国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成20年1月25日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成20年1月25日)
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平成20年1月25日(金)
10:00〜10:30
国土交通省会見室
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が3件、国会提出案件が2件、法律案が5件と人事案件です。当省に関係するものはございません。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 23日に開かれました、政府・与党整備新幹線のワーキンググループが、新規着工する建設財源として、JRが国に支払うことになる新幹線の整備使用料の前倒しを検討できないかという案を検討していることで合意したわけですが、JR各社は開業する前の段階で貸付料を計算するのは困難だという根拠から、受け入れられないという姿勢を表明していますけれども、これに対する大臣の受け止めをお願いします。
(答) 前払いというのは無理でしょうね。これは話し合いで、これから整備する新幹線は借りていただくことになるわけですので、借料は、現に使っている部分については今もいただいているわけですので、それと同じように当然払っていただくことになります。ですから、その債権を両方の合意によって確定します。まだ走っていないのに賃料を決めるのもどうかということもあるけれども、これから、いつできて、それには所要の経費がかかることがはっきりしていますから、それができ上がった暁には借りていただきます。その賃料を予め決めるということは合意できれば可能です。それがきちっとすれば債権が確定しますから、それを前倒ししてもらわなくても、例えばそれを債券にするとか、それを担保に金融機関からお金を借りるとか、そういうことが有り得るわけで、私はそういうことを話しているのではないかと思っていたのです。前払いということになると、やはり、まだでき上がってもいないものに賃料を払えというのは、普通の人でもなかなか応じられないのではないかと思います。だけど、他のものと違って貸し主も借り主も決まっているわけですし、所要の経費も決まって、相当の金額がかかるわけですから、そういうものについて債権を確定することにより、今の時代ですから金融ができます。それが新規着工区間の安定財源に使えないかどうかという検討や話し合いを一方的にしているわけであって、これは我々の方で話し合った結果を借り主となるJRさんといろいろ協議して合意をすることになろうかと思います。無理なことはできませんよ、相手も会社ですから。その範囲内で今、これから新規着工するものについては相当大きなお金がかかるので、その安定財源を求めていろいろなことを考えている過程だと私は理解しています。
   
(問) 今、無理なことはできませんということで、前払いは無理だとおっしゃいましたが、それは貸付料についても根元受益に関しても、やはり前払いは無理だろうという認識でしょうか。
(答) 私の感覚はそうです。向こうが自主的に払ってくれるのであれば別ですが。私も、将来借りるけれども今借りていないものの賃料を今から払ってくれと言われても払えません。これは法律論ですが、売買で物を作るからその前金をくれというのとは少し違います。ですから、それを今、確定することはできるでしょう。大体できればどれくらいとか、収益還元法でいくらの賃料とか、今払っている分もあるわけですから、そういうものをでき上がったときにはこれだけを払おうとか、あるいはそれが一部であれば、将来できたときにもう一度話し合いで見直して確定しようとか、いろんな話し合いで契約することは可能だと思いますよ。
   
(問) これから話し合いということなのでしょうけれども、ただそれは、JRに対してこれだけの貸付料を払えということを話し合いとはいえ約束させると、ある意味前払いさせるのと変わらない意味合いになりませんか。払えと約束させることと今払えというのは一緒ではないですか。
(答) 言っていることが全然違うではないですか。約束させるというのは、合意ですから。納得しなければ成立しないですよ、契約ですから。だからといって、でき上がったものを他の人に貸すわけにはいかないでしょう。貸し主も借り主も決まっているので、あとは賃料がどれくらいなのかという話でして、やはり借りるときに決めるのが当たり前なのです。ですが、これからそれを造るのに一部使うということも考えられるわけですから、予め確定させれば、金融機関としてもそれを担保に融資してくれます。ですから、せいぜい話してもそういう形のことです。
   
