国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成20年1月18日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成20年1月18日)
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平成20年1月18日(金)
9:51〜10:12
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が21件、国会提出案件が13件、法律案の決定が2件、政令の決定が3件と人事案件です。当省に関係するもので特にご報告するものはありません。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 今日から通常国会がいよいよスタートして、道路特定財源の暫定税率を維持させるための予算関連法案、もちろん予算法案もありますけれども、それに向けた大臣の抱負とご決意をお伺いしたいのですが。
(答) 揮発油税等の暫定税率の問題が今国会最大の争点とも言われています。所管している私としましては、財源特例法や租税特別措置法など道路特定財源の関連法案を一体として年度内の3月31日までに成立させることに対して、最大限の努力をしていきたい、また、それが私の使命でもあると思っています。何度も申し上げていますが、もし、これが年度末までに成立しないということになりますと、暫定税率が廃止され、それによって国と地方で約2兆6千億円の大きな歳入の欠陥が生じてしまいます。特に、地方は9千億円の減収以外に臨交金の7千億円も入らなくなりますと、1兆数千億円の歳入欠陥が生じますので、地方の予算編成にも大きな影響を与え、大混乱をきたします。それから、現在、直轄その他で我々がやっている事業も、中止あるいは延期ということになりますし、新しいものには全く手が付けられないという重大な結果が生じます。これは、国民の望むところではないと思います。そういうことをきめ細かく具体的に、あらゆる機会を通じて、私は説明をしていかなければならないと思っています。国会での論戦はもちろんですけれども、国会外でも、例えば、地方6団体の首長さんもこれに対しては大変な関心を持っていらっしゃいます。1790名の市町村長さんが自ら署名をされた、これを維持して欲しい、維持しなければならないという要請書も、早くから私の手元に届けられています。3分冊になっています。それから、家庭の主婦も5百数十名の方が地方から日比谷公園に集まってきてデモをされたということもありまして、その方々からも私どもに対する激励や、あるいは我々も行動するということもおっしゃっていただいています。地方の首長さんやそういう方々の意見も集約して、その重大性を訴えていきたいと思います。昭和62年には、こういう道路を造るということで、法律上別表でも掲げ、大臣告示も行った1万4千kmについては、始終点も全部明らかにされた道路として特定された形で造りますという約束をしています。したがって、その地方の方々は、それがいつできるのかということについて非常に強い関心を持っていらっしゃいます。はっきりとした数字ではまだ整理されていませんが、現在そのうちの65%強しかできておらず、残りの35%弱の約4千7百kmはまだできていません。それらは、いつも言いますが、例えば日本海沿岸東北自動車道の辺りへ私どもが出張いたしますと、そこの各企業の方々から本当に早く造って欲しいという要請を受けます。我々は、中期計画の中で、10年以内にそれをなんとしてでも通じるようにしたい。ぶつぶつに切れていては道路ではありません。したがって、ある場合は2車線にする、ある場合は現道も利用するということも通じて、日本海沿岸東北自動車道を1日も早く通じて走れるような道路にしなければならないと思っています。それは国民の声でもあろうと思います。その他には、鳥取県から島根県を経由して山口県へ向かう道路も切れています。四国も高知県から徳島県へ抜けるところが切れていますし、九州でも西はある程度通じていますが、東の方は通じていません。宮崎県は道路整備率が41%です。近畿地方でも和歌山県は40%ということで、田辺市以南は通じていません。その地域の方々は「約束しているではないか、これをいつやってくれるんだ」という一日千秋の思いで待っていらっしゃるわけですから、そのような方々の意見に対して、「無駄な道路である」という心ない言葉を聞く度に、この人は本当に実情が分かっているのかと思います。