないということと、公表した場合に卸し先の企業の株価に影響を及ぼす恐れがあるので出せないという話しでした。
(答) 私ども監督する者には全部明らかにしてもらわなくては困ります。皆さんに公表すると、今おっしゃったようなことが起こる可能性があり、本来被害者であるべき人たちが大きな迷惑を受ける可能性があるという配慮の下、そのようなことを言っているのでしょう。それは皆さんが批判すべきことで、私がそれが良いとか悪いとかは申し上げられません。ただし、私の方には、どこの箇所で何平米どのように使ったか明らかにしてもらわなくては困ります。
   
(問) 大連立に直接関係ないかもしれませんが、公明党も一時期は自由党を含めて自自公連立を組まれて、小沢さんなどともいろいろお話しされたと思います。思い出話で結構ですが、どのような印象を持たれていましたか。豪腕とか独断専行とかいろいろ言われますが、大臣の印象は。
(答) 非常に勉強をよくする人です。あまり言われていませんが、私はそう思いました。何か提言して役員にペーパーを回しても、「小沢さんからは反応があったけれど、他からはなかった。」「小沢さんから反応があった。」ということがあり、よく勉強する人だという感じはしました。ただ、周りに自分の考えを全部説明し、説得するということが少なく、私も新進党解党をその日に知らされ、もうびっくりしました。一番に質問したのは私です。そういう経緯をもう少し噛み砕いて、周辺にも説明をして理解を求めるということがあっていい。優秀だからずっと考えていらっしゃると思うんです。だから、「これしかない」という結論になるところがあるのではないかなと感じました。これは、あの方を批判するという意味ではなく、そういう傾向がね、ありました。
   

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