(問) それは、将来の約束をさせればということにはなるんでしょうけど、そんな不確定なものに担保価値がないということで、政府保証債等の発行は無理だということになっているのではないですか。
(答) ですから、今の状況ではだめでしょう。約束も何も無いのに担保にして証券等を出せません。それについては合意できればできるのではないでしょうか。
   
(問) 合意するということは、結局前払いすることと変わらないと思いますが。
(答) 全然違います。前払いとはお金を払うということです。株主の承諾も必要です。しかし、約束することは事業の範囲ですから株主の承諾等は必要ありません。この問題について議論してもしかたありませんが、私は当事者ではありませんので、そこで話し合われたことの内容はだいたいそのようなことではないかと思います。
   
(問) こういう技術論以前の問題として国鉄改革とは何だったのかと考えると、一番の眼目はやはり経営に対する政治の介入の排除と、独立採算性による自主経営権の確立だったと思います。そういうことからして、こういう議論がおこること自体が国鉄改革の理念に反することになるのではないでしょうか。
(答) そのようなことはありません。
   
(問) JRに押しつけているのではないですか。
(答) まだJRにアプローチもしていないと思います。こちらのワーキンググループでは、未着工区間を着工するためには安定的財源が必要だということです、当たり前の話です。概算ですが、北海道新幹線では1兆8百億円までかかるということになっています。それについて、目途もないのに着工は決められません。ですから着工を決めるためにはその前提としていろいろな要件があります。その一番大きな問題は、安定的な財源が確保できるかどうかということが最大の要件だと思っています。それについていろいろと考え協議をしています。今やっている部分についても私も関与させてもらいましたが、将来いただくものが確定していましたからそれを前倒しして今使っています。それは、平成29年ぐらいまでに入ってくるものを引き当てにしています。ですから債権は確定していますので借り入れ等ができるわけです。それは別に民営化したJR会社に対する介入等ではありません、全て契約に基づくものです。
   
(問) 契約というのはお互いに納得して結ぶものですが、今JR、特に本島三社は言葉にしてはっきり言いませんが、こういう話が起こること自体に迷惑がっています。
(答) ただ、どうでしょうか。着工して新幹線ができあがったら、その会社に借りていただくわけです。JR北海道としてはなるべく早くしてくれと陳情しています。そのためには、どのようにしたらよいのか、着工するためにはどんな要件があるのか、並行在来線をどうするかなどの問題がいっぱいありますが、特に一番大きな問題は財源です。それをどのようにするかということについて、今ワーキンググループで、政府側が事務局としていろいろな資料を出すことはあるかもしれませんが、主に与党がいろいろな金策について考えてくれています。その1つがこれです。それについてはまだJRにアプローチもしていないと思います。工法の話や法律論もあります。この金額ですと、今おっしゃるような圧力をかけて聞いてもらえる問題ではないと思います。ですからそれはお互いの納得の上でそういうことが決まれば、やはり前に進むのではないでしょうか。そういう問題だと思います。
   
(問) 絶対に強いることはあり得ないということでしょうか。
(答) 強いても納得されませんよ、向こうも株式会社ですから。強いることは絶対にありません。
   
(問) 同じく整備新幹線についてなのですが、昨年末の政府・与党検討委員会では年度内に財源に目途をつけて結論を得るというか、最大限力を傾注するという結論になっていますけれども、この結論というのはあくまで政府・与党としての結論なのか、JRとの合意を含めた結論を年度内なのか、どちらと考えておられるのでしょうか。
(答) それは理想は後者です。ですがそれは相手のあるお話ですし、金額も大きいですから。16年には3年位やりました。いろいろ積んだり崩したりしながらできたわけです。いろいろとやりながら目標はそういうようにすると。荒唐無稽なことをしてもしょうがないですし、今どき圧力なんて絶対かけるべきではないし、かけたところで聞いてもらえるわけはないと思います。私どもは正常な判断として、法的な契約として、そういうものができればいいなと思います。そのようにして結論を得るという一つの目標を立てられていると思います。それに目掛けて皆が一生懸命努力しようということです。
   