したがって、そのようなことを訴えたいと思います。大都会東京でも開かずの踏切を見て下さい。パリの50倍ほど、本当に1時間の内40分以上遮断している踏切がものすごい数であるわけです。全国で数えても4,300箇所についてはなるべく早くやらなければならないと言われていますし、学童の毎日通学に使っている道路で、歩車道の区別がないところが4万4千kmもあります。こういうものを放置するわけにはいかない。急病になっても60分以内に病院に辿り着けないというところもまだまだあるのです。そういうことをよく訴えて、無駄な道路を整備する必要は全くありませんが、真に必要な道路を集中的にまた効率的かつ重点的に早く造っていくということが我々の使命だと、それが安全・安心の国づくりであり、また地方との格差を縮める非常に有効な手段だと思っています。したがってそのことを是非国民の皆様方にご理解を賜りたいと思っています。確かに今ガソリンが非常に高く、それを廃止すれば25円安くなるという魅力はありますけれども、しかし食べてはいけないものもあります。そういうことによって国家百年の計を誤るということになれば、これは辛抱していただかなくてはならない部分もあるわけです。しかし我々としても手をこまねいているわけにもいきませんので、税を負担していただいている運転者の方々に対してガソリンについて何らかの手当てを考えていかなくてはならないということで、今一生懸命考えているところです。何としても財源特例法とか租税特例措置法案、道路特定財源関連法案は何としても年度内に成立をさせて欲しい。そのようにご理解・ご協力をいただきたいということをあらゆる機会を通じて訴えていくつもりです。私も地元で5回、6回とその話をしていますし、2千人以上集まっていただいた際にもお話いたしました。話を聞けばよく分かると言っていただきますので、その力を得てやらせていただきたい。新年御礼会等でも機会が得られれば私はお話をさせていただいております。そういうことでできる限りあらゆる機会をとらえてお願いをしていきたいと思っています。
   
(問) 今の関連なのですが、今大臣はあらゆる機会を通じてきめ細かな説明を国会外でもしていくというお話がありましたけれども、具体的に例えば国交省としてはこういう場を通じて国民に訴えかけていくという、そういう計画みたいなものはあるのでしょうか、あれば教えて下さい。
(答) これも今いろいろ考えてもらっているのですが、こういう会見の場で皆さん方にパネル等を使って説明させていただき、皆さん方のお力をお借りして国民に広く知っていただくという意味で、まずは皆さん方に理解していただくということも有効だと思いますので、そういうことも考えて欲しいということは言っているところです。今の時期、毎日新年御礼会が行われていますが、そういう機会に、昨日も一昨日も申しました。名古屋の公明党愛知県本部の新年賀会、兵庫における公明党の新年賀会等でこの話をさせていただきますと良く分かったと言われました。あるいは、医師会や歯科医師会でもあなたの話を聞かなかったらガソリンの値下げの方が良いと思っていたけれどもというような話をしていただく方ばかりで、良く分かるよと、大変だねと言っていただく方もいますので、あらゆる機会を通じて訴えていきます。しかし、それは限られた人たちですから、やはりマスコミの皆さんの力が非常に大きいわけです。そういうことで、私の思いの丈をご説明申し上げる機会を作りたいと思います。
   
(問) 暫定税率の件で民主党の意見に対して大臣はどう捉えられているかお伺いします。
(答) いろいろな見方があると思います。今ガソリンが大変上がっており、その中で25円下がると非常に魅力があります。そしてこれは長い間やっている政策で、この辺りで見直す方がよいのではないかというと説得力があると思います。反面、廃止したときに直ちに生ずる地方財源、国もそうですが、より大きなインパクトを受ける地方財源をどうするのか。直ちに今行っている工事を止めなければなりません。それから、いつから整備を始めますと言っている工事も延ばさざるを得ないです。そういうものに対してどうするのか。そして今私どもは、中期計画で187区間を特定して、B/Cもきちっと示しています。そして地方の人たちは、整備箇所がここに書いてある、忘れていないんだと大変喜ばれます。それを作るのか作らないのか。無駄な道路を整備しているというが、無駄な道路とはどこなのか。そういうことを具体的におっしゃっていないですね。年間5兆4千億円の税収をどこに仰ぐのかということを、その説明をせずに、なにか特別会計をどうするとか、もっと歳出を絞るとかという話はありますが、抽象的でわからないですよね。