国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
冬柴大臣会見要旨(平成20年2月1日)

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  冬柴大臣会見要旨(平成20年2月1日)
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平成20年2月1日(金)
9:29〜9:50
参議院議員食堂
冬柴鐵三

 

   

閣議・閣僚懇

  おはようございます。本日の閣議は、一般案件が2件、国会提出案件が11件、法律案の決定が13件、政令の決定が2件と人事案件です。当省に関係するもので特にご報告するものはございません。私からは以上です。


質疑応答

 
(問) 昨日発表されました新設住宅着工戸数によりますと、12月の住宅着工戸数は、法改正施行の影響によって前年同月比で19.2%の減少、2007年の着工戸数は17.8%減少で、5年ぶりの減少となりました。この数字を受けまして大臣のご所見をお願いします。
(答) 改正建築基準法施行に伴う建築確認手続きの混乱は、そのような数字もありますが、徐々に収まりつつあり、住宅着工数は着実に回復してきていると認識しています。10月が76,920戸、11月が84,252戸、12月が87,214戸です。特に戸建て住宅につきましては、改正建築基準法施行の影響はかなり解消されたのではないかと考えています。一方、マンションの着工につきましては、改善傾向にあるものの、未だ十分に回復したとは言えない状況ではありますが、これは高度な構造計算が必要とされるものが多いことなどによるものと考えられます。分譲マンションは、10月は6,567戸、11月が8,331戸、12月が10,631戸ですが、前年と対比するとまだ落ち込みが著しいと見られます。国土交通省としましては、特にマンションに関する建築確認手続きにつきましても、円滑に進むようにきめ細かな情報提供、あるいは技術的支援等の取組みを進めるなど、今後とも改正法の施行に伴う建築活動や経済への影響を一時的なものに留めるよう、引き続きこの問題に全力で取り組んでいきたいと思います。
   
(問) 暫定税率の期限の延長をめぐって延長法案の提出が行われていましたけれども、取り下げられました。取り下げられたことの受け止めと、議長のあっせん案に一定の同意を年度内に得るということがあり、これは年度内に採決を取るということかどうかをめぐって与野党でも意見が分かれているようですけれども、野党は年度内に採決すると確約したものではないと言っています。このことについての受け止め、この2点のご感想をお聞かせください。
(答) 私はまず、衆参両院の議長、副議長4名がお立ち会いになり、代表して衆議院の議長があっせん案を提示され、与野党でそれを受け入れたということに1つの収束を見たということは、本当に高く評価されるべきものであろうと思います。この衆議院と参議院で、第一党が異なる困難な状況の中で、国民生活に必要な問題を前向きに解決することができたということは、私としては本当に高く評価をさせていただきたいし、またそう思っています。それによって審議は正常化され、現に昨日も今日も審議を行うことができるということが大変喜ばしいことであると考えています。それは、野党がその年度内にそれを決するということを決めたものでない、ということを言っている人があるようですが、私は、議会あるいは議長の権威というものを考えたときに、議会人はやはり議長のあっせんの時に述べられた言葉を重く受け止め、そしてそれを尊重するという態度が望ましいものであると思っています。特に議長が従来の慣例に従う趣旨だとおっしゃっていることを、その意味をよく理解すべきであろうと思います。また、そうであるからこそ政治と国民生活に全責任を持っている与党が、それを受けて、せっかく委員会採決までしたつなぎ法案と申しますか、国民生活を混乱させないというためにということで提案をした法案を取り下げたということは、混乱しないという議長の裁定どおりに従えば、国民生活は混乱しないという理解の下、確信の下に取り下げているわけですから、それに反する扱いをなされるものとは私は思いません。
   
(問) 空港の外資規制について自民党の部会で一部株式市場の仕組みを揺るがす等の意見が出たようですが、もう一度、外資規制の必要性等を大臣から説明をお願いします。
(答) 成田空港株式会社、あるいは羽田空港のビルを管理・運営している日本空港ビルデング株式会社は、全く代替性のない我が国にとって非常に重要なものです。上場するからには株式が公開されるのは当たり前の話ですが、一部特定の外資といいますか、一部の人に支配をされるというのは国益に反することになると思います。したがいまして、外国においても、そのようなものに対しては、国家が直接所有し、管理するという歯止めがなされています。我が国においては、そういうものも上場すべしという流れの中で、上場するわけですけれども、だからといって無条件に誰がどれだけ株式を保有してもいいということにするのかといいますと、私はそうは思いません。周知の事実ですからはっきり言いますが、今、羽田の日本空港ビルデング株式会社の株式を特定の外国資本であるマッコーリー・エアポーツという会社が、私は19.8%と認識していたのですが、最近では19.9%保有しています。この会社はコペンハーゲン空港の53.4%の大株主でもありますが、このマッコーリー社が参画してからどういうことになっているかと申しますと、空港内のカートの利用料が、どこの空港も無料ですが、有料になりました。そしてタクシーの乗り入れについては空港入場料を取ることになりました。それからもっと重要だと思うのは、マッコーリー社の参画前は株式の現金配当が50%だったのが、参画後の2005年の現金配当は利益の100%、それから2006年の現金配当は113.4%、その前年度の積立金を取り崩して配当するようなことが行われたという客観的事実があります。シドニー空港については、72.1%保有していますが空港施設使用料が参画後25%上げられ、2007年9月は137%増ということが客観的事実であります。その他いろいろありますが、そういうことが羽田空港あるいは成田空港で行われるようなことになった場合に誰が一番被害を受けるかと言いますと、使用せざるを得ない国民です。外国に行こうとすると、国際空港を使わざるを得ないわけですから、私はそういうことをしない方がいいと思います。自由化することは利益があり、外資を導入するという意味ではありますが、こういうことの例があるわけで、私はそういうことを考えたときに、マッコーリーに対してだけ規制するのではなく、こういうおそれがある場合には、一般的に法律を作るわけですから、そうすべきであると私は判断しました。これはそう行うべきであろうと、また国民からもご理解を頂戴できるだろうと思ってこの法律を提案しているのです。したがって、いろいろ部会等でご意見があるでしょうが、このようなことも訴えて納得いただくように、時間も後ろがありますが、一生懸命がんばってほしいということを言ったところです。
   