(問) そもそも整備新幹線は、特に上場している3社については、JR東海は別として西と東は自分の経営判断で造ろうと思ったものではないわけですよね。それはJRの懐をあてにするのではなく、それはきちんと正々堂々と国民にとって必要なものだという認識をなさっているのでしたら、税金で造った上で、運行してもらうと。あくまで国は国民のためにJRに運行してもらうという立場ですからね。そういう根本的なところをお忘れになっていませんか。
(答) あなたがおっしゃる趣旨が私には分かりません。
(問) 国民のために必要だというなら正々堂々国民からとっている税金で造ったらいいのではないですか。
(答) 新たに税金では新幹線を造らないということを決めたので、皆が一生懸命知恵を絞ってやっているわけです。私は新幹線は非常に有用なものだと思っていますし、国民も大部分そのような理解だと思います。当時は何で新幹線を造るんだという意見もあり、だから税金では造らないと決めたと思います。ですからどうやってお金を調達するかということに苦労しているのです。JRさんにしても新幹線ができた場合、例えば北海道であればJR東さんは東京から函館まで乗る人がいれば運賃収入が上がり利益が出ることは間違いないと思います。ですからそこは話し合いではないでしょうか。
   
(問) 函館まで新幹線で行く人がいると思いますか。
(答) 3時間半か4時間以内で行くのですよ。
   
(問) 3時間半は無理でしょうけど、4時間以上かかりますよね。なおかつ、JRはそのために車両もたくさん造らなければならないし、人員も増やさなければいけない。またそうすると大宮−新宿間の新線を造らなければいけないというものすごい負担がかかることになります。
(答) そういう場合であればJR東さんは断られるでしょう。断るのは全く自由ですから。ワーキンググループがいろいろ知恵を絞ってやりましょうと。この間我々がやった場合には新たに着工する場合には安定的な財源を確保するということが要件として入れてあるのです。それからJRさんの了解も得るということも入れてあるのです。ですから放っておいたら進みませんから、政党の方から早くやろうかという話で始まったということだと思います。
   
(問) 道路財源が国土交通省職員の宿舎の建設などに使われていた件について、大臣のご所感をお願いします。
(答) 道路整備事業に従事する専属の職員は1万175名います。この人たちには給料を払わなければいけないし、宿舎もあてがわなければなりません。健康管理とかレクリエーションもしてもらわなければなりません。例えば、宿舎については国家公務員宿舎法があります。これは昭和24年の法律です、そこにきちんと決められています。職員に対して各省庁の長は職員に対して宿舎を用意しなければなりません。道路整備は私どもの所管ですから、国土交通大臣は、道路整備に従事する職員に対して宿舎を用意しなければなりません。その賃料も面積も全部決められていて、それに基づいています。道路については道路特定財源というのがありますから、その中から払うのはどうかという話かもしれませんが、例えば、河川とか港湾とかに専属している職員も河川の会計、港湾の会計から宿舎を用意しています。予算の編成の時に道路整備費の中に経費として全部細かく計算して積み上げて国会の承認をいただいて、道路整備費の中に入っています。そのように予算を組んで、その中で国家公務員宿舎法に基づいて、職員に宿舎を提供しています。レクリエーションについては、国家公務員法の中に規程があります。それに基づいて、過大なものではなく、年間10万円程度のものですけれども、そういうものが支出されています。社会保険庁の話とダブるような感じがして嫌なのですが、あれは保険料の中から贅沢なものを造ったとか使ったということが批判されたわけでして、全然違うと思います。これは道路整備費という税金の中からそのように法律に従ってやっています。
   