どのようにしたらどれだけのお金が出るのか。我々は何円単位まで全部出しています。この道路を造るためには何円かかります、そうすると例えば1億円投ずれば、ここは2.68億円のベネフィットが生じます、と全部書いています。例えば名古屋西から飛島の間を整備すればB/Cが2.68ですから、その工事費に1億円出すと2.68億円の利益が生じますとということです。それを無駄な道路とは言えないのです。地元の人が見に来てくれと言うので私も視察に行きましたが、我々はそういう具体的な必要性を言っていますし、そこに住む人たちと密着して道路整備をしますという約束をしています。そういうものを一括して無駄な道路は造りませんとおっしゃっても、これはいけない。そこを収斂して、ただガソリンが25円下がりますとおっしゃる。それは確実ですけれども、下がった結果がどうなるのか、それは放っておいて良いのか。それで良いとは思いませんから、その代替措置は何なのかということを併せて示さないと、私は政治論ではないのではないかという感じがします。単なるキャンペーンではないのかという感じがします。言い過ぎかもわかりませんけど。
   
(問) 大臣がおっしゃるとおり、地方では本当に景気もなかなか回復せず、厳しい状況におかれていて、社会保障費なども削られていていく中で、5年後、10年度の道路より目先の25円だったり、道路以外にも、もっと生活に密着した社会保障費的なものを拡充して欲しいと思われる主婦や住民の方たちは多いと思いますが、そういう中で、首長さん始め、行政に直接関わる方たちは「道路を」とおっしゃる方たちが多いと思います。より生活が厳しい状況になっている方たちに対して、道路特定財源が必要なんだというところの説明を、国と地方と一緒になってどう必要なのかというところを、国土交通省として、これからどのようにやっていこうとしているのか、もう少し具体的にお願いします。
(答) おっしゃるとおりでして、国の仕事はあまりにも広すぎます。道路だけではないのです。だけど国家として道路は必要なのです。しかも、日本は少子高齢社会を迎えて、本格的な人口減少社会を迎えつつあります。このまま放っておけば、東京一極一軸の社会で、地方はどんどん若者を吸い取られていきます。そのような中、私どもが国土形成計画等で地方にもっと光を当ていこうとしたときに、道路の整備や社会資本の整備がその地域の活性化、再生にいかに威力を発揮するかいろいろな例を挙げて申し上げているところです。昨日、ある会合で御手洗さんにお会いしました。私が「中津に行ってきましたよ。」と言ったら、御手洗さんは「すごいでしょ。」とおしゃっていました。中津では、御手洗さんの会社ではなく、ダイハツを視察させてもらいました。雇用機会が5,300人ですよ。若い人たちが制服を着て、嬉々として働いてました。あそこは港湾、空港、道路整備という社会資本の整備が進んだが故に、魅力があり、そこに民間が資本を投じたのです。もし放っておけば、あそこの5,300人の青年たちは都市へ吸い寄せられたと思います。しかし、あそこで嬉々として働き、マンションを買い、結婚しているのです。そういうことがその地方を活性化するのではないでしょうか。道路のような社会資本の整備はその地域の活力を生み、活性化し、雇用の機会を与えます。これは非常に大きなことです。それだけではありません。例えば、先日、奈良県で道路が崩れましたが、早くトンネルなどで整備しないと、急病になっても60分以内に病院に行けません。そのような所が日本にあるのです。そのような問題を解決する手段は道路だけでなく、ドクターヘリなどいろいろあります。されど道路です。それは理解していただけると思います。そこに住む人たちは一日も早く解決して欲しいのです。それは悲願です。また、例えば、和歌山県のすさみ町の方も「ここに高速道路があれば、豊富に水揚げされる鮮魚が大阪、東京の市場へどんどん売れる。しかし、今のような状況ではそれができず残念だ。」とおっしゃています。ですから、私は道路は生活と密着してると思います。もちろん、福祉や高齢者医療などいろいろな問題があります。しかし、国家として今後も活力を維持し、日本の隅から隅までそこに住む人たちに幸せをもたらすために、そのようなインフラの整備はなんとしても必要だと思います。そのために、一般の国民から税金を集めて行うのではなく、その道路を使う人に多くを負担していただくこの制度は、私は合理的だと思います。
   

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