(問) 毎日国会で論戦が繰り広げられていて、大臣も時折、野党議員からの質問に対して、「あなた間違っているよ」と語気を強めて応酬されているところを拝見していますが、野党との歩み寄りが得られるということは感触としてありますか。
(答) 道路特定財源のことですね。私は必ず理解してもらえると思います。一昨日、皆さんも見たかもしれませんが、高知県の土佐はちきん連合の女性が来られました。本当にあの方達は、演技でも何でもないですよ、涙を浮かべて言っていましたよ。私のところへ来られる方々の熱心な態度は、やはり尊重されると思います。そして、地方6団体も挙げて、これは維持するべきだとおっしゃっていることを考えましても、同じです。皆様もおわかりでしょうけど、道路は、今日決めて明日にでき上がるわけではなく、ほぼ10年かかっています。道路にしても、新幹線にしても、これをどうするかということを決める時に一番大事なことは、安定的な財源を得るということではないでしょうか。そして、道路の場合は辺境とか関係なく、日本全国にネットワークとして張り巡らせるものです。もちろん、国道や市町村道など、道路の性格によって違いはありますが、特に、一般国道、自動車専用道路、あるいは幹線自動車道などは、県境を越えて整備されるものです。しかも、その時間は相当かかるうえに、投資額も莫大です。それを一度着手して翌年に予算が無いから取り止めたりすると、その損害は誰が受けるかと言えば、一般国民です。投資したお金が寝てしまいます。昨日も図面で表示して皆様に見てもらいましたが、日本海沿岸の東北自動車道の例を見てもらえばわかりますが、ぶつぶつに切れています。供用されているところもあり、それに対する投資は行われていますが、それが、十全の効用を発揮していません。道路は2車線でも良いし、現道を利用しても良いし、とにかくそれが走れるようにして、初めて十全の効用を発揮するわけで、あの状態で道路特定財源を失った場合に、今、部分供用されている道路や工事中の道路は死んでしまいます。それは非常に大きな損害ですし、それを一番よく知っているのは、そこに住んでいる人たちだと思います。私はいろいろなパネルを用意しました。山陰自動車道、東九州自動車道、和歌山の紀伊半島を周遊する道路など、たくさんあります。我々は年間約200から250キロ程度のペースで一生懸命整備を進めていますが、なお、2千キロ近い道路を整備しなければならないという状況にあります。そのような状況の中で、道路特定財源を失ってしまうことは、そこに住む人たちにとっては、道路を期待している人たちにとっては、本当に大変だし、国家的に損害だと思います。そのような意味で、是非、ご理解いただきたいと思います。
   
(問) 先ほどの空港外資規制の件ですが、金融庁との意見調整はどのような状況ですか。
(答) 意見調整はしなければいけません。このことは金融庁だけでなく他の省庁も含め、皆さんと十分意見をすり合わせていきます。法案を提出する場合、省庁で足並が揃わないと大変なことになりますので、もちろん、努力します。
   
(問) 道路特定財源の件で一点確認です。収入と支出のバランスは同じでなくてもよいというのが今回の改正法案ですが、これは一般財源化を含めた話だと思います。これを逆に考えると、10年分の財源を確保したということであり、各地方から今すぐにでも欲しいと言われたときに、整備新幹線と同じように、その分を前倒しでばら撒く可能性はないのですか。
(答) それはできない仕組みになっています。なぜできないかというと、いろいろな手続きがあるからです。計画予定路線を現実に整備路線に引き上げるためには、昔の国幹審、今の国幹会議の議を経なければなりません。そして、その議を経るためには、アセスメントやB/Cなどを全て整え、その道路の受益を測ってから、諮らなければなりません。国幹会議の議を経て、私が整備を決めます。また、整備を決めても、整備までには長い期間があるので、その間もずっと評価していきます。そのような制度があるので、ばら撒くことはできません。
   
(問) 道路の件ですが、先ほど、大臣から「必ず理解していただけると思う」とご発言がありました。話合いの中で、政府側がある一定の譲歩をする可能性はあると思いますか。
(答) 提案したものをそのまま3月末に通していただくように全力を尽くすということ以上には、私は言えません。
   

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