(問) ハンドルを握っている人のガソリン税が道路に使われる。受益者負担と大臣がよく言われていますが、朝、街頭で街の声を聞いてきたら、「国土交通省の職員の宿舎は一般の国民が利用できないというところで違和感を感じる」とありました。そこはどうでしょうか。
(答) 違和感を感じますか。道路を造るという目的で、ほかの仕事をしているわけではありません。道路整備に従事する専属職員1万175人います。この人の宿舎をどの会計で手当てするのか。そういう専属してやっている職員の人たちの固まりというのは、各省庁であります。道路整備の場合は道路整備費として予算の中で計上しているだけのことです。国土交通省でいえば、河川は河川です。大変な山の中で、ほとんど帰ってこれないようなところで働いている人もいます。そういう人たちの宿舎も河川の会計の中で整備して、国会で承認をいただいています。ですから、ちょっと違うのではないかと思います。
   
(問) 住むところがないような山の奥で道路の建設に携わる方たちの宿舎は建設するべきだと思いますけれども、たくさん部屋が見つかるような都心部に宿舎を建設するのは理念として適当なのでしょうか。
(答) 先ほど言いましたように、昭和24年法律117号「国家公務員宿舎法」という法律があります。ご確認いただけると思います。
(問) 法律があるというのはわかるのですが、今、道路財源の存続について是非が問われている中で、国民の理解を得られると思いますか。法律、法律とおっしゃいますが、今ある法律は政治家が国会で改正することができます。
(答) その人たちの宿舎を造るためには、どこかから費用を払わなくてはなりません。どこから払うにしても、費用はみんな税金ですよ。
(問) それが、一般財源ではなくて、道路特定財源でというのはなぜですか。
(答) 道路を造っている職員の宿舎として造ってるからです。職員は道路以外の仕事をしていないんです。ですから、いろいろな会計学者などからも意見を聞いていただければわかると思いますが、私は不合理だとは思いません。
   
(問) 野球のバットなどレクリエーション費用は微々たる金額ですが、それも仕方ないのでしょうか。
(答) 国家公務員法に職員のためのレクリエーションについて規定されています。例えば、よく議論になる電動マッサージ器のような過大なものはどうかと思います。バットやボールをものすごくたくさん買うなら別ですが、まあ、使うものぐらいはと思います。過大なものは批判していただかなければならないと思います。ただ、国家公務員法上、そういうものに配慮しなさいという規定はあります。
   
(問) そもそも、国家公務員宿舎法が制定された昭和24年は終戦直後で、焼け野原というような社会情勢でしたが、戦後60数年たった今、明らかに社会情勢は変わっています。大臣が法律に規定されているとおっしゃるのは分かるのですが、法律改正を含めて、この辺は見直していくべきなのではないでしょうか。
(答) これはこの問題だけではなく、大きな問題です。宿舎などについては、例えば、東京都の特別区に在する地域については、55平方メートル未満で、1平方メートル当たり536円というようにものすごく細かく規定されていています。民間ではなかなかと思います。国民にそういう考え方があれば、見直すことになるかもしれません。しかし、国家公務員全員が宿舎をあてがわれており、これだけの問題ではないので、すぐにというのはなかなか難しいです。
   
(問) 確認ですが、整備新幹線で借金をする主体は新幹線の施設を保有している鉄道建設・運輸施設整備支援機構ということでよろしいのでしょうか。
(答) そうなんでしょうね。そこが造り、設置主体になって、それを貸すわけですね。
(問) それは、JRとの間で債権を確定した上で、政府保証債のようなものをその機構が発行するということでしょうか。
(答) そういうことになるんでしょうね。
(問) それが理想形なのでしょうか。
(答) 私はワーキンググループのメンバーではありませんので、今ここで私がいろいろと言う問題ではありません。ワーキンググループで一所懸命考えていただいているところだと思います。
   
(問) 軽油引取税から出ている運輸事業振興助成補助金についてですが、この申請を承認する立場の国交省の方が、交付を受けている協会に天下っている実態があります。このことについてのお考えをお聞かせください。
(答) それは、その協会とその人との個別の契約によってやっていると思います。今まで公務員だった人たちの経歴や経験などに基づいて、その協会との契約で雇用されていると思います。もちろん、それを制限するいろいろな規定があります。それを超えたものはありません。
   

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